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子どもの発達障害の権威が語る「乳幼児期の愛着形成」の大切さ

2019.08.27

子どもが発達障害になったときに親はどう対応すればよいのか、しつけと体罰の境界線は?etc.……、子育てに関するさまざまな情報が溢れる昨今。親たちはただ自分たちの子を「よい子に育てたい」と思いながら、「何が子育ての正解か正直分からない……」と思っている人が少なくないのではないでしょうか。
児童精神医学の第一人者として著名な杉山登志郎医師は、子育ての基本を書いた著書『子育てで一番大切なこと 愛着形成と発達障害』 (講談社現代新書)で、「いくつかの大事なことだけ押さえておけば、子供はじぶんで成長し、しっかり育っていきます」というメッセージを送っています。

よい子に育つ“コツ”というものは存在しない
多くの親やマスコミは、「よい子に育てるための“コツ”は何でしょうか?」と聞く。しかし、「これはしないほうがいい」ということは分かっても、「これはしたほうがいい」ということは断定することができない。
たとえばタバコの場合、吸うと不健康になる道筋は明らかだ。だが吸わなければ健康が保証されるかというと、そうではない。タバコを吸わなくても肺がんになる人もいるからだ。同様に、誰しもがよい子になれるコツというものも、おそらく存在しないだろう。

たとえば子供に関心を持たず、全く声がけをしなかったらネグレクト(育児放棄)で、とんでもないことが子供に起きてしまうのは当然だ。だがずっと子供を見続けて、一挙手一投足に声がけをすることが素晴らしい子育てなのかというと、それは疑問だ。
また子供には個人差があって、子育ては子供本人の気質の違いでかなり左右されるものでもある。子育てのコツを一般論にして語るのは、不可能に近いというのが事実だ。

種としてのヒトの子供は、少なくとも生まれてしばらくの時期は脆弱な存在であるのは確かだ。全面的なケアが必要だし、中学生になっても親の存在は重要だ。子育ての期間はとても長いと言っていい。
しかも環境のみで子供の性質が決まるわけではない。子供たちの持っている生まれながらの気質、つまり遺伝的な素因で、ある子には良いことが別の子にとっては悪いこともある。

育てにおいて重要なキーワードは“安心”と“好奇心”
それでも子育ての基本はある。ひと言で言えば“安心”だ。それは、母親と子供の両方にとって、である。
妊娠中から母親が安心していること、出産授乳期を通して安心して赤ちゃんに向き合えること、そして赤ちゃんが親に信頼を寄せる親子関係を作るうえでも欠かせないキーワードが“安心”だ。

もう一つ重要なことがある。それは、生命はその本質において多様性を愛する、ということだ。そうれでなければ自らが生き残ることができないからだ。
では生命を多様なあり方へと成長させる原動力は何かというと、好奇心である。
ヒトの子供に限らず、哺乳類の子供、さらには鳥の子供であっても、巣立ちの時には「これから何が起こるんだろう、世界には何があるんだろう」という喜びに満ちている。高い学習能力を持つ哺乳類や鳥類の知能の本質というものは、新しいものへの好奇心だ。そして好奇心によって、住む環境を変えたり、個体によって様々な変化を起こす。好奇心に導かれ、多様なあり方へと成長することは、地球上の生命として文明の存在以前に既定された、基本的な育ちのあり方なのである。

多様な子供達が、好奇心に支えられて多様な成長をしていくこと、それが良いことなのだ。もしそれが妨げられるとしたら、それこそが子供の育ちに困難をもたらすだろう。
“愛着”が形成されると外の世界に探索に行けるようになる
もう一点、子育てにおいて重要な「愛着」について話をしたいと思う。
「愛着」とは“アタッチメント”という英語を訳した言葉である。日本では「愛」という漢字に引っ張られてニュアンスが変わりがちだが、アタッチメントとはタッチするということ、つまり触れてくっつくということだ。
もちろん「愛」があってのアタッチメントであるが、大事なのは何のために触れてくっつくか、ということだ。それは、赤ちゃんが“安心”するためである。

赤ちゃんは0歳の後半を過ぎると人見知りを始める。安心できる人とできない人の識別を始め、不安に駆られるとお母さんに泣いて訴えて、じっと見つめる。さらに月齢が進んでハイハイができるようになると、不安になったらにじり寄るようになる。この、泣く、見つめる、にじり寄る、というのが愛着行動である。
子供は親から離れると不安になる、そこでまた親にくっつく。すると元気になってまた外の世界に探索に行く。これが日常的に繰り返されるわけだ。
たとえば見知らぬ人が来たとき、子供は母親にくっついて安心を得たら、見知らぬ人にも興味を示したり、相手ができるようにもなる。つまり、お母さんが安全地帯となっているのだ。

では保育園に行っている子供の場合、愛着形成はどうなるのか? 子供一人一人に対応できるだけの大人の数がきちんと揃えられている保育園であれば、全く問題はない。保育園に行っている子供の方が、ずっと母親が子供に付き合っている場合よりも親子関係が良い例が多い、というデータもたくさん出ている。

引用先:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190827-00019231-mimollet-ent

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