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子どもを励ます言葉「頑張れ」には落とし穴 子どもを肯定する言い方は?
親や先生が子どもによく言う言葉に「頑張れ」があります。子ども自身がやる気満々で「さあ、頑張るぞ」と思っているときに、この言葉は励みになります。しかし、子どもによっては、また、同じ子どもでも時と場合によっては「もっと頑張らなきゃダメ」「まだ努力が足りない」と言われたように感じてしまうこともあり得ます。例えば、疲れて休みたいとき、自信をなくして落ち込んでいるとき、既に目いっぱい頑張っているときなどです。
「頑張れ」のリスクを理解する
そのため、「頑張れ」は子どもが今どのような心理状態なのかを理解した上で言う必要があるのです。善意から出た言葉が子どもを傷つけることはよくあります。特に、非常に繊細な子、頑張り過ぎてしまう子、思春期・反抗期の子などに「頑張れ」と声を掛けるときは気を付けてほしいと思います。 このように「頑張れ」という言葉には一定のリスクがあります。そこで、私がおすすめしたいのが「頑張ってるね」という言葉です。実際、子どもはみんな、とても頑張っています。サボっている子などいないのです。そして、この記事を読んでいるあなたも結構頑張っているはずです。親として、職業人として、社会人として、みんな、一生懸命頑張っているのです。決してサボってなどいません。 そのときに「もっと頑張れ」と言われると「十分やっているよ」と言いたくなると思います。逆に「頑張ってるね」と言われれば、「自分のことを見てくれている」ととてもうれしく感じるはずです。それにより、頑張るエネルギーがさらに湧いてくるかもしれません。 また、「この人、自分のことを分かってくれている。なんていい人なんだ」と感じて、相手に対する信頼感が大いに高まる可能性が高いと思います。子どもも全く同じです。子どもにも「頑張ってるね」という言葉を贈ってあげてほしいです。 この「頑張ってるね」という言葉は相手の「ありのままを肯定する」ということでもあります。つまり、「ありのままのあなたで大丈夫だよ」という意味なのです。中には、「ありのままを肯定すると、もう頑張らなくなるのではないか?」と思う人がいるかも知れませんが、決してそうではありません。人は他者から、ありのままの自分を肯定してもらえると、今の自分を肯定できるようになります。それによって、生きるエネルギーが自然に湧いてくるものなのです。 もともと、人間の中には「もっと伸びたい」「よりよくなりたい」という向上心とエネルギーがあります。しかし、いろいろな障害によって、そのエネルギーが流れにくくなっているのです。その障害とは「自分はダメだ」「自分には能力がない」という自己否定の気持ちです。「頑張ってるね」という言葉に込められた「ありのままのあなたでいいよ」というメッセージを受け取ることで、そうした障害が取り除かれていきます。 子どもを肯定する上で、いくつか具体的な例を挙げます。 子どもが嫌々宿題をやっていたら、「集中しなきゃダメだよ」ではなく、「頑張ってるね」と言いましょう。兄弟の仲をよくしたいのであれば、「仲よくしなきゃダメ」ではなく、「あなたたち、仲がいいね」です。掃き掃除をしている子には「ちゃんと掃かなきゃダメだよ」ではなく、「助かるよ。ありがとう」「上手に掃けているね」と褒めましょう。 同様に、子どもが急須でお茶を入れていたら、「こぼしちゃダメだよ」ではなく、「上手、上手」、子どもの絵を見たら、「もっと丁寧に描かなきゃ」ではなく、「すごく迫力があっていいね」と言ってあげてください。 そして、子どもだけでなく、自分自身にも「自分、結構頑張ってるね」と言ってあげましょう。また、夜寝るときは「今日もまあまあ頑張った。自分なりに頑張った」と自分を褒めてあげるのです。そうすることで、明日もまた頑張ろうという気持ちになれます。
引用先:子どもを励ます言葉「頑張れ」には落とし穴 子どもを肯定する言い方は?(オトナンサー) – Yahoo!ニュース