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「いいお母さん」こそ要注意…「いつも弱気な人」が生まれる意外な理由
何をやってもうまくいかない気がする。だから、一歩踏み出せない……。いつも自信がない人、弱気な人の心理には、何が隠れているのか? 『「悩みすぎる」人のトリセツ』を出版した、心理カウンセラーの大嶋信頼氏によれば、意外にも「母親の愛情」が大きく関係しているという。その理由と、すぐに効く処方箋を大嶋氏から教わった。
いつも弱気な人の「トリセツ」
いつも自信なさげで「自分がやってもうまくいかないような気がして、どうしても弱気になっちゃうんですけど」という方がいらっしゃいます。 相手が部下だったら「もう社会人なんだから、弱気なんて言ってられないでしょ!」と説教したくなるかもしれません。 ただ部下のほうも、実際に失敗したことがあって、その経験から「自分がやってもうまくいかない気がする」と言っている可能性はあります。 それを「何度も挑戦して乗り越えていきなさい!」と突き放すのが、昭和の上司なのかもしれません。ですが最近では、こんな部下に対して「甘ったれるな!」と言ったりすると「パワハラじゃ~!」と嫌われて、大変なことになってしまいます。 だからと言って、親身になって話を聞いても「自信がありません」とか「弱気になってしまうんです」と言うのは少しも変わらないので、ものすごい疲弊感を覚えます。 「一生懸命に励ましてあげているのに!」とか「何度も信じてサポートしているのに、ちっとも変わってくれない!」を繰り返されることで「チーン」とやる気をなくして気分が沈んでしまいます。 そのうち、その人のことを考えるだけで「自分もうまくいかない気がしてきた」と、後ろ向きになってしまうのです。
本人も気づいていない意外な理由
この「弱気」で「うまくいかない気がする」状態になっている人は、どんなに偉い人から励まされたり、サポートされたりしても変わりません。なぜなら、変わらない方の心の中では「励ましてもらいたい人が違う!」からです。 本人は気づいていませんが「母親から励ましてもらうこと、勇気づけてもらうことを求めている」わけですから「うまくいく気がしない」と言っているのです。温かく自分のことを受け入れてくれるお母さんを求めています。 だから、このタイプの方の話を聞いていると「甘ったれている」という言葉が浮かんできます。「甘ったれ」というのは、相手の中に母親を求めているということ。 この原因を、多くの人は「母親から甘やかされたから」と思いがちですが、じつは違っていて「母親から愛情で縛りつけられていたから」という仕組みになっています。 要するに「子どもが成長したら、自分の手元から離れていってしまう」という恐怖が母親の中にあります。だから、母親は「子どもが成長しないように手を加える」ことをしなければなりません。それが過干渉だったり、お世話焼きだったりします。 子どもが考えて行動することで「成長して自分の元から去ってしまう」という不安から、母親は子どもが考える前からお世話をするのです。 すると、子どもはいつの間にか「母親の判断がなければ自信がない」と、母親を知らず知らずのうちに頼るようになります。 そして、今度は子どもが母親を頼ると「親を頼るダメな子」と、子どもを卑下するようになります。
「いいお母さん」こそ要注意
これをされると、子どもの中で混乱が起こります。母親を頼るように仕組まれておいて、実際に頼ったら卑下されるのですから「それってどういうこと?」となるでしょう。 その混乱が「自分でやってもうまくいかない」とか「弱気」を生み出します。 大人になってからも、母親と同じような存在の人を見つけて、積極的に手を出してもらうことを求めておきながら「うまくいかない」とか「弱気」を連発し、自分を卑下するのです。要するに、母親にやってもらったことを、上司や同僚などで再現するような感じになるわけです。 だいたい、この「いつもうまくいかない」とか「弱気」になってしまう人は「母親の印象はまったく悪くない」のです。だから「母親が原因なんて考えられない」と、いつまでも「弱気」の原因がわからずにグルグルしてしまいます。 だって、母親が、お世話焼きで、心配性で、ダメ出しをしてくれる「いいお母さん」を演じていたわけですから。母親が「子どもが自分から離れてしまう恐怖」を抱えていて、子どもが離れないように愛情で縛りつけているなんて、思いもしないのです。 でも「うまくいかない気がする」と弱気になるのは「お母さんのところに引き戻される」という仕組みになっているからです。 弱気になって、すべてを失って母のところに戻ってくる。 シャケが母なる川に戻るように、弱気でうまくいかなくて、様々なものを失って母のところに帰っていくという仕組みが、そこにあるのです。
アドバイスより「温かい目」を
いくら説教したって、自信を持ってもらえるようにアドバイスしたって無駄です。 「弱気」や「うまくいかない」というのが、母親のところに戻る「匂い」みたいなものです。それを辿っていくと、いつしか母の元に帰ることができます。 だから、いくら親身になって話を聞いても、ちっとも変わらない場合は「あ! 母の元に帰る仕組みになっているのね!」と捉えてみます。 弱気なくせに、ちっとも人のアドバイスを聞き入れない場合も同じです。 「うまくいくこと」とか「自信をつけること」が目的ではなくて「母の元に帰る」ことが目的だからなのです。 相手から弱気発言が出たときに「あ、母の元に帰りたいのね」と、心の中で思って話を聞いてみると「あれ? 弱気発言が出なくなってきたんですけど!」と、おもしろいことになります。 「母親の元に戻りたいのね」と温かい目で見ていると、弱気になっている本人の中に「あれ? これっておかしい!」という気づきが起こります。 そして「お母さんのところなんて戻りたくない!」と、いつの間にか母親を切り離して、一人の人間として自信をつけていくようになります。 いくら母親が弱々しい存在であっても「母の元に戻る」という愛情の縛りは強力に働いているので、断ち切るのは難しいように思います。 ですが「母親の元に戻りたいのね」と見ている側が思っているだけで、いつの間にか本人も水面下で気づきます。本当の意味で母親との臍の緒を断ち切って、自立することができるようになるのです。
引用先:「いいお母さん」こそ要注意…「いつも弱気な人」が生まれる意外な理由(現代ビジネス) – Yahoo!ニュース