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内閣府「ひきこもり実態調査」、40歳以上は無視の杜撰
2016.09.08
一言で言うと、誰のためなのか、何のためなのかが見えてこない調査だった。
内閣府は7日、15~39歳を対象にした「ひきこもり」実態調査の結果を公表した。6年前に行われた同調査と比較して、「39歳以下の“ひきこもり”群が15万人余り減少した」という今回のデータ。ただ、この間、指摘されてきた同調査についての様々な瑕疵については、まったく反映されない内容だった。
<内閣府は「ひきこもりの人への支援がある程度効いたのではないか」という能天気な成果ばかりを強調。今のひきこもりの実態とは、かなりかけ離れています>
このように、さっそく引きこもり当事者が800人以上登録しているフェイスブックグループページに書き込んだ当事者もいる。
40歳以上、主婦などの女性を排除
実態とかけ離れた“実態調査”
「ひきこもり」実態調査の結果を盛り込んだ『若者の生活に関する調査報告書』(内閣府政策統括官)によると、「ひきこもり」群の出現率は1.57%、全国で推計約54万1000人。前回調査した2010年の推計69万6000人(出現率1.79%)に比べて15万5000人ほど減少していたという。
調査は、15歳以上39歳以下限定の5000人と、同居する成人家族を対象に行われた。
ただ、「ひきこもり」層の高年齢化によって、すでに地方自治体の調査で半数を超えている40歳以上については、今回も調査対象から除外された。その一方で、同居する家族が新たに加えられた。
「ひきこもり」群の定義は、6ヵ月以上にわたって<趣味の用事のときだけ外出する><近所のコンビニなどには出かける><自室からは出るが、家からは出ない><自室からはほとんど出ない>状態で、前回時と同じだった。
一方で<統合失調症または身体的な病気>のほか、<専業主婦・主夫または家事手伝い>や<家事・育児をする>なども対象から外されている。
こうして「家事手伝い」や「主婦」という蓑に隠された引きこもる女性の存在もデータに反映されなかった。そのため、男女比は、「男性」63.3%、「女性」36.7%と、前回とほぼ同様の割合で男性が占め、性別で「セクシュアルマイノリティ」などを想定した男女以外の項目も設けられていなかった。
また、前回155万人と推計した「ひきこもり親和群」についても、今回は算出しなかった。
ちなみに、今回は「本人の回答のみで除外できない」「除外することが必須とも言えない」として、「統合失調症」と回答した者も含めた推計56万3000人も併記された。
「40歳以上は厚労省の仕事」
驚くべき内閣府の言い訳
Photo by S.D.
「少子化による該当年齢人口の減少や統計上の誤差があるため、明らかにひきこもりの数が減少したとは断言できないが、人数的には改善があったように思われる」
会見した内閣府政策統括官の石田徹参事官(共生社会政策担当)は、そう強調した。
そこで、前回の調査で「ひきこもり」層に占める割合が23.7%と最も多かった35~39歳層について、どうとらえているのか?を尋ねると、こう答えた。
「そこは、調査対象から外れていますので、正直言ってわかりません」
結局、6年前の35~39歳の人たちは、どこかに消えてしまったということになる。
当時から指摘されてきた「対象から40歳以上が抜け落ちている」という瑕疵に加え、2回目の調査であるにもかかわらず、追跡データにもなっていなくて、比較する材料がない。「ひきこもり」層の実態を表す調査ともいえないとなると、いったいどんな意味があったのだろうか。
「若者の生活に関する調査ということで、私どもの施策の若者の範囲が40歳以上ではない。厚労省のほうの仕事です」
石田参事官は、そう繰り返した。
厚労省が40歳以上を管轄するのであれば、「ひきこもり」実態調査もその施策も、厚労省に一元化すればいい。内閣府が手掛けるのは、若者施策だけなのだから。
とはいえ、内閣府の出した数字は1人歩きする。これまでも各自治体が2010年の内閣府調査を基に人口比で「ひきこもり」者数を推計してきた。
今回の調査にかかった費用は約2000万円という。これだけの予算を使って、このような中途半端な調査を行うのは、ひきこもる当事者や家族たちにとっても迷惑な話といえる。
対象年齢などについては、有識者4人による「若者の生活に関する調査企画分析会議」(座長・門田光司久留米大学文学部教授)における話し合いで行われてきたという。
しかし、この日の会見に、門田座長は出席しなかった。
なぜ、こういう調査が行われたのか。なぜ、こういう分析結果になったのか。
同会議の事務局には、内閣府だけでなく、厚労省にもオブザーバーで入ってもらっていたという。
「40歳以上は厚労省の仕事」だとする中途半端な調査に税金をかけるのなら、内閣府には“二重行政”の疑いのある「ひきこもり」施策からの撤退を考えてもらいたいものであり、厚労省や他省庁との一元化した取り組みによって、改めて高齢化する現実に則した詳細な調査や検証が早急に望まれるのではないか。
引用先 ダイヤモンドオンライン
http://diamond.jp/articles/-/101238/
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