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「コミュ障」なのにアナウンサーに…吉田照美が味わった「絶句シーン」 苦労の末に見つけた会話術とは?

2017.02.18

 

 

ラジオ歴44年。吉田照美さん(66)は、いまも月曜から土曜日までラジオでしゃべり続ける会話の達人ですが、学生時代は対人恐怖症に悩んでいました。そんな自分を「矯正したい」と奮起して入部した大学のアナウンス研究会。そこで「大恥をかいた」経験が今につながっています。政治家からグラビアアイドル、受話器の向こうのリスナーまで、いろいろな人と自由自在に話す吉田さんに、苦手な人と話すときの心構えと会話術を聞きました。(朝日新聞文化くらし報道部記者・真田香菜子)

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「ムリに話しかける必要、ない」

 「毎日いろんな人と会う仕事なので、ラジオやテレビ局の待合室で、知らない人や苦手な人と隣り合うことも多いんですよね」

照美さんでも苦手な人、多いんですか?

「そりゃ多いですよ。得意な人なんてそんなにいないでしょう」

そう言われてみると確かにそうかも……あの、私は隣にいる人が苦手でも「黙っているわけにいかない、どう話しかけよう」と焦ってしまうのですが、しんどく感じる時がありまして。

「気疲れするだけだと思いますよ。頑張りすぎない方がいいのでは? 無理に話しかける必要もないんです」

え……無理しなくていいんですか……。でもたしかに、就職活動などで「コミュニケーション能力が大事」と言われていたからなのか、だれか隣にいたら「話しかけなくちゃ」と。それは勝手な思い込みなのかもしれないですね。

会話術を鍛えるのは、「実験」

 それでも、自分を鍛えたいと思ったときにできることはありますか?

「実験だと思えば楽しめます。いろんな人に様々な質問をして、この人からはこんな返事がきたという結果を覚えておく。会話の導入部をどんな話題にするかは、何人かで経験すると重要な参考資料になります」

実験ですか……そう思うと気が楽になってきました。

「あと、僕が思うのは、好きな人より苦手な人と話す方がおもしろい話が聞けるかもしれないということなんです」

ええ!どういうことですか。好きな人といる方が自由に話せる気がします!

「いやだって、好きな人だとその人の情報はたくさんありますよね。聞くことなくなっちゃうんですよ。苦手な人の方がおもしろい話が引き出される。そんな風に考えた方がいいんです」

確かに、苦手な人のほうが知らないことが多いし、疑問もたくさん湧きそうですね。

盛り上がりのコツは、その場での発見

 取材でインタビューをする時など、相手のことを知り尽くさなければとSNSのチェックから始めて、事前に念入りに調べてきたのですが照美さんはどうしていますか。

「ラジオパーソナリティーにはゲストの情報を徹底的に調べるタイプの方もいるようですが、僕はおおむね調べる程度。あとはその場で発見したことを話題にして盛り上げます」

「たとえばゲストが机の穴をほじりながら話していたら、その癖をいじってみる。ちょっとしたつまらないことでいいんです。その場でオリジナルな盛り上がりを作るために、何かしら見つける努力をするほうが大切だと思います」

「さらに進んで、もっと会話を盛り上げたいと思った時には、この人の話を聞きたいと相手から思われる人間を目指すのが一番ではないでしょうか」

小山薫堂さんの観察眼

 「くまモンの生みの親で放送作家の小山薫堂が、むかし僕のマネージャーだった時期があります。当時の彼は、バイクでよく街を走っていたんですね。それでタウンウォッチングとか、マンウォッチングをしていて、会うと『照美さん知ってます?』なんて街の話をしてくれてね」

「共感って『いま、自分はこれが面白いと思っている』といった話が聞き手に伝わるときに生まれるんです。だから、それが提供できる人物になれれば一番なんでしょうね。難しいことだけど、理想ですよね」

対人恐怖症だった中高時代

 照美さんは今では誰もが認める会話のプロです。しかし、驚くことに中高時代は対人恐怖症でした。中学1年生の頃はひょうきんもので、人生で一番モテたそうです。

しかし、勉強ができるすてきな女の子を好きになってからは「勉強も運動もできない俺はダメというコンプレックス」を抱え、悲惨な未来を想像してはどんどん暗くなっていったそうです。高校卒業後の浪人時代は「知り合いと会いたくない、話したくない」と、雨戸を閉め切って勉強する日々だったとか。

無事、早稲田大学に合格した照美さんは「自意識過剰を直さないと社会人になってから大変」とアナウンス研究会に入部します。アナウンサーになりたい、ではなく「最低限人前でしゃべりたいという自己矯正」の思いからでした。

勉強のため聞いたラジオの深夜放送

 転機は早速やってきます。迎えた夏合宿、1、2年生が3分間のフリートークを披露するのですが、照美さんだけが「絶句」。何も話せなかったそうです。

「思いっきり恥をかきました。だから何とか雪辱を果たそうと、みんなに内緒でアナウンスの専門学校に通ったり、勉強のために当時ブームだったラジオの深夜放送を聞いたりするようになりました」

「TBSラジオの小島一慶さんが好きでした。落語家のようなおもしろいしゃべりが魅力的で。それで、大学2年生の頃には放送局で働きたいと思うようになりました。夢物語でしたけど」

夢をかなえて文化放送にアナウンサーとして入社しますが、相変わらず人と話すのが苦手という意識は変わらなかったそうです。

それでも「吉田照美のてるてるワイド」など数々の番組でメインパーソナリティーを務め、文化放送退社後にはフジテレビ「どうーなってるの?!」などでも司会を務めました。放送のメインストリームで長年活躍している印象ですが、「苦労に苦労を重ねて現在に至る」と話します。

自分の会話を録音して聞く

 入社2、3年目、夏休み中の先輩アナウンサーの代打で番組司会をしたときのこと。ゲストで招いたある大物映画俳優にいくら話しかけても「ふん」とか「はー」という答え。まったく話が広がらなかったそうです。

「その人のことはずっと嫌いですよね(笑)」

「でも、会話が盛り上がらなかった時は、自分だけの責任ではないので、あまり深追いする必要もありません。話している時間で、盛り上がる瞬間が1度でもあれば最高だと思っていればいい。そして、苦労をした経験は無駄にはならないですよ」

「自分の会話を録音して聞くのも良いと思います。声とかしゃべり方とか、自分で気づくマイナスの衝撃があるはずです。僕は早口だし、滑舌も悪くて発音がはっきりしない時があるんですが、自分の性格みたいなものがしゃべり方にも密接に影響すると思っていて」

「だから、矯正していく気持ちを持ってみてください。自分も常に変化していますし、死ぬまでこれでいいということはないんでしょうね」

「盛り上がらなくても自分だけのせいではない」

 照美さんは自分の弱点に直面し、失敗を経るうちにどんどんレベルアップしていきました。いまコミュニケーションや会話に悩み、苦労していても、上達できる可能性は大いにある。励まされます。

さらに「無理してコミュニケーションをとらなくてもいい」「会話が盛り上がらなくても自分だけのせいではない」という言葉。「コミュニケーション能力をあげなくては」という強迫観念に駆られて、自分で自分を窮屈にしていたのかもしれません。気楽に自由に会話ができるように、「実験」してみたいと思います!

引用先 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170215-00000003-withnews-ent

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