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深い心の闇と向き合う 『説得屋』という仕事の現場
  • 『説得屋』という職業があります。引きこもりや精神疾患、薬物依存の人らを説得し、入院や治療など適切な医療につなぐ仕事です。その現場からは、現代社会を生きる人々が抱える深い心の闇が見えてきます。


    ■漫画の中の精神疾患の男性

    「家にも火つけたろうか。」


    精神疾患を抱える男性は、気に入らないことがあると暴れ、妄想にとらわれた末に母親の首を絞めたこともあると言います。


    男性に対処できず途方に暮れる家族のもとにメガネをかけた男が現れます。


    ■漫画の中のメガネの男性

    「病院の先生に診てもらうために来た。」


    メガネをかけた男は病院に一緒に行き、治療を受けるよう男性を説得します。


    漫画『「子どもを殺してください」という親たち』は、長期の引きこもりや家庭内暴力、アルコールや薬物依存の実態を描いた作品です。販売総数100万部を超える人気漫画です。


    漫画の主人公、メガネをかけた『説得屋』は実在の人物で、漫画の原作者でもある押川剛さんです。


    ■記者

    「Q.なぜ漫画を?」


    ■押川剛さん

    「伝えたいのよ。本当に、これ(現実が)おかしいから。助けなきゃいけない人に、へ理屈いる?人を助けるのに、理屈はいらないと思っている。だから俺(漫画で)訴えているの。」


    押川さんは、治療を拒否する精神疾患や長期の引きこもりの人を家族の依頼を受けて説得し、適切な医療につなぐことを仕事としています。


    漫画は押川さんが実際に経験したことを元にした『実話』です。


    ■漫画の中の押川さん

    「いまから精神科病院で入院治療を受けてもらいます。ちゃんと調べてくださいね。」


    家族から毒を盛られているとの妄想を抱き、検査をしてほしいと訴える女性を説得するこのシーンも実話です。


    ■押川さん

    「精神科病院で入院治療してもらいます。ちゃんとした検査しますから。」


    ■女性

    「全部してくれるんですね?」


    ■押川さん

    「します。お約束します。きっちりします。」


    ■女性

    「それはありがとうございます。」


    押川さんは、1996年に『説得』の仕事を始めました。きっかけは、それまで経営していた警備会社の元従業員が精神疾患で退職し、無理やり病院に連れていかれたと知ったことでした。


    ■押川さん

    「自分たちの時代は、まだ縛ったり、殴ったり、トランクに詰めてとか、患者は物扱い。そうやって病院につないでいた。俺はそれを見て、それはないだろうと。人間関係があれば、説得して医療につなげられる。それで精神障害者移送サービスを始めた。」


    無理矢理ではなく納得の上で、という思いで始めた国内初の『説得移送』サービスでした。これまで1000人以上を医療につなげてきました。


    40代の女性、マサミさんもその1人です。


    ■マサミさん(仮名)

    「16歳くらいからクラブに行き始め、19歳から大麻を吸って、20歳からMDMA。」


    薬物を覚えたマサミさんは生活が乱れ暴力団関係者と交際するようになったといいます。


    ■マサミさん

    「私が生活費として(暴力団関係者の)男からもらったものを、母に送金していた。親はとにかく金さえもってくればいいという感覚。ヤクザだろうがなんだろうが関係ないと。」


    ゆがんだ親子関係が原因で人とつながることがうまくできなかったマサミさんが、薬物を断ち、根本的に立ち直るには、その親子関係の清算が必要と押川さんは感じました。押川さんは、当時運営していた、自立支援施設にマサミさんを受け入れ長期的にサポートします。


    ■押川さん

    「親との関係がおかしい。(マサミさんは)『人とつながることが、できなかったです』と。それはそうだよね。親子の関係が、お金だけだったから。親のところに戻して終わりだと思っていたが、彼女は『親と縁切ります』と。その時に彼女は生まれ変わると確信した。」


    10年にわたる押川さんの支援で、マサミさんは生まれ変わりました。いまは、大手企業の管理職を任されています。


    ■マサミさん

    「(押川さんに出会っていなければ)ヤクザの弾よけになって死んでいたか、刑務所にぶち込まれていた。(刑務所を)出たり入ったりの生活をしていたのかなと。」


    長期の引きこもりや依存症など表には出にくい、家庭の中の問題を抱えた家族を少しでも減らすために押川さんは、社会の一角でこうした問題が起きていることを世間に知ってもらう必要があると考えています。


    ■押川さん

    「悲しいかな事件を起こさないと人とつながれない時代になった。(漫画を読んで)考えてもらいたいとか、感じてもらいたいとか、大それたことは思っていない。『事実を知ってくれ』ということだけ。事実を知った上で、それぞれがどう思うか。」


    ■押川さん

    「いつふりかかるか誰にも分からない。この問題からひと事でいられる人間はいない。」


    『説得屋』の声が重く響きます。


    引用先:https://news.yahoo.co.jp/articles/1352022ce27c2d3d89f5920f36175d79a7967da8


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