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子どもの家庭内暴力はなぜ起こるの?その原因と親がするべき5つのこと
2019.07.09
1970年代頃から聞かれるようになった「家庭内暴力」という言葉、昔のテレビドラマにテーマとして取り上げられるようになって世間に知られるようになりました。家庭内暴力がどんなものなのか、どうして起こるのかを考え、原因とそうなったときに親がどうしたらいいのかを知っておきましょう。
家庭内暴力とは、どういうことをいうのでしょうか。また、DVとの違いはあるのでしょうか。
家庭内暴力とはどういうもの?
家庭内暴力は子供が家庭の中で暴力を振るって暴れることを言います。暴力を振るう相手は母親となることが多いのですが、ターゲットが兄弟となる場合もあります。暴力はケガを負わせるもの、暴言によるもの、家具などの物を壊すものなどがあります。
家の中で起こる暴力は他に「DV」がありますが、これは配偶者間で起こる暴力のことです。(恋人同士の間に起こる暴力もDVと言います)家庭内暴力は親子間で起こる暴力のことです。
なぜ家庭内暴力が起きるのか
では、なぜ家庭内暴力が起こるのでしょうか。家庭内暴力を起こす子供はだいたいの場合、大人しく、いつも親の言うことを聞いていた素直な子供が多いのが特徴です。また、学校でもあまり目立つタイプではなく一人でいることが多いような子供が家庭内暴力を引き起こすことが多いのです。
では、家庭内暴力はどんな環境から引き起こされるのでしょう。原因とともに探っていきましょう。
家庭内暴力に影響を与える環境
子供が家庭内暴力を起こすようになった場合、子供を取り巻く環境が家庭内暴力に影響を与えている場合があります。それはどんなものなのでしょうか。この子供を取り巻く環境は家庭内暴力につながる原因にもなり得るので、原因を知るためにも知っておく必要があります。
社会からの影響
昔、子供はのびのび外で遊んでいました。受験は今のように過酷なものではなく、小学生や中学生で塾へ行っている子供はクラスでほんの数人だった時代がありました。学校のテストもクラスの順位をつけることはなく、勉強が好きな子供がいつも良い点数を取り「あいつすごいな」と他人事のように子供たちは思っていた時代があります。
しかし、現在はほとんどの子供が塾へ通い、学校以外でも勉強をしています。幼稚園から受験がある時代で、小学校、中学校と私立の学校へ入れたい親は幼い頃から勉強をさせます。子供は親の期待に応えるため、勉強をします。小さな背中に親の期待を背負って毎日を過ごしているのです。こうした学歴社会の中で、知らず知らずに親は子供にプレッシャーを与えてしまっているのです。
家族とくに父親の無関心が与える影響
高度成長期の頃から、父親は会社人間になり、休みなく家族のために働き、子育ては母親に任せきりにするようになりました。子供の学校のことも母親に任せて何かあったときには母親の判断に任せる、というようにだんだん父親が子育てに無関心になっていったのです。そのため、父親不在の家庭で母親は子供に構うことで寂しさを紛らわすようになります。
子供にかかりきりで、子供のために生きるような母親といざという時に仕事を理由に家庭の問題から逃げる父親。子供が問題に直面したとき、父親が示すべき行動や言動が得られない子供はその悩みをうまく解決できないのです。母親が過干渉になりがちな家庭では、母親に悩みを打ち明けたら余計に問題が大きくなりそうで子供は話せなくなる傾向があります。父親は無関心、母親は過干渉な家庭が子供の家庭内暴力に影響を与えているのです。
学校でのいじめなどが与える環境
子供は学校に集団生活を強いられ、嫌でも集団生活の中で一日のほとんどの時間を過ごさないとなりません。その中では、大人が気付かないところで「いじめ」があったりして子供は気の休まることがありません。いつ自分がいじめの対象になるのか、などとどこかで怯えている子供もいます。勉強に関しても学校の授業は自分のペースで進めることができません。学校は楽しくかけがえのない経験ができる場所であるとともに、子供にはたくさんのプレッシャーを与える場所でもあります。
友人関係が与える影響
友人関係は子供にとって、よいものであり、わずらわしいものでもあります。幼い頃からまわりには同年代の子供がそばにいて、子供たちの中で人との関わりを学びます。友達と過ごす楽しい時間を過ごせる一方で、幼いながらも子供同士の中で階級のようなものが出来上がってきます。子供ならではの残酷さや冷たさを経験しなければならない場面も出てくるでしょう。そうした友人との関わりによって子供が受けるストレスが、家庭内暴力に影響を与える場合があるのです。
アスペルガー症候群などの障害による影響
アスペルガー症候群や学習障害などによる影響で、家庭内暴力を引き起こすことがあります。自分でうまく伝えられない、うまくできないなどのジレンマから暴れてしまう場合があります。分かりにくい障害は親も本人も気付かないことがあります。そういった場合、子供自身が環境に順応できないなどのストレスを抱えて家庭内暴力を引き起こすことがあります。
家庭内暴力を生むことになった原因
子供が家庭内暴力を振るうようになるには何か原因があります。家庭内暴力を生むようになる環境・影響についておおまかにお話してきましたが、子供が家庭内暴力を振るうことになった原因はどのようなことなのでしょうか。
親からの過干渉
子供の家庭内暴力は、親からの過干渉が原因という場合が多くあります。過干渉とは、親が子供を一人の自立した人間として認めず、自分の思う通りにコントロールすることです。子供の意思や自立しようとすることを否定し、子供は自分の言うとおりにしていればいいと考えています。そのため、思春期に起こる異性への関心や反抗期さえも押さえ込み、子供が自己主張することを許しません。受験する時に選ぶ学校や塾までも親が決めるなど、子供に自分の価値観を押し付けることをするのです。このような親に育てられた子供は、自分で何かを決めることができなくなり、問題に直面した時にどう対処したらいいか分かりません。
父親が子育てに参加していたら、母親といいバランスで子供と向き合うことができるため、母親の過干渉もたしなめてくれ、子供が問題に直面した時にも相談に乗ったり道を示してくれるものです。しかし、父親は子育てには無関心となると、母親はますます子供に過干渉になっていきます。子供が自分の命だ、全てだというように。問題に直面してどうにもならなくなった子供はその憤りを暴力で発散しようとするのです。家庭内暴力は兄弟に向けられる場合もありますが、多くは母親に向けられます。
親への甘え・反発
子供は暴れながらも、どこかで親にこの感情をどうにかして助けて!暴力を振るう自分を止めてほしいと心のどこかで思っています。暴力を振るうことで、自分を分かって欲しいという甘えが無言のアピールをするという場合があります。また、過干渉の親に「言う通りにしていればいいのよ」と言われ、親の言う通りにしてきたのにうまくいかなかった、という親への怒りや反発の気持ちが言葉にできず、暴力という形で表現するというケースもあります。
家庭内暴力の解決方法
子供の家庭内暴力が始まったらどうしたらいいのでしょうか。親はどのように対応したらいいのでしょうか。どういう解決方法があるのでしょうか。
親が家庭内暴力について理解を深める
子供の家庭内暴力が始まったら、まずはもしかしたら気付かない精神障害が隠れているのかもしれないということを考えて、病院で診断をしてもらうことが大切です。家庭内暴力が始まってからの状態ですと、子供は病院へ行くのを嫌がるでしょう。「あなたがこんなに暴れるのは病気だからなのよ」などと無理やり連れて行くのは逆効果になります。
また、自分を思い通りにしようとしていると、更に暴力がひどくなる可能性があります。専門の医師は親からの情報で判断できることが多いので、まずは親だけで病院へ行くようにしてみましょう。
そして、家庭内暴力というものを知るための行動を起こしましょう。専門書を読んで原因や対処方法を知ることもおすすめです。なぜ家庭内暴力が始まったのか知ることは、自分を知ることにもなります。家庭内暴力を克服した人の講演会などに行ってみるのもいいでしょう。体験した人の生の声が聞け、何かヒントをもらえるかもしれません。
専門機関に相談する
一人で抱え込んで一人で解決しようとせず、専門機関に相談することもおすすめします。もし、対応を間違えてしまった場合は家庭内暴力がひどくなってしまうことがあります。児童相談所や保健所など、家庭内暴力を相談できる機関はありますので、調べて相談に行ってみましょう。
警察に介入してもらう
家庭内暴力がひどくなり、もしも親がケガをすることが続いたら思い切って警察を呼びましょう。子供がかわいそうなどと躊躇していたら、子供はエスカレートするばかりです。家族であっても、相手を訴えれば暴力を振るったほうを逮捕してもらうことが出来ます。警察を呼ぶことで、子供に自分は本気だということを示す態度のひとつにもなります。自分がしたことは警察沙汰になるくらいのことなのだと自覚させるきっかけにもなります。
一時的に親が避難する
家庭内暴力は母親に向けられる場合が多いのですが、暴力を振るうのが男の子だった場合、中学生にもなると母親よりも体が大きくなり力も強くなります。ひどい暴力に身の危険を感じるようになったら、一時的に避難することも一つの方法です。子供は母親への反発と、それと同じくらい甘えて暴力を振るっている場合が多く、母親が自分のそばからいなくなるということは思ってもみないのです。それが自分の行動のせいで母親がいなくなってしまう。そういうことを自覚させることも必要です。ただ、出て行って子供を放っておくのではなく、一時的な措置として考えてください。
専門家指導のもと更生施設に入れる
家庭内暴力がひどくなり、どうしようもなくなった場合は専門家に間に入ってもらい、子供を更生施設に入れて家庭から環境を変えてみるのも一つの手段です。ただ、この場合、家庭内暴力が始まってすぐに行うべきではありません。色々な手を講じても改善しなかった場合に考える手段です。
子供から逃げるのではなく、子供と向き合うのを諦めるのでもなく、親子がお互いに離れて環境を変えることで子供自身が落ち着く場合があります。子供にはしっかりと専門家に心のケアをしてもらい、親から捨てられたわけではないことを理解してもらい、冷静になって自分を見つめ直す時間と場所を提供するのです。
家庭内暴力を振るわれた時親がすべきこと
家庭内暴力が始まったばかりの頃は、どうしてこんなことになってしまったのだろうと悩むことでしょう。子供が暴れるようになったのはなぜなのか、しっかり考えてみてください。決して子供を否定するようなことを言ってはいけません。「暴れるなんて最低の人間がやることだ」「あなたをこんなことするような子に育てた覚えはない。いい子だったのに」などと決して言わないようにしてください。子供が親に対して行うことには意味があるのです。心のなかにどうしようもない感情があって、それをどうしたらいいのか分からず暴力で自分のイライラを発散しようとしているのです。
そんな時、親は自分の気持ちを素直に話してください。「悲しい」「苦しい」「暴力を振るわれたら痛い」と伝えてください。子供が望んでいるのは自分の暴力を黙って受け入れることではありません。自分のコントロールできない感情を理解し、一緒にコントロールしてもらいたいのです。
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