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拳銃自殺の高1少年、3丁所持? 入手ルートに浮上する「外交官の父」の素顔
  • 〈昨日、私は拳銃を拾った。あるいは盗んだのかもしれないが、私にはよくわからない。これ程美しく、手に持ちやすいものを、私は他に知らない〉  芥川賞作家、中村文則のデビュー作『銃』(新潮文庫)の冒頭部分である。


    小説の主人公は次第にその“死と直結した機械”に魅せられていくが、真正の拳銃で自らの命を絶った15歳の少年Aもまた、同様の気持ちを抱いていたのだろうか。何しろ、ここへきて、彼が所持していたのは自殺に使用した拳銃だけではない可能性が浮上。自宅からは、大量の実弾の他、拳銃整備用の油とブラシまで見つかったのだから――。  Aが使用した拳銃は、 「アメリカにある『スミスアンドウェッソン』社製のM60というモデル。色は銀色で銃身が短く、小型タイプのメジャーな回転式拳銃です」(警視庁関係者)  ステンレス製の38口径、5連発のリボルバー式。Aがその拳銃の冷たい銃口を頭にあてて引き金を引いたのは、今月8日、午前8時頃のことだった。場所は東京・八王子市の新興住宅街の一角にある2階建ての一軒家。発砲音を聞いた母親が2階の部屋に上がったところ、頭から血を流しているAを発見した。彼の頭には、左側から右側に銃弾が貫通した痕があった。 「事件当時、家には母親だけではなく、Aとは年の離れた姉もいた。2人のうちのどちらかがAの体をベッドに移動させており、拳銃はその枕元に置いてあった。当初は他殺の線も疑って捜査1課も動いたが、そのうちに自殺と断定され、1課は退いた」(同)  15歳の少年がホンモノの拳銃を使って自殺。それだけでも前代未聞だが、捜査が進むにつれ、事件はさらに異例の展開を見せる。 「少年の部屋を調べたところ、タンスの引き出しの奥から、実弾50発以上が見つかったのです。机の上には、革製の拳銃ホルダーも置いてありました」  と、社会部記者。 「さらに、別の部屋も調べたところ、物置部屋のクローゼットの中に別の自動式拳銃の弾倉と、革製の拳銃ホルダー2個が個別にビニール袋に入った状態で見つかった。そこには拳銃を手入れするための油やブラシもあった。弾倉に弾は入っておらず、自動式拳銃の本体部分は今のところ見つかっていません」  Aの自室の拳銃ホルダーは自殺に使った拳銃を収めるためのものだったのだろう。物置部屋で見つかったホルダーのうち、一つは自動式拳銃用。もう一つは……と考えていくと、Aは最多で3丁の拳銃を所持していた可能性があるのだ。  Aの母親は聴取に対し、 「(Aが)拳銃を持っていることは知らなかった」  と話しているが、そこに「家族の肖像」の一端が見える、と捜査関係者は話す。 「息子の部屋にホンモノの拳銃や実弾、拳銃ホルダーがあったのに母親が事前にそれを見つけられなかったのは、息子の部屋に入れなかったからなのかもしれません。彼は中2の頃から不登校になっていたといいますし……」  警視庁は拳銃の入手先として二つのルートを調べている。一つはダークウェブなどの「ネットルート」で、Aの携帯電話やパソコンの解析が進められているが、 「そもそもダークウェブ内で拳銃はそこまで流通しておらず、発見するのは結構難しい。Aは中学の時にパソコン部に入っていたとはいえ、それほど簡単に買えるわけではない」(同)  そして、捜査線上に浮かんでいるもう一つの入手先が「父親ルート」。外務省職員だったAの父親が外国で入手し、外交官の通関免除で持ち込んで自宅に保管していたものではないか、との見方が出ているのだ。 「父親ルート」が“当たり”なのだとするとまさに「事実は小説より奇なり」である。一体、その父親とはいかなる人物なのか。  Aの父親はすでに他界しているが、父親本人のものと思しきフェイスブックのアカウントが残されている。それによると、出身は広島県尾道市で、千葉県内の高校を卒業している。 「高校卒業後に外務省に入り、職員として働きながら日大法学部の新聞学科の夜間に通い、卒業しています」(親族)  外務省関係者によると、 「彼は会計や庶務を担当する『III種』の採用。入省後、メキシコに赴任しているのは、『日墨プログラム』に参加したのでしょう。III種採用の人にスペイン語を学んでもらうプログラムです」  フランス大使館、ブルガリア大使館、アルゼンチン大使館などで勤務した彼が帰国したのは2004年。帰国後、東京・小平市に居を構えたのは、前回記事「拳銃自殺『高1少年』に残された謎 不登校と父の死、難病…入手ルートは」でお伝えした通りである。フェイスブックを見ると、その後、12年に外務省を退職し、自営業で新しい仕事をスタート、とある。


    「万引きで退職」


    「外務省を辞めたのは、万引きがバレたから、と聞いています。自分から退職すれば問題にしない、と外務省側から言われ、退職することになった。それで、運送関係の仕事を自分で始めたそうです。ちなみに外務省時代から、休みの日は自宅の自分の部屋にこもり切りで子供の世話などはあまりやらない父親だったと聞いています」(先の親族)  新たな道を歩み始めた6年後の18年、脳梗塞を患い、言語障害が残った父親は、昨年1月に八王子に引っ越した後、死去。こうした「不幸」がAの心に暗い影を落としたのは間違いないが、自殺直前の先月末、八王子市内の通信制の私立高校に通い始めていたAの身にも異変が。激しい腹痛で病院に行ったところ、難病の潰瘍性大腸炎と診断されたのだ。それが自殺の直接の「引き金」となったのかどうかは定かではない。 「拳銃の入手先については、親族の間では、『父親が赴任先から持ち帰ったものだろう』と話しています。もちろん推測ですが」(同)  先の捜査関係者が言う。 「少年の母親は、『(夫が赴任していた)アルゼンチン時代に、護身用に拳銃を持っていたのを見た』と供述しています」  外務省は、職員が赴任先の国で拳銃を所持することを禁じている。こうした点と点を結んでいくと「父親ルート」が濃厚であるように思えてくるが、決めつけるのは早計。なぜなら、 「『父親ルート』は拳銃捜査を担当する警視庁の組対5課が流しているフシがある。少年の家が『武器庫』のようになっていたことが分かってきて、現在、警視庁内では“組対5課は何をしていたのか”と批判の声が上がり始めている。それで責任逃れのために『父親ルート』を匂わせているわけです」(先の警視庁関係者)  銃器評論家の津田哲也氏はこう指摘する。 「少年が使用した拳銃のシリアルナンバーを辿れば、拳銃の製造年や販売店、購入者の身分も分かる。購入者の身分証の確認が不十分だったとしても、少なくとも、どこの国で販売されたものかは判明するはず。だから、父親のルートで入手したのかどうか、ある程度分かる可能性もある」  拳銃に刻印されたその数字の裏には、どんな物語が隠されているのか。 「週刊新潮」2020年6月25日号 掲載


    引用先:https://news.yahoo.co.jp/articles/ca689f07827119bd3b1f294656fb9e4344d20272


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