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ひきこもりになる4つのタイミング(1)――子どもが不登校・ひきこもりにならない/から脱出するための子育て術
2019.08.14
2019年5月。元号が平成から令和に変わり、日本中が新しい時代の幕開けに心躍らせていた矢先に起こったのが、スクールバス襲撃や元農水省幹部の長男刺殺といった「ひきこもり」に関連した凄惨な事件の数々でした。若者の不登校・ひきこもり問題に30年以上支援活動を続け、延べ1万人以上の生徒を立ち直らせてきた著者が、事例を踏まえて解決の糸口を贈る『不登校・ひきこもりの9割は治せる』(7月18日発売・光文社刊)より、経験から導き出した、ひきこもりになりやすい人生の4つのタイミングの1つ目をご紹介します。
◆ひきこもりタイミング(1) 中1ギャップ
私の指導の経験上、ひきこもりになりやすいタイミングは人生で4度あると思っています。
1度目は中1、2度目は高1、3度目は浪人と大学中退、4度目は就職活動での挫折です。
1度目は、いわゆる中1ギャップです。下の学年別の不登校児童・生徒数のグラフを見ると、中1になると急激に不登校者が増えているのがわかります。
なぜ、中1に不登校からひきこもりになることが多いのでしょうか。
まずは、環境の変化に適応できないということがあげられます。
下の不登校の要因(国公私立中学校)の円グラフを見ると、入学・転編入学・進級時の不適応や、クラブ活動・部活動等への不適応があがっています。
小学生と違い、中学生になると、部活動や委員会などで縦の関係が重視されるようになります。幼馴染みだったお兄ちゃんに、いきなり敬語であいさつしなければならなくなったりするのです。
部活動では、先輩からのしごきがあったりします。こうした縦社会の厳しさに適応できないのです。
次にあげられるのは、学業の不振です。不登校の原因でも21・8パーセントと多くを占めています。なかでも英語でつまずいてしまう生徒がとても多いです。
当会に相談に来るお子さんの多くが、中学受験を経験しています。中学受験では国語・算数・社会・理科の4教科を受験科目としている学校が多いので、英語は勉強していません。
ですから、その4教科ではものすごく力があって、算数オリンピックに出ていたり、日本史の年号は全部覚えていたりしても、英語は苦手な子も多いです。しかも、入学後は勉強するモチベーションもありません。そこで、英語だけ落ちこぼれていくのです。
塾はフルパワーで勉強させて、ギリギリで合格した中学校に行かせます。少しでも偏差値の高い中学校への進学実績を喧伝したいからです。
しかし、なかには余裕で受かって進学している子もいます。入学後、そういう子とどんどん差がついてしまうのです。
中学生に面接をして、「今までの人生で一番頑張ったことは何か」と聞くと、5人中5人が「中学受験」と答えます。そこで燃え尽きてしまって次の目標がないから、中学に入って何も頑張れないのです。中学受験で負荷をかけすぎ、燃え尽き症候群になってしまうのです。
彼らの親は医師や大学教授などのエリートが多く、東京大学や京都大学などの高偏差値の大学を卒業している場合が多いのも特徴です。子どもの地頭はいいのに、それ以上に無理をさせていると感じます。
また、子どもの将来やりたいことなどを考えて進路を決めるのではなく、大学合格そのものをゴールにしてしまっているのです。中学受験はその前段階で、いい大学に行くために、いい中学校に入れるという考えなのです。
私立の進学校は公立の2~3倍、それ以上のスピードで英語の授業が進みます。中1の1学期でABCを習い始めたばかりなのに、3学期には高1の文法まで習っていたりします。
これほどスピードが速いなら、事前準備が必要に感じます。しかし、私立の中高一貫校では、本来6年間で学ぶものを5年間で終わらせ、最後の1年は大学入試演習にあてるため、こうした猛スピードで勉強させるのです。
これが、多くの落ちこぼれを生み、不登校や中退を生む原因になっています。
引用先:https://honsuki.jp/pickup/21504.html
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