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ひきこもり息子が刺した、母親の交際相手に「妻と3人の子ども」の存在
「あの部屋にそんな人が住んでいるとはねぇ。1回も顔を見たことがないんですよ。いったい何があったのか……」
と愛知県稲沢市にあるマンションの住人は顔を曇らせる。
おびただしい血が飛び散る
名古屋駅から電車で30分ほど。のどかなエリアで2月1日の夜、おぞましい事件が起きた。8時35分ごろ、
「外でもめている声が聞こえ、刺しているのが見える」
とマンションの住人が110番通報。警察官が駆けつけると、会社員の佐野義人さんが1階と2階の階段の踊り場で血まみれになって倒れており、その交際相手で派遣会社社員の女性も包丁で顔などを刺されていた。
現場にいた女性の息子で無職の林寿満容疑者が犯行を認めたため、殺人未遂の疑いで逮捕された(のちに殺人容疑も追加)。
重傷を負った2人はすぐさま病院に搬送されたが、佐野さんは通報から1時間後に帰らぬ人に。解剖の結果、死因は出血性ショックだった─。
「現場はおびただしく血が飛び散り、流れ出ていて、想像を絶する光景だったようです。容疑者が逆上して執拗に複数か所を刺したのがわかりますが、ケガの状況からすると、佐野さんのほうにより強い殺意があったようです。
トラブルの原因は容疑者が去年、仕事を辞めたことから、被害者2人が容疑者宅を訪ねてきて、仕事や将来のことを問いただされたことに腹を立てたようです。“無職をとがめられ、カッとなりやった”という趣旨の供述をしています」(社会部記者)
林容疑者は母親が18歳のころに生まれ、現場からほど近い同県一宮市の公営住宅で育った。
小学校に入るころ、そこから徒歩10分ほどのマンションに移って、少なくともこのころから母親とのふたり暮らしだったようだ。
小学校の同級生は、
「細くて、背が高くて、浅黒くて、おとなしかった。足が速かった印象もありますが、目立つタイプではなかったですね。小学校のときは将棋クラブに入っていたようです」
と語る。小学校の卒業文集では「将来の夢」と題して、
《オレは頭が悪いし、運動する事ぐらいしか……》
《オレの夢はイチローみたいな野球選手になる事》
などと綴っていたが、中学校でも目立った存在ではなかったようだ。
「友達が多い感じではなかった。背が高くて足は速いけど、女子とはおしゃべりするタイプではなく、特に人気はなかったですね。
影が薄かったですね。卒業アルバムの部活やクラスの集合写真にも写っていないので不登校ぎみだったのかもしれません」(中学校の同級生)
被害者には別家庭があった
当時から住んでいたマンションの住人もこう話す。
「ここを出ていったのは今から6年ほど前ですが、息子さんはほとんど仕事もせずに、部屋にずっとひきこもっていた印象が残っています」
多感な思春期に挫折してしまったのか? 父親の不在が影を落としていたのか……。 「現在のマンションに転居した後も、少なくともこの1年は仕事をせずに、ひきこもりのような状態だったようです」(前出・記者)
そんな息子に手を焼いていた母親が交際相手に相談し、支援してもらっていたことは、現場マンションの契約状況からもうかがえる。
「あの部屋は佐野さん名義で借りていて、母親は同居人で“婚約者”となっているそうです。契約当初は、3DKの家賃4万2000円を払っていたようですが、その後は滞納が続いていたようです」(前出・マンションの住人)
別の住人はこう証言する。
「引っ越してきた当時は、中年の夫婦が住んでいると思いました。その後、見かけなくなったので容疑者が転がり込んできたということでしょう。
2年前にたぶんその男女が、あの部屋を訪ねているところを見たんですよ。留守だったみたいで、通路で待っていた。2人が容疑者のために部屋を借りたということかもしれません」
親やその交際相手に面倒をみてもらっていた容疑者だが、一方で2人の関係に不満を持っていた可能性があると、関係者が証言する。
「実は佐野さんは、別に家庭を持っています。容疑者が“不倫のくせに、父親ヅラするな!”という感情をもったのかもしれません」
残された妻と3人の子ども
現場から10キロほど離れた同県津島市には、10数年前に建てられた佐野さん名義の瀟洒(しょうしゃ)な住宅がある。
「佐野さんはがっしりしていて、温厚な人で、町内会の相談役をしていましたね。無骨そうに見えるけど、家の植物の手入れをしたり、買い物をしたり、家事には協力的な方でね。夫婦仲は悪くなかったと思うけどなぁ……」
と近所の住民。別の近所の住民は、
「ご主人は地元のトヨタ系列の会社に勤務されていました。奥さんは小柄でショートカットで、やはり町内会の書記もやっているしっかり者。
子どもさんは3人いて、上から長男、長女、次女。すでに長男は成人して、大学を出て就職しています。次女はまだ10代のようですけどね」
佐野さんの家族は、佐野さんと容疑者の母親の関係を知っていたのだろうか─。
連日、佐野さん宅を訪れてみたが応答はなく、残された妻や子どもの悲しみや戸惑いが強く感じられた。
近所に住む佐野さんの兄も訪ねてみたが、
「話すことは何もないから」
と、多くを語ることはなかった。
「容疑者の母親は10年ほど前に派遣会社の社員になっています。そこから佐野さんの職場に派遣されて知り合い、交際が始まったのではないでしょうか」(前出・関係者)
佐野さんが家族と別れ、林容疑者を息子として受け入れるつもりがあったのかどうかは、今となってはわからない─。
しかし、もし真剣に考えていたうえでの今回の訪問だとしたら、最悪の結末を迎えたことになる。
引用先:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200212-00017161-jprime-soci