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ひきこもり問題 人間の「孤独を避ける本能」はなぜ変化したか
2019.06.29
今、社会問題として注目されている「大人のひきこもり」問題。ひきこもり長期化の要因の1つは、「孤独でも生活できるようになったこと」だという指摘がある。高齢者向けのコミュニケーションサービスを提供する、こころみ代表の神山晃男さんは話す。
「猿には、生存率を高めるため、“群れから絶対に離れないようにしよう”という本能が受け継がれているように思います。同じように人間にも『孤独を避ける本能』があるはずです。しかし、テクノロジーと社会制度の進歩によって、その本能が逆に作用しています。現代では、物理的な距離があっても生活できるようになった分、『孤独感』は精神的ストレスとして、生存率に悪影響を与えるようになっている」
インターネットの普及でアマゾンをはじめネット通販が台頭。日用品や食品に至るまでありとあらゆるモノが、家から一歩も出ることなく手に入るようになった。
直接顔を合わせなくても、オンラインゲームなどでコミュニケーションも取れるし、あげくにはアダルトサイトも見放題で性欲も満たせるご時勢である。部屋にこもっていても特に困らない、すべてが完結する時代だ。ひきこもりが増える素地となっている。
「インターネットの登場もさることながら、実はそれ以前の『コンビニの普及』も要因の1つといえます。コンビニが普及するにつれ、他人とのコミュニケーションを最小限にして、買い物も食事もできるようになった。さらに、真夜中でも明るい店内では、人知れず孤独感を紛らわすこともできます」(神山さん)
大人のひきこもり問題の要因としてよく取り上げられる「就職氷河期による新卒採用の抑制」という定説だけではなく、30年ほど前から各地に広がっていったコンビニによって、“人間の本能”が変化し、結果的にひきこもりの出現につながっていったという指摘だ。
東京・練馬で刺殺された元農水事務次官・熊沢英昭容疑者(76才)の無職の長男・英一郎さん(44才)は、「自分は事務次官の息子」と堂々と名乗るなど、ネットゲームの中で独特の存在感を放っていた。実際に彼が亡くなる直前までやりとりをしていたユウキさん(仮名)が証言する。
「英一郎さんとはオンラインゲームで知り合って、ゲームの世界だけがお互いの生きがいでした。彼を叩くような一部報道がありますが、私の知っている彼はそんな人ではありません。私がネット上のトラブルに巻き込まれた時も、『明けない夜はない』とメッセージをくれたり、同じ人物とは思えないほど、私には優しくしてくれました」
ユウキさんによると、英一郎さんは、ゲームの中で「大切な人」も見つけて、その恋人と一緒に幸せに暮らしていたそうだ。あくまでゲームの中の話だが、彼にとっては、ゲームの世界こそ“本物”であり、現実世界の方がバーチャルだったのかもしれない。
引用先:https://www.moneypost.jp/552906
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