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当事者目線で考えた 状態からわかる「引きこもり度チェックリスト50」

2014.10.09

山形県で「発達障がい家族会mamoruno」をつくり、当事者目線の個人活動を続ける高村孝子さん(45歳)は、前回紹介した「引きこもり6分類40タイプ」の他に、心の状態像から50項目の「引きこもりチェックリスト」を作成した(「高」の字は正確には「はしごだか」)。

40歳を過ぎて「広汎性発達障害(PDD―NOS)」と診断された高村さんは、理想や目標、やりたいことがから回りし、多くの時間をとられた挙句、何もできずに後になって後悔していることがわかった。そこで、それからは自分の身に何が起きているのか、自分自身を研究する機会が増えたという。

これまでも『共助のための記録スケール』や『誰でも自己管理できる当事者のためのチャレンジドガイド』などの資料を作って、研究会などで専門家に見てもらったり、つながりを求めたりしてきた。

「引きこもりという言葉は、マイナスイメージが付きやすく、他人の状態がわかりにくい。周囲の人も声をかけにくいし、本人も悩みを打ち明けにくい。当事者は、どうしても認めたくないとか、ネガティブな言葉を口にしがちだけれど、後ろ向きの人生の中にも積み重ねた実績がある。だから自分を信じてほしい。そして一歩ずつ、できることを増やして、前向きにできることを考えられるようにしていきたいんです」

高村さんは、そんな期待も込めて、もしかしたら引きこもりの入り口に差しかかかっているのかもしれないと気づいた友人や知人、自分自身の情報を基に、心の状態や葛藤を分類化。「引きこもりチェック」を作成した。

「引きこもりチェック」を通して、当事者が
自己理解を深めるきっかけになったり、周囲の人が自分のことのように身近に感じ取ってもらったりして、支援の輪が広がることを願っている。

こうして少しずつ「引きこもり」傾向を6分類40タイプに抽出していく過程で、1週間もかからないうちに100項目の「心の状態像チェックリスト」ができ上がった。しかし、100項目ではあまりに膨大過ぎると考え、半分の50項目に削減したという。

50項目に答えれば引きこもり度がわかる!
「引きこもり状態像チェックリスト」

チェックは、当てはまるものに対する合計点数を積算していくことの他に、50項目の中から「常に当てはまるもの」「時々当てはまるもの」「体調が悪いときに当てはまるもの」をそれぞれ書き出して行っていく。

【引きこもり状態像チェックリスト】

常に当てはまる→4、時々当てはまる→3、体調が悪いとき、当てはまる→2、どちらでもない→1、まったくない→0

1. 出かけたいのに出かけられない
2. 限定した対象者としか付き合えない
3. 人の話を聞いているに理解できない
4. 話しているのに伝わらない
5. 目的や興味が自宅の外にあれば、興味を維持できる範囲で限定的に外出できる
6. ネットとつながっていれば、限定的に我慢できる範囲で移動や外出ができる
7. 宝物を持参すれば、外出できる
8. 独自のリズムを自分の意思で決定できれば、週1~2回または月1回外出できる
9. どうすればちょうどよく目標の時間までに準備できるのか、わからなくなる
10. やりたい予定がたくさんありすぎて、やるべきところを削るか制限してしまう
11. 一般的な消費の経済概念がわからなくなり、お金をあるだけ使ってしまう
12. 距離感がわからなくなる
13. 経験の再現を嫌がる、不快に思う、避ける
14. 臨機応変に動くのが苦手で、出かけるのを避けたくなる。
15. 興味があることに過集中するために、食事や排泄、睡眠、衛生保持を忘れて、日常生活が営めない
16. 薬の副作用による睡眠や外見的症状、心理的な変化で劣等感を持つ
17. 自分が設定したやるべきこと、やり残したことを、その日のうちに消化できない
18. 人から決められるとできない。人から言われるとできない。人から縛られるとできない
19. ささやかな用足しでも、過剰な責務を感じる
20. ハローワークに通うものの、なかなか仕事に就けない。就職しなければ、と焦る気持ちがある
21. 数時間後に無事起きられるか、自信がなくて眠れない
22. 誰かが何とかしてくれると思っている。迷惑をかける範囲がわからない
23. 病院が苦手。服薬拒否
24. やり出したら止まらない
25. やり残しをなかなか解決できない
26. 生きがいを持てない。意欲を持てない
27. 外見的失敗・行動的失敗がある
28. 極度の心的ストレスやトラウマがある
29. 頭の中で考える事が忙し過ぎて日常生活が営めない
30. 今何をするのが一般的な行動かわからない
31. 考えがまとまらないので、睡眠時間を削って考え続ける
32. 同時進行が難しい
33. 沢山の選択枝があると困惑する
34. マイナス評価を受けやすい
35. 一生懸命やっているのに成果にならない
36. 聴覚・視覚・嗅覚過敏の特性があり、具合が悪くなりやすい。不快にならない時間帯や場所を選べば外出できる
37. 炭酸飲料が飲めない。白米が食べられない。嫌いな食べ物がある。アレルギーがある。無添加食材や無添加原料のものを持参すれば、外出できる
38. 衝動買いしそうな店、パチンコ店、イベント会場など避けて通れば外出できる
39. 目的地に辿り着く前に具合が悪くなる
40. 体調管理をしっかりしようと焦れば焦るほど体調が悪くなる
41. 体調管理を考えると、外出しにくい
42. 公共の乗り物に乗るのが苦手
43. 苦手な人に会うのを避けようとすると、学校や職場、用足しに出かけられない
44. 似たような経験・境遇の人以外に心を開けない。自分にチャンネルをあわせてくれる人以外に心を開けない
45. 気分が落ちているときは、誰とも話せなくなる。外出できなくなる
46. バイオリズムが崩れているときは、誰とも話せなくなる。外出できなくなる
47. ネットの友人以外に心を開けない
48. 漫画や単行本のキャラクター以上に愛する人に出会えない
49. ゲーム内のミッションをクリアしなければ、日常生活に戻れない
50. 生きづらさを感じるのは、自分の特性からくるものと、環境の影響によるものと、いずれも当てはまると思う

高村さんの考えた「引きこもりチェック」合計点数による評価は、次の通り。

0: まったく引きこもりの要素がない人

50点以下~1点: 引きこもり状態は出現していないが、その要素は内在している人。本人も認めたくないと思っている

51点以上~100点: プチ引きこもりな人

101点以上~150点: 仕事はできるかもしれないが、もしかしたら手助けを求めているかもしれない人

151点以上~: 引きこもり状態にある人

あなたは「何型引きこもり」?
6タイプの引きこもりへの対処法

ただ、こうした200点満点の採点だけでは、なかなか次の展開につながりにくい。

そこで、高村さんは、50項目のチェックから「常に当てはまるもの」「時々当てはまるもの」「体調が悪いときに当てはまるもの」をそれぞれ書き出すことを勧める。そして、自分の最も重要だと思われるタイプを絞り込んで、6分類にあてはめる。

それによって、以下の6つの属性のうち、自分がどこのパターンに多く含まれているかがわかると指摘する(カッコの中の数字は、チェックリスト50項目の数字)。

【適応困難型引きこもり】
ヒアリング・ロック型(3)、主語なし型(4)、あれこれ型(4) 専門用語型(4)、時間感覚鈍麻型(9)、経済概念鈍麻型(11)、 距離感覚鈍麻型(12)、経験恐怖・困惑型(13)、 臨機応変恐怖・困惑型(14)、 ダイバー型(15)、処理困惑型(17.33)、睡眠障がい型(21)、 制御不能型(24)、繰り越し型(25)、無気力型(26)、思考多忙型(29)、思考停滞鈍麻型(30.31.33)、積み上げ型(32)

【特性擁護型引きこもり】
ホームグラウンド型(5)、二次元共存型(6)、自己決定型(8)、経済の縛り型(10)、責任回避型(19)、特性擁護型(36.37.38)バイオリズム優勢型(45.46)

【心の縛り型引きこもり】
心の縛り型(1.2)、多勢拒否型(18)、責任回避型(19)、非受容型(23)、現実逃避型(27.28)、突発型(39.40)、予測型(41)、 限定型(44)、二次元友人優先型(47.48)、ゲーム優勢型(49)

【ジレンマ型引きこもり】
ジレンマ型(20.35)、非現実型(34)

【環境影響型引きこもり】
副作用型(16)、依存型(22)、環境影響型(42.43)

【複合型引きこもり】
複合型(7.50)、責任回避型(19)

(注釈 1)
前回の6分類40タイプを簡素化して作成した。

(注釈2)
19番は、責任回避型タイプなので、ささやかな用足しでも過剰な責務を感じるについて、特性養護型と心の縛り型の両方に答えを書いた。これは、 心の傾向によりウエイトが変化するもので、今後の研究課題でもある。

高村さんの考える「どのように周囲の人とつながればいいのか、希望を引き寄せる6タイプの対処法」は、次の通り。

【適応困難型】→どんな補助・自助努力があれば補正可能か
【特性養護型】→前向きに維持するにはどうすればよいか
【心の縛り型】→トラウマや妨げる心の解放方法
【ジレンマ型】→現実とのバランスの保ち方
【環境影響型】→地域とのつながり方
【複合型】→療育・治療・リハビリ・社会資源の活用

「自分のタイプがわかれば、どういうふうに自分ができることを考えたらいいかを導き出すこともできる。周囲の人に、支援のプランを立ててもらうこともできるんです」

例えば、自分はトラウマが強いという性質を支援者に申し出やすくなる。

高村さんは、こう説明する。

「皆さん、何十年先まで人生を背負って生きる。引きこもり支援は一律ではない。タイプによって、支援の仕方はまったく変わってくると思う。周囲の方や支援者には、少しでも状態像を把握理解して頂き、見守って頂けたら幸いです」

こうしたチェックリストを基に、他のいろいろな採点方法や情報収集、評価の方法があってもいい。高村さんは、皆で引きこもりの状態を考えるきっかけにしてもらって、活用してもらえると嬉しいと話している。

 

引用先 ダイヤモンドオンライン

http://diamond.jp/articles/-/60291

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