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4分の1が主婦。50万人超とも言われるひきこもり女子に居場所が必要な理由

2018.03.12

これまでひきこもりの女性たちの実態はなかなか可視化されることがなかった

「ひきこもり女子会」というイベントが全国各地で開催され盛況だ。女子会というだけあって男性の姿はない。年齢も外見もバラバラな女性たちが、車座になってガールズトークに花を咲かせている。
女性が集まって食事をしたり、会話を楽しむ「女子会」はさほど珍しいものではないが、ここに集まる女性に共通するのは、今もひきこもり状態にあったり、何らかの生きづらさを抱える「当事者」だということだ。
女子会を主催する「ひきこもりUX会議」代表理事・恩田夏絵(31)さんも元ひきこもり。恩田さんは、日本社会におけるひきこもり像は「若年男性」だったと語る。
「メディアが取り上げる引きこもりは、自分の部屋の片隅で三角座りをしている気弱な男子というイメージ。自分のような女性の存在が可視化されることはありませんでした」
過半数が5年以上、4人に1人は10年以上も

女性のひきこもりに社会の関心を集め、解決するべく活動する「ひきこもりUX会議」。

恩田さんが、初めて「女子会」を開催したのが2016年。反響は予想以上だった。告知はツイッターなどのSNSだけ。東京開催だったにも関わらず、遠方からやってくる女性が続出した。
なぜ女性だけで集まれる場所が必要なのか。
その理由は、ひきこもる理由が人によって異なるようにさまざまだ。「過去の経験から男性との付き合いが苦手」「男性がいると緊張して話せない」「男性からDVを受けた経験がある」「性被害にあったことがある」……。
中にはひきこもり当事者の集まりに参加した経験があるが、自分以外、すべて男性で一言も話すことができなかったと語る女性もいた。
これまでに、この女子会は全国各地で40回開催され、のべ1500人が参加した。地方自治体から女子会を開催してほしいという依頼も相次いでいる。
さらに恩田さんら「ひきこもりUX会議」は、全国で初めて女性のひきこもりに特化した実態調査を行った。調査は全国で開催した女子会に参加した人を中心に、一部、ネットでも募集した。回答総数は361。平均年齢は37.7歳。最年少は15歳、最高齢は60歳だった。ひきこもっている期間は、5年以上が約過半数。10年以上が約25%。支援につながらないまま長期化している現状が浮かび上がる。
対人関係に漠然とした恐怖感を持っている人が90%を占め、男性に苦手意識があるという人も3分の2以上。恩田さんは自らの経験から、ひきこもり状態が長く続くと、どのように人と接していいかわからないまま孤立。自分を社会不適合者と責め、就労したくても行動を起こせなくなると語る。
「ひきこもりは学校や仕事に行っていないんだから、楽でいいよねと言う人がいます。けれども、楽だからひきこもっているという人に、私は出会ったことがありません。学校や会社でのいじめ、夫や家族からのパワハラを受けている人もいますし、中には発達障害、精神障害を患っている人もいます。日本では性被害の当事者と同様、当事者女性が声をあげることは難しい。だからこそ、まずは自分の置かれた状態を共感してくれる人と場所が必要なんです」

誰かとつながっていたいけど術がわからない
「ひきこもりUX会議」の女子会は当事者の実態把握だけでなく、居場所づくりとなることを目指している。

ひきこもりの原因やきっかけとして過半数以上の人が「コミュニケーション不安」を選び、「人の輪に入るのが怖い」と答えた人が8割を超えた一方で、「人と交流したいか」という質問には、76.6%が「はい」と答えている。
ひきこもりの支援はこれまで、当事者がひきこもり状態から抜け出すため、主に就労支援が優先されてきた経緯があると恩田さんは語る。支援を受け、就労に至った人がいる半面、その支援にすらたどり着かない当事者が大勢いる。
そうした人の不安、孤独に寄り添う仕組みが不可欠だとして、恩田さんは女子会を思いついた。ひきこもりで、かつ独身の女性、またはシングルマザーの中には、このままひきこもっていたら餓死するんじゃないかと思ったという人が何人もいる。
「通常は家族がその受け皿になるのですが、家族との関係が断絶してしまうと行き先がなくなる。人と接することに恐怖を覚えると、働きたくても、働けない。せめて、誰かとつながっていたいと思っても、その術がほとんどなかったのです。女子会に参加した人からは、同じような気持ちを抱いて、日々もがいている人が大勢いることを知り、安心感を得たという人がたくさんいるんです」

ひきこもり女子の4分の1が主婦

そもそも全国にひきこもりは何人いるのだろうか。
公的なものでは、これまでに2回、内閣府が調査を行なっている。調査の対象年齢は15歳~39歳。内閣府は仕事や学校に行かず、半年以上、家族以外とほとんど交流せずに自宅にいる人を「ひきこもり」と定義。その数は全国で推計約54万1000人と発表。男女比は男性が63.3%、女性が36.7%と圧倒的に男性が多い。しかし、ひきこもりの当事者、支援者からは、40歳以上の実態が不明であることと同時に、女性の割合が少なすぎるとの指摘が相次いだ。支援者の中には、女性だけで50万人を超えるとの見方もある。内閣府の調査では、ある属性の女性が調査の対象から除外されていたからだ。
恩田さんらの調査で興味深いのは、「既婚女性」が全体の4分の1を占めている点だ。実は内閣府の調査は、学校や仕事に行かない状態をひきこもりと定義しているため、家事という労働をやっている「主婦」、それに準ずる「家事手伝い」は調査から除外されているのだ。
恩田さんらの調査に参加した社会学者の新雅史さんは、当時者が女子会という居場所を作りながら、新たな当事者のデータを集めるという仕組みが画期的だと語る。

女性でひきこもる人の中には主婦も多い。

「とくに結婚しているという事実がある『主婦』は、これまで当事者の間でも社会的に孤立していないと判断されがちでした。結婚をしていたとしても、生きづらさを感じ、ひきこもり状態にある女性たちが、女子会に多く参加していたのです」
主婦でありながら、ひきこもり状態にある人とは、どんな人なのか。
夫と2人暮らしのAさん(41)は、ひきこもり女子会に参加する主婦の一人だ。Aさんは中学時代から不登校。通信高校を卒業後、22歳で障がい者のグループホームに就職。31歳で現在の夫と職場結婚した。しかし、責任感が強いAさんは、家庭と仕事のバランスを崩し、結婚から3年後、過労が原因で倒れてしまう。
「不登校をしていたときからの性格なんでしょうか。夫がいない間に処方された薬を大量に飲んで救急車で搬送されたり、溜まっていくばかりの家事を見るだけで自分に自信を持てなくなって……。夫がいるから孤独ではないはずですが、夫婦という関係性が壊れるのが怖くて、助けてと言い出せませんでした」
引きこもって丸4年。Aさんは自宅では料理はせず、夫との食事は外食に頼った。夫の理解もあり、「ガチ」のひきこもりには至らなかった。現在は仕事にも復帰。ひきこもり女子会にも足を運び、自らの体験を語っている。
Aさんのように外出はできても、自分に自信が持てず、ひきこもり状態に陥るケースは多い。内閣府も「自室からほとんどでない」「自室から出るが家から出られない」のほか、「趣味の用事のときだけ外出する」「近所のコンビニなどにはでかける」状態が半年以上続いている人も「ひきこもり」と定義しており、必ずしも「外に出られない人」と限定しているわけではない。Aさんは言う。
「一人で苦しんでいる当事者からは、結婚もできて家族もいるのに、どうしてと思うかもしれませんが、こうした生きづらさは属性には関係なく、一個人の問題として誰にでも起きる可能性があります」
ひきこもりUX会議では、この実態調査の結果の全文を、3月末にウェブで発表するという。

引用先:https://www.businessinsider.jp/post-163345?utm_source=yahoo&utm_medium=news&utm_campaign=201906

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