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「スマホを見せろ…」妻を支配したいモラハラ夫の、恐ろしすぎる衝撃行動
40歳という節目で、女性は自らの生き方を振り返るものではないでしょうか。 「こんなはずじゃなかった」と後悔しても過去は変えられず、心も身体も若い頃には戻れない――。
これは立場の異なる二人の女性が人生を見つめ直す物語。 夫のストレスに苛まれる専業主婦の美穂は親友の早希と久しぶりに外出し、楽しい時間を過ごす。けれどその後夫が激怒し、早希との関係にまで亀裂が入ってしまった。 ***
後悔から逃げたい女
昨晩はほとんど眠れなかった。 ーー40歳にもなってスナップなんて、欲求不満の女みたいな気がしたのよーー 一体、なぜあんな事を言ってしまったのだろう。20年来の大切な親友である早希に。 早希は新卒からずっと大手出版社に勤めていて、常にファッション誌の最前線で活躍している。そんな彼女に対し、このセリフはどう考えても侮辱だ。 自分から一方的に電話を切ってしまってから、美穂は何度も電話をかけ直し謝ろうとした。でもできなかった。 また早希と話し合いをして、夫について追及されたら。 そう思うと、どうしても彼女と向き合う気になれない。あれこれ聞かれるのが怖い。 夫について話すことなんて何もない。ただ彼は、最近少し疲れているのだ。在宅勤務でなかなか環境が整わず神経質になっている。その環境に美穂も慣れていない。ただそれだけ。円形脱毛症だって中年の女にはありがちな話だ。 それを早希が大袈裟に心配しているだけなのだ。自分の生活に問題はない。 ーーもう少し落ち着いたら連絡すればいいわ……。 美穂はそう自分に言い聞かせ、身支度を整える。 夕方に夫が出張から戻る前に、数日分の食料を調達しなければならない。午前中は早希のことで頭を悩ませのんびりしてしまったが、最近は美穂が少し外出するだけでも貴之は不機嫌になるため、早めに買い物を済ませたかった。 そのとき、再びスマホが鳴った。 しばらく放置すると着信は切れたが、またすぐに鳴り始める。恐々とスマホを手に取ると、そこには意外な人物の名前が表示されていた。 「美穂。今家のすぐ近くにいる。少し出てきて」
「旦那、モラハラでしょ?」
絵梨香とカフェで向き合うと、重苦しい空気が二人の間に流れた。 電話をかけてきたのは、早希と同じく学生時代からの仲の絵梨香だった。きっと、昨晩の電話について聞いたのだろう。 彼女を前にすると、何よりその美しさに圧倒された。 華やかな美人なのは早希も同じだが、肌も髪もメイクも着ているものも絵梨香は圧倒的に隙がない。まるで20代のように艶々と潤った肌に思わずぼんやり見惚れた後で、いつか夫が言っていた“自分に金をかけるのに必死な女”という言葉が蘇り急いで掻き消した。 「時間気にしてるみたいだから、単刀直入に話す」 強い口調でそう切り出した絵梨香に美穂は身構えたが、変に心配されるよりは、こんな風に怒りを向けてくれる方がむしろ気楽だ。 早希に酷い言葉を吐いたことを叱られ、謝り、そしてしばらく放っておいてくれればいい。 「美穂の旦那、モラハラでしょ?」 「え……?」 予想外の指摘に、美穂は頭が真っ白になった。 「別に早希から何か聞いたわけじゃないよ。でも分かるわ。旦那にいつも怯えてて、旦那が主語の会話ばっかり。で、最近は滅多に外に出られないし、みんなの連絡もスルー。どう考えても変だし周りが心配するの当たり前でしょ。自覚ないの?」 指先が震えた。弁解しなくてはと頭を回転させても、身体が硬直したように動かない。 「でも、透さんと話してる時の美穂はずいぶん楽しそうだった。ねぇ美穂、自分に正直になったら?人生100年の中で私たちまだ半分も生きていないのよ。旦那の言いなりになって、夫の付属品としてあと60年生きるの?」 「ねぇ……突然何よ……私は何も問題なんて……」 美穂はやっと声を絞り出したが、真正面から鋭く自分を見つめる絵梨香から目を逸らしてしまった。 「悪いけど、最近の美穂の顔って“何も問題ない女の顔”じゃないから。何年の付き合いだと思ってる?そのくらい分かるよ。自分を偽って、それで本当に幸せ?」 手足がどんどん冷えていく。もう家に帰りたい。湊人の笑顔が見たい。 そうだ。美穂の幸せは、ただ愛する息子が元気に笑っていてくれることだけなのだ。 「夫婦なんて多少いろいろあるのが普通でしょ。でもウチは子どももいるし、湊人が安定した環境で育ってくれることが一番なの。 ……早希と絵梨香には、想像しにくいかもしれないけど」 その瞬間、絵梨香の瞳が少し揺れた。同時に美穂の胸がねじ切れるように痛む。 言葉を取り消そう、訂正しようと反射的に思ったが、やはり今回もどうしても口が開かなかった。 「……なら、みーくんのためにも現実をよく見て考えて。それから……私たちは美穂の味方だってこと、忘れないで」 絵梨香はしばし沈黙した後、そう言って小さく息を吐くと、「そうだ、お誕生日おめでと」 と小さな袋を美穂に差し出し、そのまま伝票を掴んで席を立ってしまった。
「スマホを見せろ」妻を支配する夫の衝撃の行動
絵梨香が去ったあと、美穂はしばらくカフェの席から動けなかった。 早く買い物を済ませなくてはならない。湊人がもうじき学校から帰ってくる。出張から戻る貴之のためにも、今日は少し凝った料理を作らなければならない。 時間に余裕はないのに、美穂はただ冷めたチャイティーを握ったまま絵梨香の言葉を反芻していた。 自分の生活は、おかしいのだろうか。貴之がモラハラ?そんな、大袈裟な。 美穂はスマホを取り出すと、30件近く溜まったLINE通知を見ないようにして、恐る恐る「夫 モラハラ」と検索してみる。 『夫と一緒にいる時に息苦しい。夫の帰宅時間が近づくと動悸がしたり、緊張して体がこわばったりする。夫の機嫌を損ねるのが怖い。夫の怒った顔が浮かんだり、怒鳴り声が聞こえる気がする……』 「モラハラを受ける妻の特徴」という記事を読み進めるほど、身体に寒気が走った。 けれど専業主婦ならば、誰しも少なからずこんな経験はあるのではないだろうか。最近は妙にフェミニズムが流行っているから、やはり大袈裟に取り上げられているに違いない。 ふと我に返ると、かなり時間が経っていた。 美穂は大急ぎでスーパーに向かうと、悩んだ末、手作りに見えそうな惣菜を手当たり次第購入し帰宅した。 ◆ 「……おい、今日の夕飯は何だったんだよ」 湊人が就寝したあと、夫は明らかに苛立った様子で美穂に詰め寄った。彼は夕飯時から顔を歪めていたから、美穂が料理に手を抜いたのがバレたのは予想がついていた。 あれこれ言い訳は考えていたものの、嘘をついても貴之はきっと見破るだろう。美穂は正直に答えることにした。 「ごめんなさい。絵梨香がお誕生日のお祝いに来てくれて、どうしても時間がなくなって……。ほらプレゼントも貰ったの。化粧品をこんなにたくさん……」 「化粧品買うくらいの金、渡してるよな」 「え……?」 「そんなモノ貰うために家族が適当なメシ食わされるなんて、理不尽じゃないか?」 夫の言葉が、一瞬理解できなかった。 「それに何でプレゼント貰うだけで夕飯が作れないの?そんなに長い時間、何してたの?」 咄嗟に答えられず、美穂は唇を噛む。 「……携帯、見せて」 「え、な、何で……」 「またお前がスジの悪い友達に何か吹き込まれてないか心配なんだよ」 すると貴之はキッチンに置かれている美穂のスマホに手を伸ばした。 「ちょ、ちょっと待って。別に変なことなんかない!ただお喋りしてただけよ。ねぇお願い……」 貴之は抵抗する美穂の手を乱暴に振り払い、舌打ちをしながら「暗証番号は?」と妻を睨む。 特にやましいことなどないが、もしも透のメッセージが夫の目に入ったら。絶対にタダでは済まない。美穂は必死に貴之の腕にすがりついたが、その度に跳ね除けられた。腕に痛みが走る。しかしそれどころではない。 「ああもう。なら分かったよ」 すると貴之はさらに苛立った様子で、真っ直ぐに洗面所へ向かった。美穂はわけも分からぬまま後を追う。 「ちょっと、待っ……」 次の瞬間、美穂は信じられない光景を目の当たりにした。 夫は乱暴に風呂場のドアを開けると、迷いなく美穂のスマホを湯船に投げ込んだのだ。 「夫に見せられないスマホなんて、いらないよな」 スマホはあっさりと湯船の底に沈んでいった。 ゆらゆらと揺れる湯の中で、待受に設定した湊人の写真が、歪んだ笑顔で母を見つめていた。
NEXT:1月9日更新 美穂を「正直になったら?」と諭した絵梨香。実は彼女自身も夫婦関係に問題を抱えていた。
引用先:「スマホを見せろ…」妻を支配したいモラハラ夫の、恐ろしすぎる衝撃行動(webマガジン mi-mollet) – Yahoo!ニュース