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10年間不登校、1日10時間のゲームが「救ってくれた」 ゲムトレ代表と考える“ゲーム規制”
  • 今や世界中で桁外れの高額賞金を懸けた大会が開かれている「eスポーツ」。その市場規模は、2022年には122億円(出典:KADOKAWA Game Linkage)に上るとも言われ、プロeスポーツプレイヤーは中高生の憧れの職業にもランクインするようになった。


    しかし1月、ゲーム業界に衝撃が走った。香川県議会が、18歳未満のゲーム利用時間を平日は1日60分まで、休日は1日90分までとする「ネット・ゲーム依存症対策条例」の素案を示したのだ。これがインターネットを中心に大きな物議を醸した。


    香川県は4月の施行を目指し、今月6日まで県民からのパブリックコメントを募集。日本中の注目が集まる中、1人の高校生もアクションを起こした。朝日新聞によると1月31日、高松市に住む高校2年の男子生徒がネットを通じて全国から595人分の反対署名を集め、県議会に提出したという。生徒は「ゲームの時間は家庭で決めること」「自分たち子どもの領域に行政が足を踏み入れないでほしい」と訴え、条例素案の撤回を求めた。


    反対の声が広がる一方、ゲーム依存の問題が深刻化していることも事実だ。去年5月、世界保健機関(WHO)が「ゲーム障害」を疾病として認定。厚生労働省も先週、対策を競技する「ゲーム依存症対策関係者連絡会議」を初開催した。


    はたして、ゲームは“悪”なのか。


    ■10年間の不登校を経て…日本初“ゲームの家庭教師”サービスを立ち上げ

     「休みの日は10時間ぐらいぶっ続けでゲームやっていた」


    こう話すのは小幡和輝さん、25歳。日本初となるゲームの家庭教師サービス「ゲムトレ」を手掛ける、今注目の若手経営者だ。囲碁や将棋を習うのと同じ感覚で、教育のツールとしてゲームを習う文化を作ろうと事業を立ち上げた。


    小幡さん自身もかつて、10年間にわたり不登校の時期があったという。そんなどん底の小幡さんの“リセットボタン”となったのがゲームだった。


    「僕を助けてくれた、救ってくれたのがゲームだった。学校であまり友達ができなかったりとか、勉強や運動が得意ではなかったが、ゲームはすごく得意で好きで友達ができた。人生を支えてくれたものであるし、かけがえのないものだと思う」


    さらに、ゲームはコミュニケーションツールとしてだけでなく教育にも役立つと考え、ゲームの家庭教師のサービスを立ち上げた。


    「最近のゲームってめちゃくちゃ難しい。情報処理能力とかその場の瞬発力・判断力とか、結構求められる技術が高くなっている。『今のゲームってめちゃくちゃ難しいんだな』っていう温度感が出てきたら、もう少し(ゲームへの)印象が変わるのかなと思っていて。だから、親子で一緒にゲームをするのとか最高だと思う」


    今回のゲーム依存症の条例案について、「言葉を選ばずに言うなら、怒りというか『なめてるな』って」と話す小幡さん。ゲーム=悪だとする風潮について、次のように語った。


    「ゲームをいっぱいやっているから勉強しなくなる可能性というのは、確かにあると思う。でも、結局他のものもそうで、例えば甲子園を目指して野球を頑張っている人は、野球にたくさん時間を使っているから勉強がおろそかになることだってある。僕は1日10時間以上ゲームをしていたが、ゲーム依存だったかというと多分そうではないと思う。(ゲーム依存症は)ゲームをすることによって社会生活に支障をきたしている状態が1年続くといった明確な定義がされている。この社会生活ということが重要で、僕はゲームがなかったらたぶん部屋の中に閉じこもっていた。ゲームのおかげで僕は社会生活ができたと思っていて、一概にゲームをいっぱいやっているからダメだというのは違うのではないか」


    ■「ゲームのプレイ時間ではなく、どう遊んでいるか」

     AbemaTV『けやきヒルズ』では、小幡さんをスタジオに招きゲーム依存症、規制の必要性についてさらに議論した。


    ゲムトレ」の反響について、「これまでで約1000回のトレーニングをやってきたが、ゲームを通じてチームワークを学べるという声がすごくある。普段の生活でも子どもがリーダーシップを発揮する機会が出てきた、という声もある」と小幡さん。


    国立病院機構久里浜医療センターが去年11月に実施したゲーム障害に関する実態調査(対象:10~29歳の男女5096人)では、平日のゲーム利用時間が「3時間以上」と答えた人は17.5%で、うち2.7%は「6時間以上」と回答。また、平日に6時間以上ゲームする人では、「昼夜逆転の生活をする傾向があった」(50.4%)、「目の痛みや頭痛など身体に問題が生じても続けた」(40.5%)、「睡眠障害や憂うつなど心の問題が起きても続けた」(37.2%)、「学業や仕事の能率が低下した」(29.8%)など、生活に悪影響が出てもゲームを続けたことのある人の割合が高かった。


    このうち最も割合が高かった「昼夜逆転」について小幡さんは、「ゲムトレでは基本的にゲームをやる時間は午前9~10時に設定していて、ゲムトレを始めて逆に昼夜逆転が治ったという声も届いている。僕も1日10時間以上やっていたが、友達と朝にゲームをやる習慣があったので昼夜が逆転したことはあまりなく、むしろそれが楽しみで早く起きることがあった」と自身の体験から語る。


    一方、小学校6年生の子を持つハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎氏は、アンケート調査の「ゲームをやめなければいけない時にやめることができなかった」という項目に注目。「大人世代のゲームをやった人は電源をポチッと押せば止められると思っているかもしれないが、今のゲームはそうではない。1人ではなく何人かでやるものになっていて、途中でやめることが飲み会の途中で帰る、公園で遊んでいる途中で帰ることと同じような感覚になっている。『はいやめた』『お家に帰ろう』ということが言いにくいのでは、と親としては考える」と語った。


    この点について小幡さんは「ゲームには『この試合が終わったら』などのやめるタイミング・ポイントがある。すぐにやめるということがゲームの仕組み上できないものもあるので、そこを理解した上で“やめなければいけない時”を回答しているのかは気になるところ」と指摘。


    では、香川県の条例案のように、行政がゲームを規制することについてはどう思うのか。小幡さんは「個人的には悲しいというのが正直な気持ち。ゲーム依存自体は実際にあるので、それを規制するというよりはなくすことが大事だという思いはある。僕はゲームのプレイ時間はあまり関係なくて、どう遊んでいるかの方が大事だと思っている。国や地域が規制するというよりは、家庭内のルールで決める範囲のものではないか。条例として規制するのは反対」との見方を示した。

    (AbemaTV/『けやきヒルズ』より)


    引用先:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200226-00010006-abema-soci


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