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「引きこもり」本人同士が支え合い活路を見出す、異色の人生道場

2016.10.20

引きこもる本人同士が相互に
支え合う「ピアサポート」とは?

主催者も参加者も、すべて引きこもり当事者と経験者のみ。そんな異色の「ひきこもりピアサポートゼミナール」が横浜市で開催され、注目されている。

ひきこもりピアサポートゼミナールとは、「似たような経験をした当事者同士が相互に支え合っていく」ためのゼミナール形式の学習会。つまり、「ひきこもり本人や経験者同士が、共通のひきこもり経験を活かし、米国保健省の研修テキスト(Training in Consumer-Operated Services:ピアスタッフネットワーク訳)や演習を通して、今後、“ピア”として活動する際の“考え方のベース”を身につけよう」という、かなり本格的な学習の場だ。

主催者は、「神奈川県内でも希少な」ひきこもり当事者グループである『「ひき桜」in横浜』(割田大悟代表)。2015年に発足したばかりの同団体では、“ゆるさ”を大事にしながら様々な企画を通じ、参加者同士が「つながる」ことを目的に活動していて、最近では参加者の数も25人~30人と増え続けている。

「“自分たちの色々な問題や将来のことは、自分たちで支え合って解決できるといいな”っていう思いはずっとあったんです」

割田代表は、そうきっかけを説明する。

「今までも“居場所”などの活動はありましたが、“居場所”にとどまらない社会的活動を自分たちでできないかなと探っていました。その中で、“ピアサポート”を学ぼうと思ったのは、精神障害の領域で盛んになっているので、引きこもりの世界でも十分にあり得るのではないかと思ったんです」

当事者同士が支え合うための社会的活動を考えたときに、そもそも「ピアサポートって何だろう?」ということをお互いがよく知らないまま活動を始めてしまうと、「ピア活動をしている」と言いながら、実際には「既存の専門職や支援者がやっている活動とあまり変わらなくなるのではないか」と、割田さんたちは危惧したという。

「自分たちが目指しているのは、あくまで対等で相互的な関係で行われる意味のピアサポートなので、既存の活動と違うアプローチもいいんじゃないかと思っているんですね。このゼミナールは、『ピアサポートとは何なのか?』をみんなで一緒に考えて、それぞれ自分たちでピアサポートのあり方を模索する試行的な取り組みんです」(割田代表)

何と言っても、同ゼミナールの最大の特徴は、参加者が「ひきこもり当事者・経験者」のみと限定している点だ。

そんな当事者たちの中でも、「今後、ピア活動をしたい方」「ピアサポートを深く学びたい方」向けに、3~4人の少人数グループで演習を行っている。

ゼミナールの半分以上を演習に充て、解説は最小限にしている。なぜなら解説を一方的に行うことで主催者と参加者の間に上下関係ができてしまい、対等な学び場が崩壊してしまいかねないからだという。

また、テキストを補う形で「オリジナル用語集」を作成しているのも特徴だ。用語集には解説を豊富に掲載していて、参加者ができるだけテキストを深く理解できるように工夫している。

年間スケジュールによると、すでに第1回学習会は8月20日にスタート。来年2月までの全12回の学習を通して、(1)「信念体系・考え方」、(2)「環境」、(3)「ピアサポート」、(4)「教育」、(5)「リーダーシップ」、(6)「アドボカシー」という6領域の理論体系をじっくり学ぶことができるという。

「同じ当事者でも、家族会のピアサポートとは違って、やはり本人や経験者のピアにこだわっています。扱っているテキストが非常に難しい米国のテキストなのですが、これまで参加者からは、ピアサポート活動の際に持っておくべき概念や心得、考え方を学べるという評価や、安心して話し合えるという声もいくつか挙がっています」(割田代表)

「自分にもできるかもしれない」
対人援助に目覚めた引きこもり女性

ゼミナールのチラシにも、こんな参加者の声が紹介されていた。

「人にどう思われるか、思われているかが気になって仕方がない私に、人と関わる“対人援助”なんて、とてもではないが無理だと思っていたのですが、ゼミナールを受けることによって私にもできることがあるかもしれないと、自分に自信が持てるようになりつつあります」

次回は、10月22日(土)に行われる第5回講座の領域(3)「ピアサポートの本質・基本について」。以後、隔週土曜日の午後5時半から8時半まで開催され、12回終了後の2月下旬には、「ひきこもり大学ピアサポートゼミナール活動報告会」として、ゼミの年間報告やゼミ受講生と地域住民との対話・共有、今後のピアサポートのあり方について、などが話し合われる予定だ。

「ゼミナールの打ち合わせには相当の時間をかけています。これまで20回以上の打ち合わせと膨大な時間のテキスト読み込み、用語集の作成、さらにゼミ運営の改善のために毎回アンケートを取り振り返りをするなど、気合の入れ具合は相当なものだと思います。それほど自分たちはこのピアサポート学習会が今後のピアサポートのあり方について重要な位置づけを持つものだと思っているし、こういった活動を主体的にできることを、少なくとも自分は誇りに思っています」(割田代表)

このゼミナールは、地域活動支援事業「ともしび基金」の助成事業で行われていて、参加費は1回あたり500円(飲み物・お菓子付き)。定員は先着順で20名、1回のみの参加も可能。会場(神奈川県内)については、主催者が申込者に直接伝えている。

活動の広がりが期待される
ピアサポートの核心に迫る

ちなみに、次回の詳細は、次の通り。

<第5回ひきこもりピアサポートゼミナール~ついにピアサポートの核心に迫る!~ 2016年10月22日(土)17:30~20:30 場所:横浜駅周辺(参加決定者のみ連絡) 内容:ピアサポートを理解する導入部分を学習します 参加対象者:ひきこもり当事者・経験者で、注意事項すべてに同意いただける方 参加費:500円 定員20名 詳細・問い合わせ:http://hikizakura.hatenablog.com

また、主催者である<第13回ひきこもり当事者グループ「ひき桜」in横浜>の次回開催は、次の通り。

<2016年11月23日(祝)13:00~16:00 場所:神奈川県立青少年センター3階「研修室①」 内容:まったり居場所・女子会・卓球など(予定) 参加対象:ひきこもり当事者・経験者でかつ、禁止行為を行わないなど最低限のルールを守れる方 参加費:100円 申込み・問い合わせ:hikizakura.yokohama@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)

割田代表は、「こういう反応されたら、こう返したほうがいい」的な既存の支援のノウハウやスキルではなく、理論を学ぶことに重要性を感じている。
「将来、どのようなピア活動するかは、個々によって違うので参加者にお任せしています。ただ、ベースになる核がなければ、ピア活動という名の押し付けだったり、他の支援者がやりかねないことを自分たちも平気で真似しちゃったりする可能性もあるわけです」

当事者同士がお互いに支え合っていく社会を目指す「ピアサポート」は、地域での居場所づくりだけでなく、今も社会的関係性が遮断している当事者に対するアプローチなどへの応用など、今後の活動の広がりが期待されている。

 

引用先 ダイヤモンドオンライン

http://diamond.jp/articles/-/105155

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