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「大人のひきこもり」の数は想像以上 端緒は就職氷河期の採用抑制か
2019.06.24
駅前、住宅街…ごく身近な場所で、世間を大きく揺るがす事件が立て続けに起きた。5月28日、神奈川県川崎市でスクールバスを待つ小学生児童や保護者ら20人を次々と刃物で切りつける事件が発生した。犯行直後に凶器の包丁で自殺した岩崎隆一容疑者(51才)は、定職につかず、携帯電話もパソコンも持っていなかった。容疑者には、「ひきこもり」傾向が指摘されている。
4日後の6月1日には、東京都練馬区の住宅街で、元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者(76才)が、無職の長男・英一郎さん(44才)を刺殺。川崎の事件を受けて、「このままでは息子も第三者に危害を加えかねない」と危機感を感じての犯行だったという。これもまた、「ひきこもり」が要因となった悲劇だった。
いずれの事件の中心にも中高年の無職男性がいたことから、「大人のひきこもり」が社会問題としてクローズアップされている。
内閣府は今年3月、初めて中高年(40~64才)を対象にひきこもりの実態調査「生活状況に関する調査(平成30年度)」を実施した。調査では、中高年のひきこもりが全国に61.3万人いることがわかった。2015年の若年層を対象にした調査では、ひきこもりの人数は54.1万人だったことから、今回の中高年の数字と合わせると、ひきこもり人口は全国に100万人以上いることが明らかになった。
『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)など数多くの著書がある作家の橘玲さんは「その数字よりはるかに多くても不思議ではない」と話す。
「秋田県藤里町の戸別調査によると、対象年齢(18~55才)に占めるひきこもり比率は8.74%。仮にこの数字を全国に当てはめると18~55才の人口5703万人(2017年)のうち、約500万人となります。都市と地方の違いなど、単純に当てはめることはできませんが、決して荒唐無稽な数字ではないでしょう」
ひきこもりの自立支援を行うワンステップスクール代表の廣岡政幸さんもこう話す。
「ここ数年、30~40代のひきこもりの子供を持つ70~80代の親からの相談が急増しています」
年老いた両親(80代前後)がひきこもりの子供(50代前後)の生活の面倒をみる「8050問題」はより深刻なひきこもり問題だ。「大人のひきこもり」はなぜ増えているのか。
「そもそもひきこもりは、バブルが崩壊して経済が低迷し、1990年代半ばから約10年にわたって続いた就職氷河期で新卒採用が大幅に抑制されたことに始まります。正社員になれない若者は『自己責任』と片づけられ、社会に出るタイミングを逸して親に依存する『パラサイト・シングル』(1997年に登場した造語)になりました。世間から排除されたまま20年あまりが経った今、彼らが『大人のひきこもり』として社会問題になったのです」
そう分析する橘さんをはじめ、多くの専門家が口を揃えるように、そうした要因が1つの背景にあることは間違いないだろう。
引用先:https://www.moneypost.jp/552884
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