依存症
依存症とは、行為や思考のコントロール障害です。 アルコール依存症、ゲーム依存症、買い物依存症、暴力(DV)など依存症にはいろいろなものがあります。 様々な依存症に共通するのは、自分の意志ではコントロールできないということです。 人は、心のさびしさや不安を紛らわそうと、身の周りにあるものに依存します。 たとえば、アルコールやたばこなどの「物質」に向かうものを「物質依存」といいます。 また、家族を暴力などで支配しようと「人」に向かうのは「人間関係・対人依存」といいます。 ギャンブルや買い物などの行為をする過程で得られる快感にはまってしまうのが「行為・過程(プロセス)依存」といいます。 これら三種類の依存は、本人だけでなく周囲もトラブルに巻き込んでしまう悪い依存です。
依存症とは、行為や思考のコントロール障害
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日常生活に支障をきたしているにもかかわらず、お酒や薬物の使用・ギャンブル・買い物などにのめり込み、それがやめられず、自分の力だけではコントロールができなくなった結果、自身を傷つけ、周囲を巻き込むなど、社会活動が困難になります。本人は「やめたくてもやめられない」状態に変化をしており、特定の物質や行為を「よくないことだ」とわかっていてものめりこんでしまいます。このように依存傾向が強まると、多くの場合で「社会生活に問題を起こす」状態になり、仕事や対人関係など社会生活、家族間でのトラブルが増加してきます。また社会的な犯罪の背景に、依存の問題が存在していることもあります。
依存症は、自己流では解決が難しいですが、専門家による正しいケアとサポートを受けることによって回復することが可能です。
依存症は大きく3つに分けられます
- ※依存の種類が1つだけとは限らず、図の円が重なるように、2つ3つと複数の依存が合併する場合もあり、クロスアディクションと呼ばれています。1つの依存を抑制したために、新たな別の対象に依存し始める場合もあります。
依存症と他の精神疾患が合併している場合には、一般的には依存症の治療をまず行ない、その後あるいはそれと並行して、精神安定剤や眠剤などの薬物を用いた治療も必要となることもありますので、専門の医療機関につながることが大切です。
各依存症の詳細
- アルコール依存症
- 薬物依存症
- ギャンブル依存症
- ネット依存症
- ゲーム依存症
- 買い物依存症
- 窃盗症
- 食依存・摂食障害
- 恋愛依存症
- 回避依存症
- 共依存
- 性依存症
- DV
- ストーカー
- 自傷行為依存
- 依存性パーソナリティ障害
アルコール依存症
反復的なアルコールの使用により飲酒をコントロールすることが困難になり、身体的症状や社会的に有害な結果が見込まれているにもかかわらず、自分でアルコールを止めることができない病気です。世間一般では、アルコール依存症は「毎日多量に飲む」「酒にだらしがない」「酒乱」といったイメージが強いですが、眠りやストレス発散を目的とした飲酒の増加、飲酒後の記憶の欠落の増加、飲酒した翌日の意欲低下、飲酒していない際の離脱症状の出現(発汗・不眠・手のふるえ等)といった特徴もあります。
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- 次のうち3項目以上当てはまればアルコール依存症が疑われます
- 夕方になると飲みたい、悪いと分かっていても飲みたいといった強迫的飲酒欲求がある。
- お酒を飲まないと寝付けないことが多い
- 時間に関係なく飲酒し、飲む量をコントロールできない。
- 酒量を減らしたり止めた時、手の震え、発汗、不眠などの離脱症状が出現する。
- お酒に対する耐性ができ、これまでの量では酔えなくなり、酔うまでの量が増す。
- 生活・仕事・健康に有害が生じると分かっていても飲酒してしまう。
薬物依存症
薬物依存症といえば、覚せい剤や大麻など違法薬物のイメージが強いですが、処方薬や市販薬などへの依存も含まれます。インターネットの発達によって薬物が入手しやすくなっている事実もあります。これまでも違法薬物、危険ドラッグなどが売買されていたことは記憶に新しいですが、最近は若者たちの間での「スマートドラッグ」の広がりがネットニュースなどで話題になっています。賢く、集中力を高め、頭の中をクリアに…などといった願いをかなえるためにサプリメントへ手を伸ばす学生たちが増えている一方、本来処方箋が必要な薬物もネット上でやり取りされているという問題が生じています。
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- なぜ薬物にいぞんするのか・・・
- 薬物を摂取した時、大抵の場合、高揚感や爽快感など、いつもとは違う感覚を体験します。その時、これまでとは違う自分になったような力や自信を感じ、それによって心が癒されたり、劣等感から解放されたりするなど、劇的な効果を体験した結果、手放せなくなっていきます。すると、元々の量では効果を感じられなくなるため(耐性の上昇)、使用する量や機会が増え、習慣化していきます。その結果として依存症の状態になり、進行すると身体や精神に大きな影響を与え、触法行為や入退院を繰り返すようになります。
ギャンブル依存症
ギャンブル依存症とは、ギャンブルによる影響で日常生活に支障をきたしているのにもかかわらず、自力でやめることができない状態を指します。パチンコやパチスロ、公営競技(競馬・競輪・競艇・オートレース)、くじ(宝くじ・スポーツくじ)のような賭け事によって得られる刺激や高揚感などを脳が「報酬」「良いもの」と認識することで、過度にのめりこみ、自分をコントロールできない状態になります。
ギャンブルというプロセスにはまり、消費者金融、サラ金、ヤミ金などからの借金、失職、家族不和、うつなどの弊害を伴うことが多くあります。
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- ギャンブル依存症になりやすい人の特徴
- ・ギャンブルに関する経験・体験(若年期のギャンブル体験(父母・祖父母が行なっているのをみていたことを含む)、ギャンブルで大勝ちした経験)
- ・金銭的問題を抱えている(自身が借金している・家族や友人がギャンブルの問題を抱えている)
- ・性格的傾向(負けず嫌い・脅迫的)
- ・性別(男性に多い傾向)
- ・環境(退屈・目標がない・ギャンブルしやすい環境にいる)
ネット依存症
この症状にはいろいろな呼び方(ネット依存症、インターネット依存症、携帯依存症、スマホ依存症、など)があります。
高校生~大学生に多く見られ、不登校やひきこもりの原因になると言われています。ネットにはまると実生活とネット世界の区別ができなくなり、そのものを取り上げようとすると、暴力で抵抗されたりします。実世界とインターネットの世界がひっくり返ってしまうのです。また思春期では親への反発もみられ、友達とのつながりを強く求める傾向があり、強迫観念があって、メールには直に返信しないといけない、既読となってるのに返信しないのは失礼だ、既読になっているのに返信がこないため不安で何度も携帯をチェックするなど精神的に不安定な状態となってくると、さらに携帯電話やスマホ、パソコンを手放せない状態になっていきます。
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- 次のうち5つ以上当てはまると【病的な使用】とされています
- ・ネットに夢中になっていると感じる
- ・予定よりも長時間使用する
- ・制限しようとしてうまくいかなかったことがある
- ・トラブルや嫌な気持ちから逃げるために使用する
- ・使用しないと落ち着かない、いらいらする
- ・熱中を隠すため、家族らにうそをついたことがある
- ・使用時間がだんだん長くなる
- ・ネットのせいで人間関係などを台無しにした、しそうになった
ゲーム依存症
オンラインゲーム、パソコンやスマートフォンなどを利用したゲームへの過度な依存によって、日常生活に支障をきたす疾病のことです。 WHOによると、以下の症状が12か月以上続いた場合「ゲーム障害」と診断されます。
・ゲームを行いたいという衝動が抑えられない
・日常生活の何よりもゲームを優先する
・仕事や学業、健康等に支障をきたしても、ゲームがやめられない
・ゲームを継続することで、個人、家族、社会、学習、仕事などに重大な問題が生じる
ただし、特に新興の早いとされる幼少期においては、全ての症状にあてはまり重症であれば、より短い期間でも依存症とみなすとしています。
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- ゲーム依存症になる3つの要因
- 1「ゲーム要素」ゲームには達成感や成長、仮想世界で仲間とつながる非日常感など、自分が主人公となり、自分の判断や成長、スキルなどによって結末が大きく変わっていくゲーム要素。
- 2「環境」自室にゲーム機がある、または両親が共働きで家に子供だけがいる時間が多い。などの、いつでも簡単に長時間ゲームができる環境だと、ゲームが習慣化されてしまう。
- 3「脳内ドーパミンの分泌」ゲームはプレイヤーの脳を強く刺激し、脳が興奮状態になるように作られているため、快楽物質であるドーパミンを大量に分泌します。その分泌によってやる気が出て、幸せな気分になり、結果的にゲームに没頭していきます。
ゲームに依存してしまうと、人との関りが減ってしまうので他人との接し方を忘れてしまう可能性もあります。さらに、「暴力描写のあるゲームをプレイしていると、そのプレイヤーまで暴力的になりやすい」という研究結果まであり、そこから家庭内暴力にまで発展するケースもあります。
買い物依存症
買い物をすると気分が高揚し、一時的に嫌なことが忘れられるので、繰り返し買い物をしているうちに欲しい物を買うのが目的でなく、買い物自体が目的になり、コントロールができなくなる状態を言います。衝動的に買いたい欲求が抑えられないため、借金を繰り返し、自己破産に至るケースもあります。買った後罪悪感にさいなまれ、自己嫌悪に陥ります。
窃盗症
物を盗みたいという衝動・欲求を制御できず、コントロールできなくなる病気です。物を盗む衝動に駆られ、それを抑えることに何度も失敗します。窃盗の前には緊張感や高揚感があり、実際に窃盗を犯す時は快感、満足または開放感を経験します。多くの場合は小売店から盗んでいますが、自分の家族から盗むこともあります。盗む物を自分が欲しいとか、お金がないからという理由ではありません。また、転売して儲けようといった考えがあるわけでもありません。盗んだあとに人にあげたり、隠したり、こっそり返しにいくこともあります。盗った物は個人的な用途や金儲けのために必要とされないことが多く、捨ててしまったり、隠したり、常に貯めておいたり、人にあげたりすることがあります。
食依存・摂食障害
食べることに対する衝動コントロールがうまくいかないことを指しています。 摂食障害には食事をほとんどとらなくなってしまう拒食症、極端に大量に食べてしまう過食症があります。拒食症では、食事量が減る、低カロリーのものしか食べないことから体重が極端に減る、やせて生理がこなくなるといった症状があります。過食症は、いったん食べ始めるとやめられない、むちゃ食いしては吐く、食べすぎたことを後悔し、憂うつになるなどの症状がみられます。拒食症から、過食症になることもあります。 「やせたい」という強い思いがあるため、本人はなかなか治療したがりません。しかし、低栄養から様々な体の不調につながり、死に至ることもある病気ですから、治療の重要性を伝えることが必要です。摂食障害は、様々なストレスが要因となっていることも多く、周囲の人の理解やサポートがとても大切です。
恋愛依存症
付き合っている相手に対して、または付き合うという行為そのものに対して執着し依存する恋愛依存症。女性に多く見られ、ただの恋愛体質とは違うこの依存症に陥ってしまう人が最近増えているようです。 大切な相手と一緒にいて幸せなはずなのに常に不安がつきまとっていたり、相手の行動や考えをすべて自分が管理したいと思うようになってしまいます。相手に求められることで満足し、ほったらかしにされることを何よりも嫌うのが特徴です。
回避依存症
恋愛依存症と対になる言葉として、回避依存症というものがあります。回避依存症は男性に多く見られ、深い人間関係を回避する癖がついている人を指します。好意を持っている相手がいてもそこから恋愛になってお互いのことを理解し合う必要があることを考えると億劫になり、モテないわけではないのにいつまでも恋愛に発展しないという人は少なくありません。面倒なことを嫌がって一人で過ごすことを好み、その結果人との付き合い方を忘れてますます恋愛が遠のいてしまうという悪循環が生まれてしまいます。
共依存
共依存とは特定の相手との関係に依存しすぎる状態のこと。恋愛関係、友人関係、親子関係など人間関係全般に現れます。相手との関係性において自分の価値を見出すことになるため、自分自身を見失ってしまったり、危険な状況を招いたりすることも。お互いがお互いに依存してしまう関係です。
性依存症
一般的には身体的・社会的なリスク(性犯罪など)を冒してまで性的問題行為をすることがしばしばあったり、特定の性的行動(不倫、マスターベーション、のぞき、痴漢など)がやめられない、売買春など不特定多数の人間とセックスをする、風俗通いなどがやめられず金銭的に困窮している、強制わいせつ罪や迷惑防止条例違反など法に触れるような行為など、性的行動のコントロールが効かなくなる状態のことを言います。
DV
“ドメスティック” は、家庭内での事、家庭内に関する事、自国・国内に関する事を意味します。“バイオレンス” は、激しさ・強烈さ・暴力・暴行を意味します。 “ドメスティック バイオレンス” とは、家庭内の配偶者や、恋人など親密な関係にある、またはあったものから振るわれる暴力という意味です。これは、単なる喧嘩ではなく、加害者から被害者への一方的な身体的暴力であることが圧倒的に多いのですが、身体的だけでなく、一方的な支配などの心理的暴力、経済的暴力、性的関係を強要する性的暴力も含まれます。
ストーカー
ストーカー行為とは、特定の人に繰り返してつきまといを行う事をいいます。過去においては、有名人を追いかけたりすることを意味していましたが、最近はこれだけでなく別れた恋人や妻を追い回す事もふくまれるようになりました。言い換えるならば、相手と限りなくつながりを求めたり、相手を束縛したり、支配しようとする、ゆがんだ人間関係といえます。この意味においては、人間関係への依存と考えることもできるかもしれません。
自傷行為依存
自傷行為とは、ネガティブな気分を軽減する、人間関係のトラブルを解決する、ポジティブな気分になるといったことを期待して自分の体を意図的に傷つける行為です。自らを死なない程度に傷つける行為で、その多くは10代~20代に見られます。自傷行為はやめたくてもなかなかやめられません。誤解されやすいのですが、自傷行為そのものは自殺するための行動ではありません。自傷行為をする人は、精神的につらい時期とそうでない時期を繰り返しています。つらいときに、一時的につらくないようにするための手段が自傷行為なのです。
依存性パーソナリティ障害
依存性パーソナリティ障害は、他者に対して過度に依存(頼ったり、すがったり)する障害です。世話をしてもらいたいという欲求が過剰で、いつも他者に従って行動します。日常のささいなことを判断するにも他者のアドバイスが必要で、自分の人生における重要な決定であっても他者の言うとおりにします。自分の考えで何かを計画したり、成し遂げたりすることができません。意欲や気力がないわけではなく、自分の能力に自信がないためです。また、依存性パーソナリティ障害の患者さんは、他人に依存できなくなることが怖くて、「おかしい」と思ったことでも反論することができません。他人から世話を受けるためなら、本当はいやなことがあっても我慢したり、みんながしたがらないことを引き受けたりもします。理不尽な状況になっても自己主張しないため、身体的もしくは精神的な虐待を受けることが少なくありません。一人でいることに激しい不安感や無力感を抱くため、依存できる人を失うとうつ病になるリスクが高まります。そんな時、依存性パーソナリティ障害の患者さんは必至になって、他に依存できそうな人を探します。
依存症からの「克服」
止めなくてはいけないけど止められない人は、自分が依存症なのかもしれないと不安になってしまっている人も多いのではないでしょうか? 依存症は自分の意志だけで治すことはなかなかできません。できるだけ早めに家族や専門家に相談しましよう。存症を克服するには、本人の努力だけではどうにもならないことがあります。専門家によるサポートが必要なのはもちろんですが、家族や周囲のサポートも大切になります。 本人が克服しようと努力している場合は、家族もできる限りサポートして、克服できるように精一杯の支援をしてあげましょう。
止め続けていても、ふとした瞬間に再びしてしまうことは非常に多いため、今までとは違う生き方を学ばなければなりません。依存症になる場合、依存対象に頼らざるを得ない「生きづらさ」が根本にあることが多いため、そこを見つめず、ただ依存だけをやめようとしても、本当の意味での回復とはいえません。
時間をかけて自分と向き合い、場合によっては過去のトラウマを克服することなどで、依存症からの回復が可能になることが実証されています。
- ジーサポートでは、依存症か否かの「診察や診断」といった医療行為は行っておりません。依存症の方々によくみられる「様々な依存症の特性」を理解し改善・解決へ向けてのアドバイスやサポート(社会復帰・自立支援)を、ご提供しております。私たちが、ご家族の皆様の悩みや問題を全力でサポートし解決へと導いていきます。