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タンパク質不足だと、うつや病気になりやすくなる?心にも免疫にも関係する「タンパク質の働き」
健康や美肌に欠かさないタンパク質。実は、心のトラブルにも影響があるといわれる神経伝達物質や、体を守る免疫機能においても、タンパク質が大いに関与していることがわかっている。タンパク質不足による心と身体への影響について、女子栄養大学 上西一弘さんに、詳しく教えてもらった。
タンパク質不足は、うつなど心のトラブルにも影響
「人間の脳内では、100億とも1000億ともいわれる神経細胞を情報が行き来し、これが感情や思考を生み出しているといわれています。このとき神経細胞間で情報を伝えるときに働くのが神経伝達物質です。 喜びや快楽を感じさせるドーパミンや、精神を安定させるセロトニン、恐怖や興奮などを感じさせるノルアドレナリンなどがあり、おもな原料はタンパク質です。うつや不安障害などの精神疾患は、ストレスなどさまざまな要因が絡み合って発症しますが、現在では神経伝達物質の不足が原因のひとつとされています。 ですから、メンタルを安定させるにもタンパク質が欠かせないのです」(上西先生) ●感情に関係する神経伝達物質 ドーパミン…喜びや快楽などに作用する セロトニン…精神を安定させる ノルアドレナリン…恐怖や驚き、興奮に作用する グルタミン酸…認知や記憶、学習などの機能に関与 GABA(y-アミノ酪酸)…交感神経の活性化を抑え、興奮を抑制 グリシン…交感神経の活性化を抑制 上記のような神経伝達物質の原料となるのがタンパク質。不足するとメンタルのトラブルが起きやすくなるので、注意が必要だ。
ウイルスや細菌から体を守る用心棒としても活躍!
新型コロナウイルスの世界的流行によって、注目が集まっている「免疫機能」においてもタンパク質が活躍。 「免疫とは、体外から侵入してきた細菌やウイルスのほか、がん細胞など体内で増殖した異常な細胞に抵抗し、体を病気から守る働きです。免疫には2段階の防御システムがあり、ひとつめが、体に異物が侵入したことを察知すると、すぐ排除に向けて動き出す“自然免疫”です。 この役割を白血球とともに担うのが、細菌などにくっついて破壊する“補体”や、ウイルスの増殖を防ぐ“インターフェロン”と呼ばれるもので、これはタンパク質です。また、第2の防御が、過去に感染したことがある特定の異物を排除する“獲得免疫”。 このとき異物と戦う武器として作られる“抗体”もタンパク質。つまりタンパク質は、体を病気から守る、頼りになる用心棒でもあるのです」
タンパク質に異常が起こるとがんなど重大な病気に
タンパク質に異常が起こると、重篤な病気を招く場合もある。 「タンパク質の異常が原因で起こる病気のひとつが、がんです。がんは細胞分裂を促す遺伝子、もしくは分裂を抑制する遺伝子が傷つき、分裂が暴走して発症するといわれています。 このとき、遺伝子の命令で実際に機能するのはタンパク質で、細胞分裂を促すタンパク質、もしくは抑制するタンパク質の異常が直接の原因です。 そのほか、アルツハイマー病や筋ジストロフィーなどの病気も、タンパク質の異常が原因で起こることがわかっています」 40代以降は特にあなどることができないタンパク質不足…。次回以降、さらなるタンパク質の働きや体でちゃんと働かせるとり方についてご紹介していこう。 今回の話を伺った先生 上西一弘さん 女子栄養大学栄養学部教授。大学のゼミでは選手のパフォーマンスが上がり、勝てる体をつくるためのスポーツ栄養学を研究し、指導にあたる。著書に『新しいタンパク質の教科書 健康な心と体をつくる栄養の基本』(池田書店)など
引用先:https://news.yahoo.co.jp/articles/6879644656efa0f7b3caa573566ba6ad45d3d5df