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うつ病の54歳ひきこもり息子を抱えた一家…母亡き後、兄弟姉妹に求められる覚悟

2019.08.31

ひきこもりの長期化・高齢化が進んでいるためか、最近は高齢の親だけでなく、ひきこもり当事者の兄弟姉妹も同席して相談をするケースが増えています。兄弟姉妹が抱える不安の一つに「親亡き後、(ひきこもり当事者の)生活の面倒を見なければいけないのか」というものがあります。一体どうすればよいのでしょうか。

 長期化・高齢化したひきもりのお子さんは、親と同居していることがほとんどです。しかし、その親もいずれは亡くなってしまいます。当事者に兄弟姉妹がいる場合、「親亡き後の生活の面倒は兄弟姉妹が見ることになるのでは」と考える人も多いと思います。

 ただ、兄弟姉妹からすると「自分たちにも家族や生活があるので、親の代わりとなって生活の面倒を見ることなんてとてもできない」というのが本音でしょう。一方、親としては「何だかんだいっても、最後は兄弟姉妹が何とかしてくれるだろう」と心の底で思っている節があります。

 このように、親子間でギャップが生じていることがよくあります。このギャップを解消しておかないと、親が亡くなった後、兄弟姉妹が何もフォローせず、一人残されたひきこもりのお子さんは外に助けを求めることもないという、最悪のケースになることもありえます。それを防ぐために、親が元気なうちに「兄弟姉妹に頼めること/頼めないこと」をはっきりさせ、親子で共有する必要があるでしょう。
80歳の母と、ひきこもりの54歳の息子
 今回の相談者の家族構成は以下の通りです。

・母(80)
・父(すでに死亡)
・次男(54) ※ひきこもり当事者
・長男(55)と長女(52)にはそれぞれ家庭があり、独立別居
・現在は母と次男の2人暮らし

 母親は今年80歳になり、体もだんだん弱くなってきました。「自分が亡くなった後、次男の生活はどうなってしまうのか」と不安に思った母親は、別居している長男と長女それぞれに「私が亡くなった後、次男はお願いします」と電話で伝えたそうです。

「急にそんなことを言われても…」

 長男と長女は明確な返事をすることができず、困ってしまいました。そこで「一度家族で集まって話し合いをしよう」ということになりました。しかし、家族だけで話し合いをすると感情的になってしまい、何も解決できない恐れがあるので、冷静になるために第三者(筆者)を交えて話すことにしたそうです。

 当日は、母親、長男とその妻、長女がいらっしゃいました。4人とも不安な気持ちを隠すことができないようで、ごあいさつをした時の笑顔はどこかぎこちないものでした。椅子に座り一息ついたところで、まずは母親から次男の状況を伺うことにしました。

 次男はうつ病を患っており、月に1回通院をしています。症状は比較的軽いとのことですが、それでも仕事をすることは難しく、家の中で静かに過ごしています。調子が良いときは母親と一緒に買い物に出かけることもありますが、家の中のことは全て高齢の母親がやっています。具体的には、食事の準備や片付け、掃除、洗濯、ごみ出し、次男の服薬管理、金銭管理、生活上必要な手続きなどです。

「母親が亡くなった後、次男が1人で日常生活を送るのは難しいと思う。長男と長女にフォローをお願いしたい」というのが母親の要望のようです。

 それに対し、長男が筆者の方を向いてはっきりと告げてきました。「妻とも話しましたが、母が亡くなった後に生活の支援をすることは難しいです。何かを期待されるのも困りますし、押し付けられるのも勘弁してほしいです」。長男の妻も無言で控えめにうなずいています。

 続いて、長女も自分の考えを述べました。「できることがあれば、協力したい気持ちはあります。しかし、母の代わりとなって大部分の面倒を見るとなると、負担が大きく、とてもできそうにありません…」

 母親は悲しそうな表情で、長男と長女の顔を代わる代わる見つめていました。

福祉サービスの活用を検討
 重い沈黙がしばらく続いた後、筆者は母親に質問をしてみました。

「ちなみにご次男はお母さま亡き後、施設などに住み替えるお気持ちはあるのでしょうか」

「いいえ、今ある自宅に住み続けたいと言っています」

「なるほど、分かりました。お母さま亡き後、ご次男が自宅で暮らしていくためには確かにフォローが必要になるでしょう。しかし、ご長男やご長女にはそれぞれ、ご家庭があります。親亡き後の面倒を全てお願いするのは現実的ではありません。ご家族だけで抱え込もうとせず、外部の支援、例えば、福祉サービスを受けることも検討してみてはいかがでしょうか」

 筆者は福祉サービスを受けるためのざっくりとした流れをご説明しました。

(1)役所の障害福祉課(地域によって名称は多少異なる)に事前相談をしておく
(2)いくつかの支援団体に事前相談をしておく
(3)母親亡き後、相談や必要な手続きを速やかに行う
※役所と支援団体の間を何度も行ったり来たりすることは覚悟しておくこと
※相談に行く前に必ず電話で予約を取ること

「まずは役所で、息子さんの現在の状況やお母さま亡き後に生活する上で困りそうなことを伝えてください。どんな支援が必要になりそうか具体的に伝えるとよいでしょう。その後、希望する支援が受けられそうな団体をいくつか教えてもらい、そちらでも、同様の相談をすることになります。息子さんも相談に同席してもらうよう言われますが、同席が厳しい場合、あらかじめ息子さんの希望や意見をメモしておき、それを持参しましょう」

 筆者はさらに続けました。

「お母さま亡き後、息子さん1人で手続きをするのは難しいことでしょう。そこで、ごきょうだいの助けが必要になります。お母さま亡き後、一緒に相談に行って事情を説明したり、手続きをしたり、ということだけでも構いません。いかがでしょうか」

 長男夫婦は難色を示していましたが、長女はそれに応じました。

「そのくらいなら、私でもできそうなのでやります。事前相談も都合をつけてできるだけ母と一緒に行くようにします」

 その後、ご家族で話し合った結果、まずは母親と長女が行動することになりました。最後に筆者はご家族にお伝えしました。

「福祉サービスだけでは賄いきれない部分がどうしても出てしまいます。そのため、ごきょうだいのできる範囲でフォローをする、または民間のサービスも検討する、ということについても話し合わなければいけません。ご家族の話し合いは、これからも定期的に続けていく必要があります」

「はい、分かりました。それでも当面のやるべきことがはっきりとしたことで、まったく何も見えなかった状態に比べ、はるかに心が楽になりました。どうもありがとうございました」

 そう答える長女の瞳には、「覚悟」という名の小さな火がともっているように感じられました。

引用先:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190831-00047465-otonans-soci

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