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子どもには失敗する権利がある…「不登校新聞」編集長が語る、親へのアドバイス




  • 増え続ける不登校の子どもたち


    ある日突然、子どもが「学校へ行きたくない」と親に相談することは珍しくないようです。  雑誌『LEE』(集英社)の読者アンケートによれば、「子どもから学校へ行きたくないと言われたり、子どもが学校へ行かなくなったことがある」と答えた親は、回答者全体の55%いました(※『LEE』2019年11月号。2019年8月1日~8月9日にLEEweb会員LEEメンバー452人回答)。およそ半数の親は不登校や行き渋りに悩んだことがあるそうなんです。  国の調査によれば、2019年度、不登校の小中学生は約18万人(※文科省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)。少子化で子どもの数が減るなか、不登校の子は7年連続で増え続け、2019年度の調査では過去最多を更新しました。  不登校の要因・背景のトップは「いじめを含む人間関係」で約半数を占めています(※文科省「不登校に関する実態調査」)。これに続くのが「勉強がわからない」が1/3、「生活リズムの乱れ」が1/3、「先生との関係」が1/4と続きます。これらの回答は複数回答で原因が重複している場合がほとんどです。  ちなみに「なんとなく」「怠けたいから」などの理由で自分の不登校を説明する人もいますが、よく話を聞けば「先生からのいじめ」や「親の期待」などの理由で不登校をしていました。「怠けたい」「遊びたい」が真の理由で不登校をした人は、私の20年間の不登校取材で一人もいませんででした。


    不登校の子の心理状態と、親ができること


    ほとんどの不登校の人は、学校などで深く悩み傷ついたため、学校と距離を取っています。不登校新聞が主催する講演で、この状態を心療内科医・明橋大二先生は「心がオーバーヒートした状態」だと表現しました。車のサーモスタットが発動してモーターのスイッチが切れるように体が動かなくなる、つまり安全装置が発動して急停止した状態だと言うのです。そんな子どもに対して、親や祖父母といった周囲の人は、どんなサポートができるのかを解説します。  多くの人は、不登校になった日からどんどん状態が悪くなり、子どもが社会から切り離されていくようなイメージを持つかもしれません。しかし、本人にとっては心身ともに傷ついた場から離れられたわけです。不登校になった瞬間から心に溜まったダメージの回復が始まります。  カゼと同じような状態を想像をしてほしいと思います。熱が上がって子どもが「苦しい」「学校を休みたい」と訴えた瞬間は悪い状態です。しかし、そこに至った経緯、たとえば裸で寝ころんでいたとか、そういう「カゼになりやすい状態」は回避されました。  さらに言えば、熱が上がっているのは、体がウイルスをやっつけてる証拠。しっかりと体を休めば回復していきます。むしろ無理をして「学校へ行きたい」「勉強しないと遅れる」と思う子に「今は休んで」と諭すほうが重要です。  不登校もまったく同じ構造で捉えられます。不登校になる前が一番きつい状態です。学校で苦しいことがあっても親や先生には言えず、それを溜め込んで、行けなくなりました。多くの親は、この瞬間から学校へ戻すことを考え、登校を促します。極力、休ませない方向で考えがてしまうのですが、それはカゼをひいた子を裸で外へ放り出すようなものです。  いま説明したことの反対の行動が「親ができることのベスト対応」です。休ませないことが子どもを追い詰めるのなら、休ませるのが最善の選択肢です。不登校への「処方箋」はただひとつ、休むことだけ、というのが20年間の取材で得た私の結論です。


    子どもの心が回復する地図


    具体的に子どもがどんな段階をたどって心を回復させていくのかを説明します。以下の段階の途中、途中で学校へ行くこともあれば、再度、不登校になることもあります。どんな状態であれ、以下の段階を経ていけば確実に状況はよくなっていきます。  第一段階は「身体症状」です。頭痛や腹痛、どうしても朝、起きられないなど、心に溜まったストレスが具体的な身体症状として現れます。この際には無理をさせず、学校を休むことによって体の回復期が始まります。不登校になった直後は、極度な緊張から解放されたため、寝てばかりいるかもしれません。  この際は生活リズムを無理に立て直させようとせず、できるだけ、本人のペースを尊重してあげてください。学校の先生や友だちが訪問してくるかもしれませんが、かならず本人の意思を確認してください。「会いたい」と言ったら会わせるし、何も答えなかったらそれは「NO」の意思表示です。  学校の休み始めは、すぐに症状が治まらないかもしれませんが、あせらず休ませてください。症状が治まらないのは、体は休んでいても「心の中では登校している」からです。「学校へ行かなければ」と本人が強く思い込み、一秒でも学校へと念じているため、ストレスを感じて症状が出てしまいます。しかし、苦痛の原因と離れていれば状況はしだいに安定してきます。  第二段階は「感情の噴出」です。体が回復したところで「感情の噴出」という時期に入ります。ものすごく甘える、突如として怒りだす、泣きだすなど感情のコントロールができない状況になります。小学校高学年でも、まるで赤ちゃん返りしたように甘えたり、フラッシュバックが起きたように泣いたりすることもあります。この時期、保護者はそばにいて、その気持ちに付き合うしかありません。とてもたいへんですが、本人の苦しんでいる気持ちに付き合うことで、子どもには愛情が伝わってしみこんでいき、心の傷が癒されていきます。


    「回復のプロセス」で親が気をつけるべきこと






    子どもは今という本番を生きている


    ポーランド医師ヤヌシュ・コルチャックは「子どもには失敗する権利がある」と説いていました。遊びでも、勉強でも、進路でも、子どもはあらゆる局面で自分なりに必死に考えた結論で選択します。しかし、それは間違えることもあります。とくに幼児期は、食べちゃいけないものを食べようとしたり、熱いものを触ろうとしたりします。  親としての正解は、深刻な傷を負わない程度ならば、本人の意思を尊重して失敗も含めて学ぶことだと思います。親が不安だからと言って頭ごなしになんでも子どもの行動を禁止いたら、子どもは委縮してしまいます。  不登校も同じではないでしょうか。学校へ行くことが正解であり、その道を選ばせようと親が腐心してしまいがちです。しかし、それは本当に正解でしょうか。また学校へ行かないことが失敗だとしても、親が無下に否定してもいいのでしょうか。子どもは自分で選んだ道ならば、反省してもそれを糧にできます。しかし、誰かが決めた道のりで失敗しても恨みや自己否定感しか培われません。  発達心理学者・浜田寿美男さんは、講演で現在の子育て観を下記のように批判しています。「いまの子育て観、教育観では『子どもは大人になるための準備の時代』であるかのように思われていますが、そもそも人生に準備の時代というものがあるでしょうか。子どもは『子どものいま』という本番を生きています」。  「子どもを大人にする」のが親や教師の目標だと感じている人は多いのではないでしょうか。しかし、浜田さんが指摘するように、子どもは、いまを生きているわけです。大事なのは、子どもがいま、幸せかどうかです。死にたいほど行きたくない学校へ行くことや、まったく手につかない宿題をするのは、あまりに「いま」が犠牲になっています。いまを大切にしてあげる視点が子育てや教育においても大事だと思えてなりません。


    引用先:子どもには失敗する権利がある…「不登校新聞」編集長が語る、親へのアドバイス(現代ビジネス) – Yahoo!ニュース




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