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名のある証券アナリストが、40代「無職・ひきこもり」になるまで

2014.09.28

仕事もない、友達も少ない、結婚相手もいない……そんなオトナの男女が増えている。決してヒトゴトではない「無職・独身」のリアルとは?

増え続ける、独身・無職で”ぼっち”な人たち

20~59歳という働き盛りの年齢でありながら、家族以外との交流がない、無職・独身の男女を指す新たな概念として、最近は「SNEP(スネップ※1)」という言葉が「NEET(ニート)」に代わって注目を集めている。なかでも、リストラや病気などで社会のレールから外れてしまったアラフォー世代は、特にこのSNEPに陥りやすいという。

SNEPを提唱した東京大学社会科学研究所の玄田有史教授によると、SNEPは約162万人(2011年)。いちばん多いのは20代=60.2万人だが、30代=44.8万人や40代=35.2万人もかなりの数にのぼり、どの世代も急増している(※2)

そして、未婚無業者のうち6割以上が、一人ぼっちか家族としか会わないSNEPになっていて、特に40代は孤立する率が高い(68%)。一昔前なら、働いて子供を育てている世代なのに……。

職が見つからないまま、ひきこもり中年に

アラフォー世代の場合、いったん失業すると、失業期間が長くなりがちだという。長年にわたり“大人のひきこもり”問題を取材してきたジャーナリストの池上正樹氏は、次のように指摘する。

「最大の原因はセーフティネットの不備。転職市場から見放された人はハローワークを頼るのですが、実は“まともな求人”がほとんどない。募集数はたくさんあるんですが、『ハローワークにも求人を出す良い企業』という社会的なイメージアップのためだけで、実際に採用されない話はよく聞きます」

 池上氏はハローワーク経由で紹介された会社に面接に行った、ある中年男性の例を語る。

「『資格がないからダメ』と落とされたので、その資格を取得してまた面接を受けました。でも、やっぱり何かと理由をつけられて落とされたんです。そんなことが何社も続くうちに働く意欲を失い、ひきこもりのようになってしまうケースが最近目立ちますね」

 また現在、普通に働いている人たちも他人事ではない。

「想定外のリストラや両親の介護問題がきっかけで、仕事がなくなるだけではなく、あっという間に社会から孤立してしまうことも珍しくはありません。特に真面目な人ほどなりやすいと思います」

 ひきこもりやニートの社会復帰を支援する認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏も同意する。

「『失業者』とは仕事を探している人のことですが、失業期間が長期化すると、就労先が見つからないという絶望から、働く意欲まで失ってしまいます。そういう人は『無業者』と呼ばれており、支援する制度がほとんどありません。無業者の数は増え続けているという実感があります。若者支援を掲げている僕らのところにも中年の相談者が来るくらいですから」

 中年が無業者になった場合、サポートしてくれる公的支援はほとんどない。そのために社会復帰が難しく、必然的に失業期間が長期化してしまうのだ。

※1 SNEP=Solitary Non-Employed Persons=孤立無業者とは、20歳以上59歳以下の未婚の無業者のうち、ふだんずっと一人か一緒にいる人が家族以外いない人々。

※2「孤立無業者(SNEP)の現状と課題」玄田有史教授、2013年。総務省統計局『社会生活基本調査』にもとづいて人数等を算出している。これによると、SNEPの世代計人数は、74.6万人(96年)→85.4万人(01年)→111.8万人(06年)→162.3万人(11年)と急増

【池上正樹氏】
ジャーナリスト。通信社勤務を経て、フリージャーナリストとして活躍。著書に『ドキュメント ひきこもり「長期化」と「高年齢化」の実態』など

【工藤啓氏】
認定NPO法人「育て上げネット」理事長。米国ベルビューコミュニティーカレッジ卒業。著書に『「ニート」支援マニュアル』、『NPOで働く―「社会の課題」を解決する仕事―』

引用先 記事詳細URL
https://joshi-spa.jp/140251

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