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世界でも注目を浴びる日本のひきこもり。その実態を浮彫りにしたドキュメンタリー映画「ひきこもり – 沈黙の声を聴く – 」

2015.07.13

日本国内で100万人の人(その大半が男性)が自室に引きこもり、外に出てこない。専門家は今、次世代の若者が同じ運命で苦しむことにないよう問題の解決に取り組んでいる。引きこもりは家庭を引き裂くだけでなく、国家経済をも脅かす懸念があるのだ。

 海外でも日本の「ひきこもり」現象が注目を集めている。ドロテー・ロラングとデビット・ビュートルは日本に渡りひきこもりの実態を徹底取材、マシュー・カーニーのレポートによるドキュメンタリー映像を制作した。題して「ひきこもり – 沈黙の声を聴く – 」である。

東京に住む大西ユウトさんはほぼ3年に渡って自室に引きこもってきた。昼間に眠り、夜中に起きてネットやマンガを読んで過ごす。18歳となった彼は、家族や友人との関わりを一切絶っており、外に出るのは人のいない夜更けに食事に出かけるときだけだ。

 ユウトさんは、引きこもりを始めてからとても楽になったと語る。何もせず、何も考えずにすむ日々が快適だったのだという。

学校のプレッシャーから引きこもりに 

 中学校のとき班長だったが、他人からの批判に耐えることができず、テストに失敗したことをきっかけにその場から逃げ出した。推定100万人とされる引きこもりの人たちは、家族や社会からのプレッシャーに押しつぶされたケースが多い。

 自身にも同じ経験があるという引きこもりの専門家、加藤隆弘氏によれば、西欧においては両親は子供に外に出ていくよう促すが、日本はそうではなない。遊びも変わり、全ては画面上でのものだ。現実の状況ではなくなってしまった。
 
 また、文化的な要因も指摘される。恥の意識や母親との相互依存が強いのだ。

引きこもるほどに、外に出ることが困難に

 その原因や治療方法はほとんど理解されていないが、加藤氏は次代の若者たちの引きこもりを止めようと決意を固めている。同氏は九州大学で問題の解明に当たるチームを率いている。加藤氏によれば、ほとんどの研究は心理的な側面を掘り下げるものだが、引きこもりは単なる精神疾患ではないのだそうだ。この問題には社会的、生物学的な側面も関連しており、多角的な診断を行う必要がある。

 引きこもりから立ち直るまでの道のりは長い。その期間が長ければ長いほど、復帰がむずかしくなる。加藤氏が診る23歳の患者は、セラピーを受け始めて1年になる。押し付けがましい母親と学校でいい成績をとらなければというプレッシャーが原因で引きこもるようになった、と彼は話す。すべてに蓋をして、何も考えず、何も感じないでいたかったらしい。

コミュニケーションと信頼の再構築がドアを開く鍵

 加藤氏によれば、家族との関わりが変化しない限り、引きこもりが治ることはないという。つまり、家族全員がカウンセリングに参加する必要がある。その最初の一歩は、コミュニケーションと信頼の再構築だ。

 ユウトさんが部屋から抜け出してから今では6ヶ月になる。旅行や海外で働きたいという希望を持っていたことが、部屋から出る動機になった。早期の介入が成功したのだ。トラウマを直視することは中々できない、とユウトさん。誰かが一緒ならば、また別の未来を指し示してくれるという。

 ユウトさんは外の世界に戻ってきたが、日本には他にも大勢の引きこもりがおり、差し迫った現実として残っている。

引用先 記事詳細URL
http://karapaia.com/archives/52196229.html

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