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実家暮らしを卒業した女性が語る「親と距離を取る大切さ」
2019.05.29
昨今、「家を出ない」「結婚しない」子供が社会問題になりつつある。2015年に厚生労働省が行った調査によれば「50才まで一度も結婚したことがない人」の割合を示す生涯未婚率は男性23.4%、女性14.1%。つまり男性の約4人に1人、女性の約7人に1人が一生結婚しない。未婚者のうち、親と同居する20~50代は約1430万人で、未婚者全体の約7割を占める。この人数は1980年からの35年でおよそ3倍に急増したという。
成人した子供と同居する場合、“天涯孤独”よりも深い落とし穴が待つ場合もある──そんな警鐘を鳴らすのは「子ども家庭教育フォーラム」代表で教育心理カウンセラーの富田富士也さんだ。
「最悪の場合、中高年であっても社会とつながりが持てない“引きこもり”になってしまうことがある。これは特に、衣食住の世話を親がすべてまかなっている家に顕著な問題です。
たとえ働いていたとしても、親が何でも面倒を見ると、子供が他者と触れ合う際のコミュニケーション力が育たず、“生きる力”を身につけられません。すると何らかのきっかけで子供が社会的な生活を送れなくなる可能性も出てくるのです」
実際、中高年の引きこもりは増加傾向にある。2019年3月に内閣府が公表した初めての調査結果によると、日本全国で61万3000人が「中高年の引きこもり」に該当すると推計される。この数は15~39才までの「若年引きこもり」の推計である約54万人を上回る。年齢の内訳は40代が38.3%、50代で36.2%、60~65才になると25.5%で、全体の76.6%が男性だった。
引きこもったきっかけは「退職」「病気」「人間関係がうまくいかなかった」「職場になじめなかった」が上位。つまり、学校を無事に卒業し、仕事に就いていたとしても、タイミングや環境次第で社会生活が営めなくなる可能性は充分にあるのだ。
「特に実家で暮らしていれば、外部に助けを求めるより先に家から出なくなる。引きこもるハードルが低いことは事実でしょう」(富田さん)
35才でひとり暮らしを始めたというコミックエッセイ『そろそろ実家を離れたい』の著者でイラストレーターの曽根愛さんは、「もし、あのタイミングで実家を離れなかったら、いつまでも大人になれなかったかもしれない」と振り返る。
「イラストレーターの仕事をするために、東京にいた方が便利だと思い、35才にしてひとり暮らしを始めました。実家はそれなりに快適で好きなことにお金を使えたけれど、私はやっぱりひとり暮らしをしてよかったと思います。
実家にいると家事や金銭面だけでなく、事故や災害が起きても親が何とかしてくれるだろうという甘えが無意識にあって、恥ずかしい話ですが地域の避難場所もよくわかっていなかった。ゴミ出しも、可燃ゴミ・不燃ゴミが何曜日なのかすら知らなかったんです」
今では社会常識とともに、金銭感覚もひとり暮らしによって肌で感じるようになったそう。
「実家にいる時は、父に『電気をつけっぱなしにしないで』と言われても、それくらいいいじゃないと思っていました。だけど、自分の力で生活してみると、その結果が電気代として返ってくるんですよね。40代で結婚したのですが、そういったコスト意識や生活をしていく大変さがわかったうえで、結婚できてよかったと思います」(曽根さん)
しかし曽根さんが家を出ると決めた時、娘にはずっとそばにいてほしいと思っていた親は「何で?」と戸惑った。
「だけどここで出て行かなかったら、好きで実家にいたはずなのに、いつか『お母さんのせいでひとり暮らしができなかった』と言ってしまいそうで、いったん距離を取るのも大事だと思ったんです。
ただ、年を重ねれば重ねるほど環境を変えるエネルギーがなくなっていくのもわかるし、仕事が忙しくてひとり暮らしをする準備ができず実家を出られないという友人もいる。非常に難しい問題だと思います」(曽根さん)
※女性セブン2019年6月6日号
引用先:https://www.moneypost.jp/542678
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