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社説[中高年引きこもり]子も親も孤立させない
2019.06.25
川崎市で小学生らが殺傷された事件と、元農水次官が息子を刺殺したとして逮捕された事件をきかっけに、引きこもりの人やその家族に動揺が広がっている。
川崎市の事件では、容疑者が「引きこもり傾向にある」との相談が親族から市に寄せられていた。その事件を知った元次官は、引きこもりがちで家庭内暴力もあった息子が「人に危害を加えるかもしれないと思った」との趣旨の供述をしているという。
直後に家族会などが「引きこもり状態にある人が、このような事件を引き起こすわけではない」との声明文を発表したのは、引きこもりと犯罪を結び付けるような報道を懸念してのことだ。
引きこもる人の年齢、性別、引きこもり期間はさまざまで、そこに至る原因も多様かつ複合的である。引きこもりという言葉でひとくくりにすることは厳に慎むべきだ。
いずれの事件も動機や背景などの解明はこれからだが、声明にあるように、引きこもりだからではなく、社会から孤立した結果、引き起こされた事件だったのではないか。
今年3月、内閣府の調査で40~64歳の引きこもりの人が全国で推計61万3千人に上ることが明らかになった。若年層を対象とした調査を上回る数字で、若者特有の現象というイメージが覆された。
引きこもり状態になったきっかけは退職が最も多く、バブル崩壊後の就職氷河期などが背景にある。引きこもりが解決しないまま中高年になった人も少なくない。
深刻化しているのは引きこもりの長期化、高年齢化が進み、親が80代、子が50代で生活が困窮する「8050問題」だ。本人の支援だけでなく、親の病気や介護など複合的な課題が指摘される。
不登校などが重なる若者の場合と比べ、中高年の引きこもりは周囲から分かりづらい。
高齢者の介護相談に応じる地域包括支援センターが、親の介護をきっかけに引きこもりの子を発見するケースも増えているが、行政の縦割りが邪魔をしうまく対応できていない。
政府は21日に閣議決定した「骨太方針」の柱に、就職氷河期世代の支援を位置付けた。都道府県による実態調査のほか就労や生活相談の強化などを盛り込む。
すぐに結果がでるものではない。福祉や医療、労働の専門家が連携した総合支援が必要で、家族や支援者が柔軟に息長く見守っていくことが大切である。
2017年度に県ひきこもり専門支援センターに寄せられた相談は延べ1479件に上った。対象者180人のうち40代以上は3割超だった。
支援に携わる関係者は県内の状況について、「沖縄は横のつながりが強く、子どもが引きこもると親も親族などの目を気にして引きこもる場合が多い」と話す。
親の不安を解消し、孤立を防ぐ家族単位のサポートも課題である。
自分たちだけで抱え込まないで支援団体などとつながってほしい。
引用先:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190625-00437032-okinawat-oki
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