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「自分狂ってるな」ゲーム依存、9年間で8回入退院…男性の苦悩

2019.05.08

【リアルはどこに ゲーム依存を考える】

 20畳ほどの一室に10~40代の男女20人が集まり、誰からともなく口を開く。「スマホがないと不安で」「高校を辞めることにしました」…。ふてくされた表情の中学生や、体を前後に揺らし続ける男性もいる。
 福岡県久留米市にあるのぞえ総合心療病院の「集団療法室」。インターネット依存の低年齢化に危機感を抱き、2012年から集団療法を採り入れた。入院、通院の患者同士が語り合うことで、自分を見つめ直す心理療法の一つだ。
 入院患者の3分の1近くを占める未成年も、多くがゲームや会員制交流サイト(SNS)との付き合い方に問題を抱える。親にゲームを取り上げられ、包丁を振り回したり灯油をまいたりして連れてこられた子どももいる。
 数カ月間の入院でパソコンやスマートフォンから離れ、心身を休ませ、規則正しい生活を取り戻す。自分の考え方を振り返り、ネットとの付き合い方を考える。「家庭や学校、地域の機能が落ちていることが背景にある。安心できる居場所がゲームしかない状態だ。依存は一種のSOSではないか」と堀川公平院長(67)は話す。
 「自分が病気だという自覚はある?」。進行役の精神科医が、集団療法室で静かに耳を傾けていた健介(30)=仮名=に話を振った。健介は淡々と答えた。「自分の意思と関係なく行動してしまう。あっ、自分狂ってるな、と思います」

 健介がオンラインゲームに没頭し始めたのは高校1年のとき。ネット上で出会った名前も知らない人とチームを組み、敵を銃で撃ち倒すゲームにはまった。
 〈助かった〉〈スーパープレー〉。仲間からチャットで褒められると、胸が弾んだ。画面の向こうに人がいる。独りぼっちじゃないと思えた。高校の誰にも言えなかった親の離婚を、ぽろっと打ち明けたのも、ゲーム仲間だった。一緒に暮らす看護師の母は、家を空けることが多くなっていた。
 夜は電灯を消し、午前3時まで熱中した。昼夜逆転で遅刻や欠席が増えた。高校は何とか卒業したが、その後は飲食店のアルバイトを辞め、ひたすらパソコンの前に座り続けた。1日1食のご飯がおいしいと感じられなくなった。母に話しかけられても無視。ゲームに負けると「こんちくしょう」と大声を出し壁に穴を開けた。
 日中は苦しかった。同級生が学んだり働いたりしている時間で、後ろめたさがあったのだろう。夜になると気持ちが落ち着いた。
 病院を訪れたのは20歳の時。病気という自覚はなかったが、困り果てた母に連れられた。3カ月の入院中は順調だったが、退院して1人暮らしを始めた途端、再発。主治医や母に「ゲームしてない」とうそをつき、インターネットカフェに入り浸った。家賃が払えなくなった。バイトも続かなかった。結局、9年間で8回入退院を繰り返した。 

健介が治療を始めて10年。今も週に1回、病院で診察と集団療法を受けている。仕事に就くため、職業訓練施設にも通い始めた。妻子と暮らし、かつてのような孤独感はない。でも再発の怖さを常に感じる。
 「ゲームを触るとスイッチが入る瞬間がある。そうなると時間を忘れ、周りが見えなくなる。自分を止められない。いつになったら大丈夫になるんだろう」

 子どもや若者のオンラインゲームへの依存は「現実世界(リアル)がしぼんでいく病気」といわれる。その実態は。どう向き合えばいいのか。ネット社会の影を見つめ対応策を考える。

中高生の7人に1人 5年で倍増
 インターネット依存はネットやオンラインゲーム、会員制交流サイト(SNS)などを使い過ぎる状態。日常生活に支障が出て、暴力や引きこもり、うつ病などの合併症や脳の障害を引き起こす恐れがある。厚生労働省は2018年8月、病的なネット依存が疑われる中高生は5年間で倍増し、推計93万人に上ると発表した。全体の7人に1人に当たる。半数前後がネットのやり過ぎで成績低下を経験していた。
 このうちゲームへの依存について、世界保健機関(WHO)は同年6月、「ゲーム障害」として新たな疾病に認定、国際疾病分類の最新版「ICD-11」に追加すると発表した。分類上はギャンブル依存症などと同列になる。
 最新版は19年5月の総会で採択し、22年1月に施行予定。(1)ゲームをする時間や頻度などをコントロールできない(2)日常生活の中でゲームを最優先する(3)問題が起きてもゲームを継続、またはエスカレートする-といった症状が12カ月以上続いた場合にゲーム障害と診断できる。重症時は期間が短くても診断できる。

引用先:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/508409/

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