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【寄稿】ひきこもり=恥とする根強い文化が「8050」問題を引き起こす

2019.07.14

川崎市登戸で無差別殺傷事件が起きてから、1カ月以上が過ぎた。自死した岩崎隆一容疑者(51)は、80代の叔父夫婦と同居し、社会と接点を持たずに生きていた。その4日後の6月1日、東京都練馬区で、元農水事務次官の熊沢英昭被告(76)が、44歳のひきこもりの長男を刺殺。ここに来て一気に、「8050」「7040」問題がクローズアップされることとなった。

 私自身、「50代のひきこもりがいる」とNPO法人の支援者から聞いて衝撃を受けたのは、5年か6年前のことだったと思う。そこから実際に、当事者や家族の取材につながったのは2016年秋、中高年ひきこもりと家族への支援についての会合にオブザーバーとして参加したのがきっかけだった。実態の一端に触れることとなり、人の縁をたどって、当事者につながることができたのだ。

 以降、雑誌などに記事を書いてきたが、その度に、反響の大きさに驚かされた。実名で取材に応じてくれた支援者には、相談の電話が殺到。切実な人がいかに多いかを感じることとなった。

 これほど多くの、潜在的な「8050」「7040」の当事者がいるのはなぜなのか。それは、ひきこもりを「恥」とする根強い文化があるからだ。そのことを、今回の2つの事件でも非常に強く感じざるを得ない。

 川崎市の相談員の勧めで、叔父夫婦は岩崎容疑者に手紙を書いたが、そこで自分をひきこもりだとしたことに対し、岩崎容疑者がひどく立腹したことが報道されている。事件の背景には「絶望」があることが感じられるが、自身にひきこもりというレッテルが貼られたことが、凶行へのトリガーとなったとしたら、「ひきこもり」という言葉には、どれほどの「恥」とマイナスイメージがまとわり付いているのかと改めて思う。

 練馬の熊沢被告は、あれほどの地位と名声と富を手にした人物でありながら、ひきこもりの長男の存在は世間にひた隠しにした。それは、「恥」だったからだ。家族との関係でひきこもっている以上、家族で解決することは不可能だ。熊沢被告は長男にマンションを与えるのではなく、一刻も早く外部に相談すべきだったのだ。

 ここにきて「8050」が「発見」されているのは、親が80代という高齢になって健康問題や経済問題が生じ、親自身が困って初めて外部にSOSを出す形で、50世代のひきこもりの存在が明らかになっていることが大きい。その意味では、50世代は親の都合によって、人生を食いつぶされた存在ともいえる。

 今こそ、ひきこもりから「恥」というイメージを解放しなければならないことを強く思う。

引用先:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190714-00000007-nkgendai-life

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