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夫の暴力が子供にも…DVに耐える妻の実態と悲痛な声
  • 40歳という節目で、女性は自らの生き方を振り返るものではないでしょうか。 「こんなはずじゃなかった」と後悔しても過去は変えられず、心も身体も若い頃には戻れない。






    優しい夫に怯える妻





    自分に向き合うほど、鮮明になる“痛み”


    その後数日間は、やけに穏やかな日々が続いた。 夫は美穂をいたわり続け、在宅勤務中にいらだつ様子もほとんど見せなかった。相変わらず仕事は忙しそうだが、食事中は笑顔を見せて会話をしたし、美穂に感情をぶつけるようなこともない。 それどころかマメに家事を手伝い、夜は湊人の面倒をよく見てくれる。すると家の中は笑顔と笑い声が溢れた。 そんな貴之を見ていると、美穂は結婚前の彼を思い出した。彼はいつも完璧だった。紳士で頼りがいがあり、いつも先回りをして美穂を喜ばせてくれる。貴之ほどの男性は他にいなかった。 まるで、しばらく悪い夢でも見ていたような感覚だ。 常に貴之の顔色を伺っていたことも、スマホを湯船に投げ込まれたことも、すべて嘘みたいに思える。 それでも、胃の奥がキリキリと痛むような感覚はなぜだか消えなかった。 ーー旦那、モラハラでしょ?ーー 先日の絵梨香の言葉が頻繁に頭に浮かぶのだ。 ーー自覚ないの?ねぇ美穂、自分に正直になったら?自分を偽って、本当に幸せ?ーー わからない。自分は不正直なのだろうか。何かを偽って生きている? レゴの模型を夢中で組み立てている息子と夫をカウンターキッチン越しに眺めながら、美穂は恐る恐る過去の記憶を探ってみる。   湊人がまだ赤ちゃんの頃。貴之は息子を宝物のように大事にする一方で、夜泣きがひどい時などは「いい加減に静かにさせろ」「お前の母性が足りない」とよく怒鳴っていた。 そんな夜、美穂は泣き叫ぶ小さな息子を抱っこ紐の中に入れ、家の外に出て湊人が寝つくまで真っ暗な夜の街をあてもなく徘徊した。 あの時の心細さ、世界から見放されたような虚無感を思い出すと胸が痛む。 睡眠を妨げられいらだちが制御できないとき、貴之は枕元のデジタル時計を壁に投げつけたこともあった。そういえば、あのときの傷はまだ寝室に残っている。 イヤイヤ期や小学校入学前も、思い返せば同じようなことは何度か繰り返されていた。 ーーみーくんのためにも現実をよく見て考えてーー けれど美穂はいつも、痛みに気づかないフリをした。それ以外の選択肢なんて考えもしなかった。 下手な行動をすれば家族が壊れてしまう。今までコツコツと積み上げてきた“幸せ”が崩れてしまう。それが何より恐かったのだ。 「パパぁ!できた!」 「すごいなぁ、湊人は本当に賢いな。なぁママ?」 レゴを抱えた息子と夫が笑顔で振り返る。美穂が何より大事にしていた“幸せ”の姿。 でも、おかしい。やっぱり、おかしい。 自分の心に深く向き合うほど、痛みと違和感は鮮明になっていく。 「ほんとだ、2人ともすごいよ」 不意に溢れそうになる涙を、奥歯を噛み締めて堪えた。 そして穏やかに返事をしながら、美穂はキッチンの中で小さな決意をした。


    息子に向けられた、夫の拳


    『早希へ。この前はひどいこと言って本当にごめんなさい。スマホが壊れて連絡できずにいました。絵梨香にも会ってきちんと謝りたいので、近々必ず連絡します。いつも心配してくれてありがとう』 スマホの電話帳やLINEはすべて消えてしまったため、美穂はFacebookから早希と絵梨香に同じようなメッセージを送った。少し迷い、透にも短い返信をした。 絵梨香にも指摘されたが、たしかに透と過ごした日は久しぶりに心が癒えた。その後は彼への連絡をためらっていたが、自意識過剰ではないかと思い直したのだ。 すると驚いたことに、数秒後に透からメッセージが届いた。 『美穂ちゃん、返事なくてずっと気になってたよ!何かあった?大丈夫?』 あの夜のように、再び心が緩む。こんな風に自分を気にかけてくれる人がいるなんて、うまく現実が捉えられない。 「あれ、まだ起きてたの?」 そのとき、リビングで遅くまで仕事をしていた貴之が寝室にやってきた。彼の表情は柔らかいままだ。美穂は自分を奮い立たせて夫と向き合う。 「あの、話があるの」 「……なに?」 貴之の眉間がわずかに歪んだ。でも後には引けない。 「私、やっぱりこの前のことがどうしても気になって……。スマホを壊したり私が外に出るのを嫌がったり、最近の貴之さんはちょっと変だと思って……」 「それは謝ったよな。スマホも買っただろ」 「それはそうだけど……なんていうか、私、機嫌の悪いあなたが怖いことも多くて……」 美穂のたどたどしい言葉を貴之は黙って聞いていたが、ピリピリと張り詰めた空気が部屋の中に充満していく。 「でもね、私はもう少し外に出たいし、仕事もやっぱり挑戦してみたいの。だからお願……」 「うるせーなぁ!!!!」 怒鳴り声と共に、枕が美穂の脇腹に飛んできた。痛みはないが、想定外の大声に鼓膜が刺激される。 「ごちゃごちゃうるさいんだよ。お前はやることやってろよ。俺は忙しいんだよ。仕事がしたい?なら俺が主夫やるよ。代わりに俺より稼げよ?」 「ち、ちが……そういう意味じゃ……」 「じゃあ何だよ。稼ぎもないクセに甘いこと言うなよ。お前の仕事って、いくら稼げんの?」 また、やってしまった。 どうして上手く夫と話せないのだろう。美穂は激昂した貴之を何とかなだめようと必死に言葉を探すが、浴びせられる怒声にいちいち怯んでしまう。 そして次の瞬間、美穂の背筋が凍った。 「パパやめて。ママを怒らないで……!」 寝室のドアの前で、目を赤くした湊人がパジャマ姿で立ち尽くしていたのだ。 「なんでそんなに怒るの?ママがかわいそうだよ!」 息子の姿に、貴之も困惑の様子を見せる。 「パパ、変だよ。ママは絶対に悪いことしてない!!!」 けれど湊人がそう叫んで母に近づこうとしたとき、貴之の目が再び鋭く光ったのが分かった。 「だ、だめっ!!」 美穂がとっさに息子を飛びつく同時に、パン!という破裂音と、熱く焼けるような痛みが頬に広がった。 「ママ?ママ大丈夫?!ママぁぁあ!!」 何が起きたのかよく認識できないまま、涙声の息子を抱いた腕の力を強める。その最中も背中や腰のあたりに何度か鈍痛が走り、貴之の怒声も続いた。 しかし不思議なことに、美穂の頭はみるみる冴えていく。 ーー夫の拳が息子に向けられたーー その事実が、ずっと頭の中にかかっていた靄(もや)を晴らしていくようだ。 「お前ら、文句があるなら出てけよ」 そして貴之がとうとうこの言葉を発したとき、美穂はようやく探していた結論にたどり着いた。 ーーそっか……。私、出ていけばいいんだ。 それは、実にシンプルな答えだった。 ぐらつく視界の中で、確かなのは息子の温もりだけ。この子を連れて、ここから去ればいい。 美穂はさらに精一杯の力を腕に込め、強く心を固めた。


    引用先:夫の暴力が子供にも…DVに耐える妻の実態と悲痛な声(webマガジン mi-mollet) – Yahoo!ニュース



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