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夫が「ADHD」と診断…子どもへの遺伝の可能性は?
  • AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、ご主人がADHDを診断され、子どもへの遺伝を心配するお母さんからのご相談です。

    【今回のお悩み】

    結婚後、主人に「あれ?」と思う言動が多くみられ、先日病院での診察をすすめたところ、「ADHD」だと診断されました。不注意が多く、物忘れがひどいです。

    私には一歳の息子がいます。現時点で発育は正常ですが、ADHDが子どもに遺伝する可能性はあるのでしょうか。あるとすれば何%くらいの確率でしょうか。

    不安で仕方ありません。

    もちろん子どもに遺伝してADHDと診断されても、しっかりサポートして育てていくつもりです。

    よろしくお願いします。


    【医師の回答】


    お父さんが ADHDと診断され、お子さんにもADHDが遺伝しているかご不安になられたということですね。ADHDは質問一つで診断できるような疾患ではなく、多方面から診断していく複雑な疾患です。


    ADHDになる原因については今も研究が続いていますが、現時点で、遺伝性のものが強いということがわかっています。894人のADHD患者と5-17歳のその兄弟1135名を対象とした研究があります。その研究からわかったことでは、同胞にADHD患者がいない人と比較するとADHDの発症リスクが9倍高いとする報告もあります。


    一般的に、ADHDの遺伝的素因は50~80%と言われています。しかしこれは何万人のデータを見る中で出てきた統計学的な数字です。また遺伝的素因と言いますが、一つの遺伝子で起きる(単一遺伝子)と言うわけでなく複数の遺伝子が関与する(多因子遺伝)であり、そこに環境要因が加わってその子の特性が決まっていきます。そのため、逆を返せばお父さんもお母さんもADHDの症状が全くないのにも関わらずお子さんだけADHDと診断されるケースもあります。


    最初のご相談の中で大切な考え方は「お子さんがADHDを発症しても、必ずしもお父さんのせいではない」ということです。前述したように、複数の遺伝子が関与する(多因子遺伝)であり、そこに環境要因が加わってその子の特性が決まっていきます。


    親から子どもへは身長や知能など様々なことが遺伝します。親子だから当然のことです。たとえお子さんがADHDを発症したとしても、お父さんのせいだとは言えません。


    相談内容を読むとわかるようにお母さんもすでに十分にご理解されていると思いますが、誰のせいなどという議論を行うよりも重要なことは、遺伝の組み合わせで決まる個性の一つとしてお子さんをありのまま受け入れること、本人のペースで社会に適応できるよう訓練するためにどのようにサポートしていくかをご家庭でよく話し合うことなのです。


    (参考文献)


    ・Wolraich ML. Clinical Practice Guideline for Diagnosis, Evaluation, and Treatment of Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder in Children and Adolescents. Pediatrics 2019; 144(4).e2019528

    ・Faraone SV. Genetics of attention deficit hyperactivity disorder. Molecular Psychiatry 2019: 24: 562-75

    ・Chen W, et al. DSM-4 combined type ADHD shows familial association with sibling trait scores: a sampling strategy for QTL linkage. Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet 2008. 147B: 1450-


    今西 洋介

    小児科医/新生児科医

    日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載『コウノドリ』の漫画・ドラマの医療監修を務めた。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。


    引用先:https://news.yahoo.co.jp/articles/0f64238ef005076aa2b9ad1f21430a2b828fd574


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