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「自立支援施設に拉致監禁された」と提訴…ひきこもり“引き出し業者”の実態とは?
2019.06.20
高橋さん(仮名・30代):
無理やり引きずり回される形で車に押し込められました。完全に監禁状態に置かれた。
【画像】ひきこもりでないのに拉致監禁!?引き出し業者とは…
「直撃LIVEグッディ!」のカメラに恐怖を訴えたのは、10年間自宅でいわゆる“引きこもり”の状態だった30代の男性。
彼は「無理やりひきこもり自立支援施設の職員らに連れ出され、施設に閉じ込められた」などと主張し、精神的に大きな苦痛を負ったとして、施設の運営会社に550万円の損害賠償を請求する訴訟を起こしている。
川崎市・登戸駅近くで発生したひきこもり状態だった男による無差別殺傷事件や、元事務次官の父親がひきこもり状態の息子を殺害した事件などが発生する中、“ひきこもり”の子供の自立を支援する団体への関心が高まっている。
しかし、“ひきこもり”から自立支援施設へ入所させる過程で、説得し円満に入所させることができる場合もあれば、トラブルが起きている事例もあるという。
今回取材に答えてくれた高橋さん(仮名・30代)の身に一体何が起こったのか?
高橋さんは大学卒業後の10年間、仕事につかず大学院に入るための勉強のために自宅や図書館で勉強をし、週末には教会にも出向いていたという。
しかし、生活が一変したのは2018年5月。
高橋さん(仮名):
父親が部屋の中に入りこんできて「今からこの人たちのお世話になりなさい」と言われた。「こっちに来てもらう」と腕をつかまれて、引きずり回される形で車に押し込められた。
強引に車内に押し込めたという自立支援施設の職員らに対し、高橋さん(仮名)は「これは拉致ではないか」と抗議をした。すると、施設の職員は「自分たちは、仕事につかず収入がない高橋さんの後継人だから、保護するのだ」と持論を展開したそうだ。
高橋さん(仮名):
こんな法的根拠もないのに乱暴する人たち。この後、本当に殺されちゃうんじゃないかと思って生きた心地がしませんでした。
高橋さんは入所させられた施設で身の危険を感じ、スキを見て脱出し訴訟に踏み切った。
高橋さんが訴えたのは、東京都内の自立支援施設の運営会社。
会社のパンフレットには【同じ目線で説得】【何時間でも対話を繰り返し必ず説得を成功させます】という文章が書かれている。施設側は、高橋さんの訴えについて「言っていることが対立しており、訴訟を提起されている内容なので裁判で明らかにしていく」と今後の法廷で争う姿勢を見せている。
今回高橋さん(仮名)が訴えたのは、いわゆる、ひきこもりの“引き出し業者”。
・ひきこもりやニートで悩む家族が相談・依頼をする
→ 自立支援施設がひきこもりの子を説得して家から“引き出し”
・カリキュラムに参加、寮生活で自立を支援
→ 社会復帰を目指す
立本信吾アナウンサー:
“引き出し業者”全般が悪いということではなく、一部が問題視されていると言う状況なんですよね?
加藤順子氏(ジャーナリスト):
全体が悪いかどうかわからない、実態がよく知られていないというのが現実です。説得してと書いてありますが、本当にちゃんと説得していないというところで問題になっている例がかなりあるようです。
立本信吾:
今回、“引き出し業者”をめぐって訴訟が起きているという状況で。提訴した原告、高橋さん30代の方です。この方は自身がひきこもりだという自覚はないと話されていました。
原告:高橋さん(仮名・30代)
・自宅から強制的に地下室に連れていかれ8日間監禁された。連れていかれる際に机に押さえつけられて、車に入れられる時にあざができたり、監禁罪・暴行罪にあたるのではと高橋さんは主張。
・「あなたのような未成熟子には何も言う資格はない」という言葉も浴びせられた。
・8日間監禁された後は精神科病院に50日間入院を強制され、そのあとも施設に連れていかれての監禁が続いたと主張
被告:自立支援施設
・「言っていることが対立しており、訴訟を提起されている内容なので裁判にて明らかにしていく」と主張。
ヨネスケ:
こういうのって、強制的に連れていくんじゃなくて、何度も何度も足を通わせて一つ一つ話を持っていくものなんじゃないですか。
加藤順子氏:
移送を伴う自立支援施設をやっている方の中には、こういう無理やり連れだす形の業者が台頭してきた事にものすごく迷惑を感じている方もいると思います。
立本信吾:
家族にも苦悩があるんです。これはあるケースで、高橋さんとは違うケースです。
<引きこもり家族の苦悩>
・2年間自ら説得も効果なし
・行政やカウンセリングも解決できず
・支援団体に頼り施設へ
この60代父親は「きっかけがあれば息子は外に出たいと思うんじゃないかいと多少強引に動く必要がある。わらにもすがる思いだった」と話す。
立本信吾:
とにかく外に一度出せば何かが変わるんじゃないかと。このケースは施設に入って成功したということなんですけど…。
安藤優子:
説得するのか無理やり連れていくのかによって全く出てくる結果が変わると思うんですが。
加藤順子氏:
被害者の中にはPTSD症状に悩んでいる人たちが、結構たくさんいますね。夜叫び声で眠れないとか、また連れていかれる夢を見たとか…。
安藤優子:
中には心療内科的な専門知識が全くないのに、ただ引き出すこと、それから施設に入れることだけを目的とする業者が出てくると、本当に取り返しのつかないことになるんじゃないかと思うんですが。
加藤順子氏:
おっしゃる通りだと思います。ひきこもってなくても連れていかれていますし。聞いた話ですけど、遺産相続に絡んで兄弟が入れちゃったっていう話もあります。
田村勇人弁護士:
高橋さんの話だと、精神科病院に50日間入院を強制されたと。その話が本当だとしたらお医者さんの診断書が出てるってことですよね。お医者さんの協力がないとできないということですよね。
加藤順子氏:
そうですね。精神指定医と手を組んでいる業者もあります。
田村勇人弁護士:
ちょっと闇が深そうですね…。
安藤優子:
すごく大きな事件が続いて社会問題化してくると、政府がプロジェクトとか立ち上げるじゃないですか。でもそうやってアドバルーン挙げた後、その世話をするのは民間企業に降りてくるんですよ。そのあたりの混乱というのが、今この問題にも表れていると思うので、私たちはこの裁判からどういう実態が見えてくるのか、きちんと見ていきたいなと思いました。
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