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39才は若者か?~やがてくる大量「生活保護受給者」の時代のために

2016.11.19

■「若者のすべて」

現在、地域若者サポートステーションの対象者は39才までに設定されており(地域若者サポートステーションって何?)、これは、行政的には若者の上限は39才であると定義していることと同義だ。

僕もここ20年間、子ども若者の支援(不登校からニート、高齢ひきこもりまで)を行なってきて、生きづらさを抱えた若者を支援するために、その対象年齢が徐々に39才まで上がってくるのを見守っていた。

それはそれで仕方ないと思いつつも、一方では「理念的な若さ」というものが人々に共有されており、それはたとえば「18~25才」だったり「18~29才」だったりするだろう。

ヴィスコンティ監督の作品に「若者のすべて」というアラン・ドロン主演の映画があったが、そんな古典を持ち出すこともなく、若者とは当然39才であるはずがなく、若きアラン・ドロンに象徴されるように遅くとも20代なかばあたりまでだろう。

また、今年話題の日本映画『聖の青春』の主人公である故・村山聖さんが29才で亡くなったことからも象徴されるように(対戦成績6勝7敗。羽生善治のライバル、村山聖の半生 夭折の天才棋士描く『聖の青春』)、若さや青春の上限とは、最大に譲ったとしても29才あたり、30才になってしまっては若さではないというのは人々の社会的合意事項だと僕は推察している。

■潜在化された10数万人

それが、日本では生きづらさを抱える「ひきこもり」の出現以来、若者の定義が揺らいでいる。主として就労に焦点化した「ニート」は最初は34才が上限だったが、いつのまにか39才に上限がアップされている。

僕は告白すると、ひきこもりとニート支援を長らく行なってきた経緯から、こうした困難を抱える人々を「若者」として一括りにしその年齢設定をダラダラと引き上げることにはあまり抵抗感はなかった。

「社会合意としての若者=上限29才あたり」には同意しつつ、目の前に現れ日々支援する20代後半以上40才も珍しくない社会参加に苦悩する人々に対して、「若者」ととらえるほうがむしろ混乱は避けられると思ったのだ。

が、そろそろそれも限界に来ている気がしている。

そう考えるのは、着実に増加する「高齢ひきこもり」の存在が大きい。統計的には減少傾向にあると言われながら(最近の統計ではひきこものりは減少しているがこれはひきこもり上限を超えた10数万人が潜在化しているだけ→僕のこの記事参照http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakatoshihide/20160909-00062014/)40代を迎えて潜在化している人々)、生きづらさを抱えた40代は確実に存在する。

「若者」の定義上、その潜在化された10数万人が見えないだけだ。

■「社会合意的若者」と「行政的若者」

ニートの捉えがたさから、その年齢定義をさらに上げて40代にしてはどうかという議論もあるようだ。が、それは上の問題も含めて、さらにややこしくすると僕は思う。そのややこしさとは、以下の点から言える。

1.大人という規範の揺れ

2.生産年齢を意識することによる社会保険の主体化の重要性

3.数十万単位の高齢ひきこもりの生活保護受給への準備(「苦しい熟年」層にしたほうが社会合意しやすい)

2は社会政策的には必要で(多くの高齢者を少数の生産年齢者が支えるという不公平をフォローするのは、「大人」の自覚だと思う)、1は『聖の青春』は29才だったという点とつながる(誰もが社会合意できる「若者」の存在があって初めて「社会」が形成できる)。

最大のポイントは3だが、今の政策的ズルズルさから「行政的若者」(現在の上限39才)と、「社会合意的若者」(だいたい20代)がこれ以上乖離していくと、15年以内には確実に訪れる高齢ひきこもりの生活保護受給予算による逼迫を国民に説明できないだろう。

「社会合意的若者」は生活保護から程遠い存在であるが、現実には、親の死後に大量出現する高齢ひきこもりの生活を一部支える生活保護金を必要とする「行政的若者(その頃の若者の定義は50才前後かもしれない)」は10~20万人は現れると僕は想像している。

その時、もしかすると10兆円にとどくかもしれない(予算の1割?)生活保護予算による逼迫を行政と支援者は市民に説明する義務がある。その義務を果たす時に、いまのようにダラダラ「若者」の年齢定義を引き上げていては説得力をもたない。★

 

引用先 ヤフーニュース

http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakatoshihide/20161119-00064603/

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