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統計からも「ひきこもった」40代ひきこもり16万人
2016.09.09
消えた16万人
内閣府が最新のひきこもり調査結果を発表し、その数を約54万人程度とした(<ひきこもり>「7年以上」最多の35% 前回調査の2倍に)。
あれ? 僕の記憶では、2010年調査では確か70万人だったので(推計約70万人、理由は職場になじめない・病気・就活失敗…ひきこもりの現状をグラフ化してみる)、スゴイ!! 16万人も減ったんだ、と少し嬉しかったのだが、それはやはり数字のマジックだった。
つまりは今回の最新調査の対象年齢は39才までで、現在社会問題化しつつある「高齢ひきこもり」、40代のひきこもりは含まれていないということだ。
前回調査では、35~39才のひきこもりが23.7%と最多であり、そのすべてが5年たって40代になり、対象年齢から外れた。
23.7%の最多層が調査対象から外れ、その16万人分がそのまま「消えてしまった」というわけだ。
僕は、児童虐待被害者を中心とした貧困支援もしているが、やはりひきこもり支援は続けていて、目の前に現れる保護者やひきこもり当事者は確実に「高齢化」している。
というか、中学生の不登校=ひきこもりは相変わらず相談に現れ、それとともに、従来のひきこもり当事者と保護者はゆっくりと社会参加への道を歩んでおり、それらの一部は40代に突入しつつも歳を重ねているということだ。
■ひきこもりが「続く」原因
ひきこもり支援は「スモールステップ」を積み重ねていきゆっくりと社会参加していけば、その原因が発達障がいだろうが性格の傾向だろうが、数年単位で見ると確実に「社会参加」できる(一般就労や障がい者就労などに振り分けられていくが)。
けれども、主として保護者が、当事者が最も気にすることに日常的に踏み込んでいくと、ひきこもり状態は続く。
当事者が気にすること(僕は「地雷」と表現しています)とは、1.将来や仕事の話、2.親の老後や死のこと、3.同級生の話題等で、これらを親たちは無意識的にとりあげ(特に母親は意識しない)、その無意識的話題提供が、当事者を常に傷つけていく。
ひきこもりの「原因」は多様だ。だからその原因を追求するのはある意味徒労でもあるのだが、「ひきこもりが続くこと」ははっきりと原因を特定できる。
それは一つだけではないにしろ、以下が「継続」の中心を占める。
ひきこもりが継続するとは、「親が地雷を踏み続けていること」と同義だと最近の僕は確信し始めた。
親たちと面談などで出会ったばかりの頃はその事実はなかなかつかめないが、面談を続けてある程度の信頼関係が築けてくると、親が触れる日々の「地雷」が明らかになる。
親たちは、特に母たちは(父はもっとあからさまなのである意味わかりやすい)、地味~に、ちくちくと、夫から受ける等のストレスもあり悪気はないのであるが、確実に日々「地雷」を踏んでいる。
たとえば、「5年後に私は75才になるしお父さんも病気になってるよ」とか、「小学校のときあなたより勉強できなかったA君は同志社に入ったそうだから、あなたはたとえ5年ひきこもっていたとしても京大に行けるわよ、がんばりなさい!」なんて、誰も見ていないところでチクチクやっている。
■「ひきこもりのクォリティ・オブ・ライフ/QOL」
こうした地雷をできるだけ避け(ゼロはムリだ)、安心できる「ひきこもり/ニート」環境を数年整えていけば、確実に当事者はステップアップする。
いわば「ひきこもりのクォリティ・オブ・ライフ/QOL」を整えれば、時間はかかるけれども社会参加はできる。
が、残念ながら、時間は確実にすぎ、当事者は40代に突入する。
そして今回の調査のように統計上からはひきこもりではなくなってしまう(潜在化してしまう)のだが、この潜在化になってしまう原因に、ある「意図」を僕は感じる。
それは、近い将来に膨れ上がるであろう「生活保護予算」財源を示す。
16万人すべてではないにしろ(あるいは5年後にさらに40代になっている何割かの当事者を含め)、その何割かは将来的に生活保護で生活することになるだろう。
生活保護受給者は現在216万人で(【図解・社会】生活保護受給者数の推移)、現在40代ひきこもり16万人は全体からは目立たないとはいえ、これらの「群」が今から20年後(つまりは当事者の保護者が鬼籍に入る頃)にはどんと増加する。
ただでさえ国の借金1,000兆円超えとかモロい年金財源などの、少子高齢社会内でのおカネのやりくりに政府は頭を悩ませているはずだ。これに、膨れ上がる生活保護の話題は取り上げてほしくないだろう。
が、当事者を潜在化させる(隠す)ことは、当事者の社会参加へのモチベーションを削ぐことになる。
当事者を常に顕在化させ、そのスモールステップを着実に駆け上がる姿を浮かび上がらせることは、現在もひきこもるすべての世代の当事者を勇気づける。★
引用先 ヤフーニュース
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakatoshihide/20160909-00062014/
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