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中高年のひきこもり61.3万人! 「働けない子ども」が親亡き後を生き抜く「サバイバルプラン」とは【後編】

2019.09.15

働けないお子さんが、親亡き後を生きるためのプランとして提案している「サバイバルプラン」の後編です。

今回は主に、家の相続問題と兄弟姉妹との関係について触れていきます。

お子さんが住み続けられる「家の確保」が大きな課題
サバイバルプランでは、働けないお子さんが「親亡き後」も金銭的に困窮せず暮らしていけるかを模索するため、資産状況の確認をしたうえで生活設計の提案(その多くは改善提案)をおこなっています。

親亡き後も生活を成り立たせるためには、「住む家の確保」が実現できるかも重要なポイントです。

実際には、働いていないお子さんが実家を親から相続できたとしても、固定資産税や修繕などの費用がかかります。

しかし、家賃を払い続けるケースに比べて親亡き後の生活費を抑えやすくなるからです。

ご相談者を見ていますと、働いていないお子さんが住んでいる家(実家)をそのまま相続することが多くなっています。

ただし、相続時点で築年数が30年以上経過している家も多く、中には築50年以上が経過している家を相続する人もいます。

家はもらえるものの、「その家にお子さんは住み続けられるのか」に疑問が残るケースが少なくないのです。

ご相談にいらっしゃる親御さんのほとんどが「今の家にそのまま住ませるつもり」と考えていますが、「子どもが死ぬまで住み続けるのは、不可能な物件」も少なくありません。

そのようなケースでは、親御さんが健在のうちに、

・家の大規模修繕に着手してもらう
もしくは、

・家の住み替えを検討してもらう

ように促しています。

■大規模修繕か住み替えか
大規模修繕や住み替えの提案をすると、多くの親御さんは顔をしかめます。

大規模修繕で貯金が減るのもいやですし、高齢期に入っている親御さんの中で、すすんで引っ越しをしたいと考える方はほとんどいないのです。

とはいえ、将来、1人残されたお子さんが修繕の依頼をできるとは考えにくいですし、大きな家が残っても、掃除やゴミ出しのできないお子さんがその家に住み続けるとゴミ屋敷になるリスクもあります。

町内会の当番もできないでしょう。

一方、マンションに住み替えれば、24時間ゴミ出しができるケースも多くなりますし、修繕などの手間を格段に減らせます。

居住地が都市圏であれば、

一戸建てを売却したお金で中古マンションを2住戸購入するプラン
も検討できます。

同じマンション内で2住戸購入して、親とお子さんが別々の住戸に暮らすプランです。

このプランを実行できれば、将来、親御さんが亡くなった場合に、親御さんが住んでいた住戸を賃貸に出し、お子さんの生活費に充てられます。

駅から徒歩圏の物件を見つける
2住戸購入する場合には、もともと住んでいた地域より田舎へ住み替えるのが一般的ですが、できるだけ駅から徒歩圏の物件を探してもらうようにアドバイスしています。

価格が安い物件が見つかったとしても、駅から離れるほど貸しにくくなるからです。

また、お子さん自身が年をとって病院に通うようになった時に、バスなどで通える立地であることも重要です。

学生時代にひきこもったお子さんは、免許証を持っていないケースも多く、また免許証を持っていても、車の維持費を捻出するのは難しいので、車がなくても生活が成り立つエリアで物件探しをすることが欠かせないのです。

同じマンション内で2住戸を購入するのは大変ですし、自宅の売却資金がなければ、買い替え資金を捻出できないご家庭が一般的です。

そのため、条件に合う2住戸分を買えそうな物件が見つかるまでは、賃貸住まいをはさんで、物件探しに時間をかけるのが好ましいと考えています。

仮住まいを避けたいがために、妥協して条件に合わない物件を手に入れるのはNGです。

たとえば、購入物件の築年数が古すぎると、将来、1人残されたお子さんが建て替え問題に直面する可能性が出てしまいます。

また、継続した賃貸収入を得られないリスクが出てしまうかもしれません。
「他人の生活音」が少ない角部屋を探す
加えて、働けないお子さんの中には、「他人の生活音」が気になるという人が少なからず存在します。

それまで1軒家に住んでいて、他人の生活音を気にせずに暮らしてきたケースでは、両隣に部屋がある環境に適応できないことが想定されます。

そのため、2部屋のうちのどちらかの部屋は「角部屋」を手に入れることが望まれます。

「同じマンション内に2部屋購入する」「お子さんの部屋は角部屋にする」などは、かなりハードルが高い住み替えプランになるのが現実です。

さらには、お子さん自身が住み替えを拒否するケースも多いので、実際に家の買い手は見つかっても、お子さんが引っ越しを拒否して売却話が流れることもあります。

ですが、コンパクトな住まいに住み替えることによって、

将来の家賃収入が望めるだけではなく、水道光熱費などお子さん自身の生活費を抑えられますし、ゴミ出しの問題も軽減する
はずです。

売却価値の高い家に住んでいるご家庭には、このような住み替えプランも検討してもらいたいと考えています。

住み替えプランは実行にいたるまでにかなりの時間を要します。

親御さんがすでにリタイアしていて、家の築年数が古い場合には、1日でも早く住み替えについて検討してほしいと思います。

検討した結果、住み替えはどうしてもしたくないという結論に至った場合には、家を修繕したり、補強するためのリフォームプランが必要です。

家に不具合が出てきた時に、お子さんがリフォーム業者を探して修繕を行うとは考えにくいので、できるだけ親御さんの代で家を直しておくことが望まれます。

兄弟姉妹への不公平な相続をどう乗り切るか
さて、ここまで、働いていないお子さんが家を相続する前提で、住み替えプランの説明をしました。

しかし、住まいのほかに金融資産の多くも働いていないお子さんが相続するケースが多いため、他の兄弟姉妹との間の相続では不公平感が生じます。

そこで、家族信託の仕組みを利用して、兄弟姉妹の方の不公平感を抑える方法も提案しています。

家族信託は、民事信託の仕組みの1つで、親が健在なうちに財産の管理や処分を家族の誰かに託せる手法です。

■家族信託で不公平感を抑える方法
ここでは、働いていないお子さんが実家を相続する前提で、家族信託の仕組みをご説明します。

家族信託では、

資産を託す人(委託者 = 親)
資産の管理を託される人(受託者 = 兄弟姉妹)
資産を受け取る人(受益者 = 働いていないお子さん)
が存在します。

「相続」というスキームでは次の相続人までしか指定できませんが、家族信託を利用すると、「その次の受取人(受益者)」を指定できます。

働いていないお子さんが相続した親の家について、

働いていないお子さんが亡くなった後の受取人(受益者 = 不動産をもらう人)を兄弟姉妹の誰か、あるいは兄弟姉妹のお子さんに指定できる
のです。

この手法を使うことで、最終的には家の権利を兄弟姉妹の方に戻せます。

兄弟姉妹の方に権利が戻るまでには相当な時間がかかるものの、最終的には、家を自立しているお子さんの方に譲る約束ができるわけです。

サバイバルプランでは、不動産だけではなく、現金資産の多くも働いていないお子さんに相続させるケースが多いため、ご兄弟姉妹間の不公平感は大きいと感じています。

その不公平感を少しでも軽減するための手法として、家族信託の利用を検討する機会は今後増えていくと考えています。
自立している兄弟姉妹へは、親の切実な思いを伝える必要がある
ところで、親御さんの多くは、働けないお子さんに資産の多くを渡すことは仕方のないことだと考えています。

ですが、兄弟姉妹に不公平な相続を受け入れてもらえるのか、その確認をしていない親御さんがとても多いという現実があります。

働いていないお子さんが、親亡き後を生きるために不公平な相続が生じるのであれば、親御さん側は、不公平な状況になってしまう兄弟姉妹に対して、きちんと状況説明をして、できれば謝罪の気持ちを伝える必要があります。

「あの子はこの先も働けないと思うので、家と貯蓄の多くをあの子に渡したいと考えている。
相続で同じ権利を持つ兄弟としてはかなり不公平に感じるはずだが、何とか受け入れてもらえないだろうか。

その代わり、信託の仕組みを利用して、家については最終的におまえやおまえの子ども達に渡せるように努力しようと考えている」

など、親御さん側の申し訳ない思いと、兄弟姉妹に対しても配慮していることを伝える必要があると考えます。

サバイバルプランは、金銭面で親亡き後も食べていく方法を模索するものですが、その成否は兄弟姉妹の協力がどの程度見込めるかにもかかっています。

「兄弟なんだから、わかってくれるはず」というのは、見通しが甘いと言えるでしょう。

引用先:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190915-00010002-manetatsun-bus_all

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