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いじめや拒食症…「ひきこもり女子会」で語る体験 抱える生きづらさ
2019.07.23
生きづらさを抱える女性が集まって交流する「ひきこもり女子会」が11日、北九州市小倉北区の市立男女共同参画センター・ムーブであった。女性の引きこもりは、主婦や家事手伝いという肩書の陰に隠れ、支援につながりにくいとの指摘がある。当事者や支援者ら約60人が参加し、引きこもりを経験した2人の女性の話から、苦しみの背景を考え、支援の在り方を探った。
「客観的に振り返っても劇的な幼少期でした」。中学卒業後に引きこもったという20代女性はとつとつと話し始めた。暴力を振るう父親から母親と一緒に逃げたのが5歳。転居先で困窮し、母親が心中を考えたほどだった。経済的安定を求めて60ほど年の離れた男性と3人で暮らしもした。
中学2年で“別室登校”になったのは、クラスの雰囲気になじめなかったから。高校推薦の話も入学金がなく断った。全く外出しないわけではなく、時々は友達と会ったりした。「周囲の目は怖かったけど、引きこもりという自覚はなかった」と振り返る。
同級生が就職や進学をする中、「このままでいいのか」と焦り、19歳で市ひきこもり地域支援センター「すてっぷ」を訪れた。その後、若者の就労を支援する国の機関に紹介された短期アルバイトで自信がついた。今は飲食店でアルバイトしている。
親から「お金が掛かるから外に出ないで」
15年間引きこもったという別の30代女性は、幼稚園の頃から、家庭では話せるが、学校などでは話せなくなる場面緘黙(かんもく)症に苦しんだ。学校では「死んでしまえ」などといじめられ、中学3年で不登校に。拒食症で入院した病院で緘黙症の症状は落ち着いたが、通信制高校を卒業後、「お金が掛かるから外に出ないで」と親に言われ、再び大半を自宅で過ごすようになった。
転機は30歳で勇気を出して参加した小学校の同窓会。離婚や親の介護の話になった。「みんなつらいことがある。私だけじゃないと知り、自然に前を向けた」。複数の支援機関を経て、当事者のフリースペースでボランティアを始めた。「利用者が慕ってくれ、自己肯定感が上がった。『あなたがいたら雰囲気が違うよ』と言われてうれしかった」。6年間関わり続けている。
問題視されにくい女性の引きこもり
「家事育児は女性の仕事」との性別役割分業意識はいまだ社会に根強く、女性はずっと家にいても問題視されにくい。本人も生きづらさを感じながらも、引きこもりとの自覚を持てず、支援につながりにくいとされている。主婦や家事手伝いの中にも引きこもり状態の人がいるとして、政府が把握に乗り出したのは2018年のことだ。
職場の人間関係に疲れて4年前から働けなくなり、社会との接点が薄れたという50代女性は「女性は日中うろうろしていても不審がられない。でも今の状態から抜け出す手掛かりが欲しい。就労支援はあっても、そこまでできない人の居場所が少ない。こんな集いがあればいい」と話した。
ひきこもり女子会は、行政や民間で当事者支援に携わってきた女性6人でつくる「北九女子一歩会」が初めて企画。メンバーの一人ですてっぷ元センター長の田中美穂さんは「大人に十分守られなかった子どもが、自分を生かし続けることの苦しさをみなさんの話から感じた。つらさやきつさ、情けない話も、聞いてほしいときに行ける集まりにしていきたい」と最後をまとめた。来年も開く予定という。
専業主婦も家事手伝いも 「就労支援だけでなく」
引きこもりは就労の有無と結び付けられ、男性中心の問題と捉えられがちだが、女性も少なくないことが政府や民間の調査から明らかになっている。
内閣府は2018年、40~64歳の男女3248人に文書で調査。47人(1.45%)が半年以上家族以外とほとんど交流せず、趣味の用事やコンビニなどにだけ外出する「広義の引きこもり」に該当した。うち4分の1を女性が占めた。11人は「専業主婦・主夫」「家事手伝い」などだった。
当事者の交流会を各地で開く一般社団法人ひきこもりUX会議(東京)も17年、会に参加するなどした女性369人に調査。76.6%が「人と交流したい」と希望しているものの、87.5%は「対人関係に漠然とした恐怖感がある」と答えた。「男性に苦手意識がある」は64.3%に上った。
女性限定の会は参加者の約3割が主婦。母との関係や職場のセクハラなどに苦しみ「生きていて申し訳ない」と自分を責めている人も多いという。林恭子代表理事は「従来の行政の支援には当事者目線が足りず、引きこもりが長期化して『8050問題』を招いた。就労ありきでなく、性別にも配慮し、安心して話せる居場所づくりが大切だ」と指摘している。
引用先:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190723-00010004-nishinpc-soci
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