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なぜ働く30代は「生きづらさ」を感じるのか?心理カウンセラーに聞く、対処法
生きづらさを感じて悩みながら、それでも生きていかなければいけない。そんな世界で私たちは、どうしたら自分の生きづらさを受け入れ、自分らしく人生を歩んでいけるのか。 『しんどい心にさようなら 生きやすくなる55の考え方』(KADOKAWA)の著者である心理カウンセラー・きいさん(@kiitanuma_tanu)に、インタビューの前編では、独自に心理学を学んだ自身のことや、同書への想い、心を落ち着かせる外部からの具体的なアプローチなどをお聞きしました。 後編では「自分らしく生きること」にフォーカスし、自分の考え方の傾向や感情を受け入れていくことの大切さについて話を聞きます。
コロナ禍で不安や恐怖が大きく
――2020年から新型コロナウイルスの影響で生活環境が大きく変わりましたが、きいさんが心理カウンセラーとして相談を受けている方々からの声に何か変化はありましたか? きい:ありましたね。コロナ禍になってから、みなさんが持つ不安や恐怖が大きくなっていると感じます。もちろん時期的なものもあると思いますが、コロナ禍になってからの環境の変化によって不安を感じている人はかなり増えています。 ――日常的に感じているのに正体が掴めていないのですが、「不安」とは一体何なのでしょうか。 きい:不安とはすごく漠然とした感情で、広がると、どこまでも広がっていってしまって収拾がつかないものです。人間は未知のものや分からないことに対して強い不快感を覚えるのですが、そこで不安の塊を切り分けて小さくしていくと、この不安が「恐怖」であることが分かります。
恐怖を感じた時の考え方
――なるほど、漠然とした不安の正体は未知への恐怖なのですね。自分が抱くその恐怖に対して適切な対応や考え方ができればいいなと思うのですが、考え方のコツなどはありますか? きい:「恐怖をゼロにして先に進もう!」となるのではなく、「怖いままやろう」が合言葉になっています。恐怖を感じても押し殺さず、その気持ちと一緒に居てあげることが大切です。 不安や恐怖を感じているという事実を一度、受け入れてみる。恐怖を感じることは前に進んでいるということですので、この先、何があるか分からなくても「今、なんだか怖いけど、怖いということは進んでいるんだな」と思って欲しいです。
他の誰のものでもない人生を生きる
――「bizSPA!フレッシュ」の読者は若手ビジネスパーソンなのですが、20代後半~30代になると、生活や仕事など自身を取り巻く環境が大きく変化するタイミングがあると思います。きいさんはどう感じていますか? きい:30代になると特にいろいろなしがらみが多くなり、自分を装って生きてしまうというか。何が生き方として正解か、外から探しがちになってしまう人が増えてしまうと感じています。 でも、そこで世間に対して好かれる自分や誰かにとって望ましい自分を演じていくと、自分の中心から自分の人生がずれていってしまい、自分ではない自分を生きていくことになってしまう。そうすると必ずどこかで「詰み」ます。 ――「自分の人生がずれていってしまう」というのは怖いですね。そうならないためにはどのようなことに気を付けていけばいいのでしょうか。 きい:自分自身に矢印を向けていくことを徐々にやっていくことが重要です。繊細な人は「相手からどう思われるか」とか「印象を下げないか」とか、「この服でいいかな」「ここでこの水を飲むのは違うんじゃないかな」など、気持ちの矢印が自分以外に向かいすぎてしまっている。 だから、矢印を自分に向けるには「自分はこれが心地いいかどうか」「これは楽しいか」「これをいま飲みたいのか」など、自分ベースで考えることが大切なんです。
生きづらさを抱えるすべての人へ
――矢印を自分に向けていく具体的な方法はありますか? きい:「自分がどうしたいか」がなかなか出てこない人もいると思いますが、「これがいいの?」「今日はどっちの服を着たい?」など、意図的に自分自身に問いかけるようにしていくことです。その積み重ねが、自分の人生を生きていくことからずれていってしまうのを防いでいけると思っています。 ――生きづらさを抱えている人へ、きいさんが伝えていきたいことはどんなことなのでしょうか。 きい:心理カウンセラーとして相談を受けるなかで、相手の価値観や相手の感情を優先するがあまり、「自分が間違っているのだ」と思ったり、相手に気をつかいすぎて「自分は我慢すればいい」と思ってしまう人がとても多いことに気づきました。 そのように他人軸で不安になってしまう方には、お話をよくうかがった上で「相手のことを守りたかったのですね」とお伝えするようにしています。自分よりも誰かのことを大切にする気持ちがあったから、自分を犠牲にすることを覚えてしまったのですね、と。
「正解はない」私らしい生き方を
きい:そのことの善し悪しは置いておいて、自分のそういった部分を自分自身で一度受け入れてほしいんです。周りが正しくて自分は間違っていると思ってしまっているとしても、一人ひとりは違う人格、違う人間であるし、あなただけが間違っていることはない。それを受け入れることでぐっと生きやすくなると感じています。 ――他の人とは別の人間であるということ、人生の正解は誰にも定義できないということですね。 きい:本当にそうですね。一言で言ってしまうと「生き方に正解はない」。私たち大人は正解のない社会を生きています。私自身もちろんその過程にいるのですが、正解はないからこそ自分の選択をしていますし、それが私らしい生き方になっています。 当然、一発でうまくいかなくていい。抱える生きづらさを否定せずに受け入れながら、人に協力や参考をもらいながら、自分なりに選択していけば未来は明るいほうへと変わっていく。そう信じています。
引用先:なぜ働く30代は「生きづらさ」を感じるのか?心理カウンセラーに聞く、対処法(bizSPA!フレッシュ) – Yahoo!ニュース