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「8050問題」から見える社会構造の闇 心のつながりを取り戻す社会に

2019.07.06

昨今、「8050(はちまるごーまる)問題」が注目されるようになってきた。これは80代の親が50代の子供の生活を支えることからこう呼ばれている。80代の親の主な収入源は年金となる。中高年の引きこもりの数は内閣府の調べによると実に61万人に上るという。専門家に言わせればまだまだ実態をとらえておらず、この人数より多いことは明らかであろう。(芝蘭友)

 引きこもりの子供が何か事件を起こすのではないかと心配した親が、子供を殺してしまったという事件も記憶に新しい。引きこもりといえば、小さな子供たちが自宅に閉じ籠もると思いがちだが、現代の日本では、40~64歳までの引きこもり当事者の推計人数が約61万人。40歳未満の約54万人を上回っているのである。

 この構造では、年金が尽きたときに80代の親と、50代の引きこもりの子供の命も尽きるということになる。親が亡くなっても誰にも相談できず、そのまま遺体を放置するケースも多発。するとこれは死体遺棄事件となる。8050問題には現代社会の負の縮図がつまっている。

 負の縮図といえば、思い出す人がいる。「保健室にくる生徒たちは、社会の縮図である」という人物である。先日、インタビューさせていただいたのが子供の心の闇に向き合ってきた人物、桑原朱美氏である。授業エスケープ、自転車で廊下を走る、天井を壊して歩く、対教師暴力が続く教育困難校の教員として、25年間勤務された。

 現在は、保健室コーチングというプログラムを、看護師や保健師相手に指導している。子供たちはちょっとしたきっかけや思い込みで、教室に入れなくなり、学校に通えなくなるという。保健室に通ってくる小中学生に向き合える時間はわずか10分。休み時間は10分しかないのだ。すぐに話をするならばいいが、保健室にやってきても何も話をしない子供も多いという。そんな中、桑原氏は子供たちの本音と向き合う道具を作り上げてきた。印象的だった言葉は、「夢=(イコール)職業だと思う風潮を何とかしたい」ということであった。

 現場を見てきてどんな心の問題が多かったのかと尋ねたところ、コミュニケーションを中心とする人間関係だという。「自分に自信がない」「周りが自分のことをどう思っているか気になる」など。桑原氏が訴えているのは、「保健室コーチングは、人間理解である。一つ上のメタな視点から人間を理解する。同じ出来事があっても、すごく深く落ち込んでなかなか立ち直れない子もいれば、逆に、それほど落ち込むこともなく、すぐに立ち直る子もいる。その違いを理解して、生きる力を育てたい」とのこと。

 生きる力とは何なのか。人生100年時代において、ますます自らの生き方が問われる時代になっている。また社会の負の縮図も同時に浮かび上がってくる事態になっている。相談できる人がいないということほど孤独なことはない。

 社会構造の闇は大きくなるばかりである。働き盛り61万人の社会不参加による経済損失はいかばかりか。社会はいったい何ができるのか、真剣に考えなければならないテーマではないだろうか。

引用先:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190706-00000504-fsi-bus_all

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